2025年FIA F2第13戦ルサイル 宮田莉朋(ARTグランプリ/TGR-DC) 9月下旬のバクー戦から約2カ月のインターバルを挟み、2025年FIA F2もシーズン終盤の2連戦を迎えた。前戦バクーで6レースぶりの入賞を果たした宮田莉朋(ARTグランプリ/TGR-DC)は、このインターバル期間も日本へは帰国せず、第13戦ルサイル(カタール)、そして最終戦ヤス・マリーナ(アブダビ)に向けた準備に専念した。
ただ、今季宮田のクルマが抱えているストレートスピード不足の症状は改善されず、カタールでの予選はトップから1秒、チームメイトから0.9秒遅れの16番手となった。
「予選は完璧なラップではありませんでした。ただ(クルマの)パフォーマンスがかなり厳しい部分もあり、完璧なラップを刻めたとしても16番手以上にポジションを上げられたかは難しかったと思います。自分のできるベストを尽くした予選でしたが、厳しいセッションでした」と、宮田はレースウイーク後の取材で振り返った。
低速コーナーがなく、高速コーナーとストレートを繋いだルサイル・インターナショナル・サーキットは、ストレートスピード不足を抱えるクルマではなす術がない。ナイトセッションとなったスプリントレースではスタートでポジションをひとつ下げ17番手となると、レース後半に他車のストップでセーフティカー(SC)導入を迎えた。
これで後続勢がピットインして柔らかめのオプションタイヤへ交換するなか、宮田はステイを選択して一時は13番手に浮上。しかしリスタート後に、タイヤ交換組がハイペースで追い上げたことでポジションを下げることになり、最終的にスタートポジションと同じ16位でチェッカーとなった。
「スプリントレースはストレートスピード不足に加え、タイヤのデグラデーション(性能劣化)もかなり大きく、引き続き厳しいレースとなりました。そんな厳しい状況でも、翌日のフィーチャーレースに向けてしっかりとデータを得られるように、いろいろと手探りな状況ではありましたが、ベストを尽くして戦いました」と、宮田。
翌日の日中に行われたフィーチャーレースで好スタートを決めた宮田は一時は14番手に浮上するが、2周目のターン1までにポジションを16番手まで戻すことになった。
「スタートはターン1までは良かったのですが、ターン1のイン側ポジションはターン2ではアウト側になってしまうなか、そこで行き場がなくなりました。それに、ストレートスピードが遅く、ターン1までのホームストレートで簡単に抜かれてしまうため、結果的に1周でポジションを戻す結果になりました」と、宮田は振り返る。
振り出しに戻ったかたちとなるなか、オプションタイヤでスタートした宮田は6周目終わりにプライムタイヤに履き替えて、ロングスティントに入った。ただその翌周、スローダウンした宮田のマシンがピットロードに戻る姿が国際映像に映し出される。宮田はそこでマシンを降り、2カ月ぶりのレースウイークを終えた。
「具体的なトラブルの原因については、チームがメカクローム(エンジンサプライヤー)に調査を依頼している状況ですが、オルタネーターが壊れたということだけはわかっています。なぜオルタネーターが壊れたのか……そのほかにも故障がないか確認してもらっている状況です」
またしても、チームや宮田の介在できないエンジントラブルが起きてしまった。宮田のFIA F2参戦2年目は、初年度よりもエンジントラブルが多発している。そんな2025年シーズンはすでにチャンピオンが決定し、次のアブダビで最終戦を迎える。
「アブダビは1年前にテスト(2024年シーズン最終戦後の合同テスト)もあり、そのときの感触は今ほど悪くありませんでした。まずは、そこのパフォーマンスにクルマを持っていきたい。そこまで引き上げられるかは定かではありませんが、自分は自分でやるべきこと、やれることをやり切りたいと思います。そして、シーズンの最後こそはマシントラブルもなく、走り切りたいです。マシントラブルに関しては、自分でやれることは少ないですが、それでもいいレースで締めたいと思います」
2025年シーズンの最終戦となる第14戦ヤス・マリーナは12月5〜7日に、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催される。宮田が満足できる走りができることを願うばかりだ。
[オートスポーツweb 2025年12月03日]