“平等”を優先して勝利を手放したマクラーレン。好機を逃さなかった古豪ウイリアムズが選手権5位確定【トップチーム密着】

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2025年12月03日 12:00  AUTOSPORT web

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2025年F1第23戦カタールGP 3位に入賞したカルロス・サインツ(ウイリアムズ)
 2025年のドライバーズチャンピオンシップ争いが大詰めを迎えたF1第23戦カタールGPで、表彰台の一角を占めたのは、かつてトップチームとして表彰台の常連となっていた古豪ウイリアムズだった。

 7番グリッドからスタートしたウイリアムズのカルロス・サインツは1周目に5番手に上がり、素晴らしいレースを披露した。ただし、この表彰台獲得の影には、ふたつの名門チームのミスと失速が大きく関係していた。

 まず、マクラーレンのピットストップミスだ。7周目にピエール・ガスリー(アルピーヌ)とニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)の接触事故が発生し、セーフティカー(SC)が入った直後、ほとんどのドライバーがピットインするなか、トップを走行していたオスカー・ピアストリと3番手のランド・ノリスに対して、マクラーレンはステイアウトを指示した。

 この判断が間違っていたことは、マクラーレンを除く全車がSC中にピットストップを済ませたことで明らかになる。

 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表はこう説明した。

「あのタイミングで全員がピットに入るとは予想していなかった。もし後ろの全車が入るのであれば、もちろん我々も入っていただろう。しかし、先頭を走っていると、他車がどう動くかを完全には把握できない。2台を同時に入れてダブルスタックとなってランドに不利になる可能性もあった」

 2台を平等に扱うことを優先するがあまり、レースに勝つということを結果的におろそかにしてしまったと言われても仕方がない判断だった。特に優勝を逃したピアストリに与えた心理的なダメージは大きかった。優勝していれば25点を獲得して、ノリスに対して大きく点差を縮めて、最終戦に臨めるはずだった。しかし、2位となったことで18点にとどまり、7点ロスしてしまった。ノリスもピアストリと同様、ピットストップミスで失ったポジションはひとつだが、失ったポイントは3点。ピアストリよりもダメージは小さかった。

 サインツが表彰台を獲得することができたもうひとつの要因は、フェラーリの失速だった。ルイス・ハミルトンが予選でQ1敗退。チームメイトのシャルル・ルクレールはQ3に進出したものの、10番手に終わった。フェラーリは前戦ラスベガスGPの予選でも、ハミルトンが最下位に沈み、ルクレールが9番手だった。

 オーバーテイクが難しく、全車1セットのタイヤで25周までしか走行できないという特別ルールでは、レース戦略で挽回できる余地は少なく、ルクレールは前を走っていたドライバーが何台か脱落したおかげでなんとか8位でフィニッシュ。ハミルトンはソフトタイヤでスタートするというギャンブルに出たが、SCが7周目に出たことで、ほかのドライバーたちと同じピットストップ戦略を採らざるを得ず、DRSトレインのなかを走り続けた末に12位でフィニッシュした。

 この表彰台でウイリアムズはコンストラクターズ選手権5位の座を確定。ジェームズ・ボウルズ代表は「12カ月前にコンストラクターズ選手権9位だった我々が5位なんて、夢のような話」とチームの全員の努力を讃えていた。

 F1最古の名門チームであるフェラーリと2番目の歴史を誇るマクラーレンの失態によって巡ってきたチャンスを逃さなかったウイリアムズとサインツ。ウイリアムズが1シーズンに2回以上表彰台に上がるのは、2015年(4回/フェリペ・マッサとバルテリ・ボッタスがそれぞれ2回ずつ)以来10年ぶりの快挙だ。その2015年はコンストラクターズ選手権3位のチームとしてメルセデスやフェラーリとトップチームを形成していたウイリアムズ。古豪復活を期待したい。

[オートスポーツweb 2025年12月03日]

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