トヨタ内のタイトル争いは「信じられないほどの接戦」とカンクネン代表代行。最多記録に並ぶ王座獲得／第14戦サウジアラビア

　11月29日（土）、WRC世界ラリー選手権第14戦『ラリー・サウジアラビア』の最終日デイ4が、ジェッダのサービスパークを起点に行われた。TOYOTA GAZOO Racing WRT（TGR-WRT）のセバスチャン・オジエ／ヴァンサン・ランデ組（トヨタGRヤリス・ラリー1／17号車）は総合3位でフィニッシュし、通算9回目となるドライバーズタイトルを獲得。セバスチャン・ローブに並ぶ最多記録を達成した。

　TGR-WRT2から参戦したサミ・パヤリ／マルコ・サルミネン組（5号車）が総合4位、勝田貴元／アーロン・ジョンストン組（18号車）が総合5位、エルフィン・エバンス／スコット・マーティン組（33号車）が総合6位、そして今回がWRCラストランとなるカッレ・ロバンペラ／ヨンネ・ハルットゥネン組（69号車）が総合7位でフィニッシュした。


■オジエ、パートタイム参戦ながらも計6勝。自身9度目の王座獲得

　最終日デイ4はジェッダ北側エリアで3本のステージを走行。合計距離は65.86kmで、気温は日中33度前後まで上昇したが、ドライコンディションが維持された。

　前日デイ3で総合3位に浮上した勝田は、オープニングのSS15で7番手タイムを記録し順位を守ったものの、最長ステージとなるSS16でコースアウトしロールオーバー。大きなダメージを負いながらも完走したが、総合5番手に後退した。

　同ステージではロバンペラもタイヤトラブルでタイムを失い総合7番手へ後退。さらに総合2位につけていたマルティン・セスクス（フォード・プーマ・ラリー1）もタイヤ交換で後退し、オジエがベストタイムで総合3番手に浮上。パヤリが4番手、エバンスが6番手に順位を上げた。

　最終パワーステージのSS17ではオジエが2番手タイムを記録し総合3位でフィニッシュ。最終日のみのタイムで競う“スーパーサンデー”1位と併せて9ポイントを加算し、年間293ポイントでタイトルを決めた。エバンスはパワーステージ最速タイムを刻み、年間289ポイントでランキング2位。ロバンペラは256ポイントでシーズンを終えた。

　オジエは今季、パートタイム参戦で計11戦に出場し6勝を含む10回の表彰台を獲得。2021年以来となる通算9回目のタイトル獲得は、ローブの最多記録に並ぶ歴史的快挙であり、TGR-WRT加入後3度目の戴冠となった。トヨタとしては通算10回目のドライバーズタイトル獲得で、ランチアと並ぶ記録となった。

　エバンスは年間2勝、8回の表彰台を獲得し、全14戦でトップ6入り。キャリア5度目のシリーズ2位を獲得するなど、安定した競争力を発揮した。選手権3位となったロバンペラは今季限りでWRCを離れ、来季はフォーミュラカーでサーキットレースへ転向する。

　パヤリはデイ2で首位に立つなど健闘し、最終的に総合4位でシーズンを締めくくった。勝田も満身創痍のマシンでパワーステージを走り切り、総合5位で完走を果たした。

　チーム代表代行のユハ・カンクネンは「セブとエルフィンの戦いは、シーズン最後のラリーの最終ステージまで続く、信じられないほどの接戦だった」と最終戦を振り返った。

「セブは現時点で世界最高のドライバーであり、おそらく史上最高のドライバーであることを証明したと思う。9回目のタイトル獲得で最多記録に並び、しかもそれを3つの異なるマニュファクチャラーで成し遂げたのだ。私もかつて3つのチームで優勝したが、タイトルは4回しか獲得できなかった」

「エルフィンもまた、素晴らしい仕事を成し遂げた。ミスを一切犯さず、シーズンの大部分で一番手スタートを担いながらも、驚異的な安定感を発揮した。来年も彼とともにふたたび頂点を目指すことができるのは素晴らしいことだ」

「カッレも今回は結果を出すことはできなかったが、最善を尽くした。彼がいなくなるのは寂しいが、新たな挑戦を見守るのは楽しみだ。そして、サミやオリバーといった若手の台頭もあり、2026年もまた力強い戦いができると確信している」

　オジエ組がドライバーズおよびコドライバーズタイトルを手にしたことで、第12戦時点でマニュファクチャラーズタイトルも確定させていたトヨタは見事トリプルクラウンを達成。全14戦中12勝という成績で2025年を締めくくった。

[オートスポーツweb 2025年11月30日]