「櫻坂46らしさ」ってなんだろう?“Unhappy birthday構文”と過去楽曲から考える欅坂との違い

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2025年11月28日 17:10  CINRA.NET

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Text by 廣田一馬

誕生日がやって来る度 絶望を感じるよ
充分に生きて来たのに まだまだ先は長いなんて… - 櫻坂46“Unhappy birthday構文”櫻坂46の13thシングル“Unhappy birthday構文”が10月29日にリリースされた。

三期生の村井優がセンターを務める同曲は、誕生日をテーマに自分が生まれてきたことへの絶望を描く歌詞となっており、ファンの間でも賛否を呼んだ。

今回の記事では、前身グループである欅坂46を彷彿とさせる部分もあるなかで、同曲から感じた「櫻坂らしさ」を中心に、ほかの坂道グループや前身の欅坂46との違いなどについて考える。

清楚で正統派のアイドルとして活躍する乃木坂46と、「ハッピーオーラ」をテーマに掲げ、明るさが印象的な日向坂46に対して、櫻坂46は世界観のある楽曲やパフォーマンスが輝くグループだ。

自分の内面を見つめる楽曲や生きる上での葛藤をテーマにした楽曲も多いが、今回リリースされた“Unhappy birthday構文”は歌詞のダークさや冷笑的な世界観が際立つ。

序盤から展開される<僕は望んで生まれたんじゃない 親の事情だろう>という「親ガチャ」を彷彿とさせる歌詞や、<自称親友の皆様が自己満のサプライズで テンプレのケーキのロウソクの火を消せと言う><誰かと繋がりが欲しいだけの交換会さ 過剰な包装をしてどんなプレゼントをくれる?>といったやや過剰に誕生日を皮肉るような歌詞は、前身のグループでよりダークな世界観をもつ欅坂46を思い出させる部分もある。その一方で、「ひねくれすぎ」という感想もあり、SNS上で賛否が巻き起こった。

“Unhappy birthday構文”がこれまでの櫻坂46の楽曲とは異なるイメージを与えた要因として、「楽曲の主人公となる『僕』の描かれ方が普段の楽曲と違う」という点があるのではないだろうか。

欅坂46時代には“エキセントリック”や“不協和音”“黒い羊”など、集団から孤立し、社会の風潮と戦う「僕」を中心に構成されていた。

一方、櫻坂46では欅坂の世界観よりも少し大人になり、苦しさを感じつつも集団のなかでもがく「僕」の姿が描写されることが多い。

櫻坂としてのデビュー曲である“Nobody's fault”では<No, no, no 他人のせいにするな>と責任を自分に向け、2ndシングルの“BAN”も周囲に取り残されていく自分への焦りを描いた内省的な歌詞となっている。

また、自分の内面とは戦いつつも、最後には希望を見出すような歌詞が多いことも櫻坂の特徴だ。

2023年に『NHK紅白歌合戦』で披露した“Start over!”では見栄やプライドを捨てた人生の「やり直し」を描き、2024年にリリースの“何歳の頃に戻りたいのか?”では、現状への不満から戻れない過去を回想しながらも<夢を見るなら 先の未来がいい>と、未来への希望を語るような歌詞になっている。

暗い歌詞が続く“Unhappy birthday構文”だが、最後には、<僕は僕に言いたい Happy birthday to me>と、誕生日を肯定するような形で締めくくられる。

Unhappy birthday to me バースデイソングを歌うな
Unhappy birthday to me クラッカーなんか鳴らすな
Unhappy birthday to me もしも自分の意思で
Unhappy birthday to me 生まれ変われるんなら
Unhappy birthday to me 僕は僕に言いたい
Happy birthday to me - 櫻坂46“Unhappy birthday構文”このように、自分の中の暗い気持ちに寄り添いながらも「少しずつでも前に進んでみよう」と感じさせてくれるような希望のある歌詞は、櫻坂46の魅力であり、「らしさ」なのではないだろうか。

また、来年4月には『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』を国立競技場で開催予定。女性アイドルではAKB48、ももいろクローバーZの2グループのみが立った大舞台となっており、今後の活動や楽曲にも目が離せない。
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