フルモーがミスコースを巻き返す首位堅守。険しすぎるサウジで後退者続出【デイ3レポート】

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2025年11月28日 23:20  AUTOSPORT web

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アドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1) 2025年WRC第14戦ラリー・サウジアラビア
 11月28日(金)、中東サウジアラビアで2025WRC世界ラリー選手権の第14戦『ラリー・サウジアラビア』のデイ3が行われ、スペシャルステージ(SS)9〜14を終えてヒョンデ・シェル・モービスWRTのアドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合首位を守った。日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合4番手につけた。


■シーズン随一のラフグラベルでリスクマネジメント勝負に

 ラリー・サウジアラビアはシリーズ最終戦として初開催されているグラベル(未舗装路)イベントで、紅海沿岸の大都市ジェッダに拠点が置かれている。SSは砂漠の柔らかい路面から岩が転がる荒れた区間、さらには山岳や火山地帯を抜けるセクションまで、シリーズ屈指の荒れたステージでタイムバトルが繰り広げられている。気温30度前後の暑さ対策も重要な要素となっている。

 競技はデイ1からオィット・タナック(ヒョンデi20 Nラリー1)が首位発進し、セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が僅差で追う展開となったが、デイ2では路面コンディションと出走順の影響が大きく勢力図が変化。遅いタイミングでコースインした選手らが好タイムを刻み続け、デイ2を終えた時点でフルモーが総合首位に立ち、トヨタのサミ・パヤリが総合2番手、Mスポーツ・フォードのマルティン・セスクス(フォード・プーマ・ラリー1)が総合3番手につけるなど、若手が健闘を見せている。

 いよいよ決まる王者争いは、それぞれ出走順が早かったこともあって中団で展開されており、オジエは7番手、カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は8番手、選手権首位のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)はもっとも“砂掃き”に苦しんで総合9番手からデイ3をを戦った。若手勢がラリーリーダーを争い、王者候補たちが苦戦する展開となっている。

 迎えたデイ3は、この日も引き続き砂漠と岩場が合わさった構成のSS(3本)を2度ずつ走行。合計距離は134.34kmとラリーウィークの中でも最長となった。出走順は総合順位の降順となり、この日も出走順の影響はタイムに現れた。

 まずSS9では首位フルモーがトップタイムをマーク。SS10とSS11ではタナックが連続でステージウインをあげるなど、ヒョンデ勢が躍動。セスクス(総合2番手)とパヤリ(総合3番手)も好タイムでフルモーとの差を縮めたが、そこに総合4番手のタナックも接近。大会折り返しの時点で10秒以内に4人のドライバーがひしめき合う展開に突入した。

 また、サウジアラビアの険しさはこの日も続き、王者争いにも影響が出てしまうことに。SS11の序盤でエバンスのタイヤの空気圧が低下してしまい、早々に交換作業を行ったことでライバルに対し1分50秒ほどのタイムロスを喫してしまう。

 3本のステージを再走する午後は、1本目でオジエがタイヤトラブルに見舞われるも、ステージ終盤でのスローパンクチャーであったためにロスを抑えることに成功し選手権争いのリードを堅守する。ここではタナックがまたも連続のステージウインを飾った。

 しかしその勢いもついには止まることに。午後の2本目ではタナックとパヤリの両者にそれぞれタイヤトラブルが発生してしまった。ともに交換作業のために1分30秒以上のロスとなり、総合優勝争いから脱落。

 そしてフルモー組にもアクシデント発生。パヤリ組が巻き上げた砂煙の影響で、ジャンクションを誤った方向に通過してしまった。フルモー組はこのミスコースにすぐに気づいたものの、方向転換などで余分な時間を使ってしまい約24秒のタイムロス。首位の座はセスクス組の手に渡った。

 迎えたこの日最後のステージでもトラブルは止まず。タイヤダメージの有無で簡単に順位が入れ替わる展開のなか、セスクスとフルモーの両方にふたたびタイヤトラブルが起きてしまった。ともに手負いの状況で走り終えた両者は2.4秒差となり、辛くもフルモーがふたたび首位に立って見せた。2番手セスクスと3.4秒差の総合3番手にはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がつけ、さらにその38.1秒差の総合4番手には勝田が続いている。

 タイトルを競うTOYOTA GAZOO Racing WRTの3台は、自力でのタイトルは難しい状況にあるロバンペラが総合5番手で最上位、3ポイント差を追いかけるオジエが総合6番手、ランキングリーダーのエバンスは総合8番手で最終日を迎えることとなった。

 いよいよ優勝者とチャンピオンが決まる最終日は、3本のSSが実施される予定。この日のみのタイムで順位が決まる“スーパーサンデー”と最終パワーステージのボーナスポイントがタイトルの行方を左右することになりそうだ。

[オートスポーツweb 2025年11月28日]

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