ナイツ・塙「お笑いというのは自分のマイナスをプラスに変えることができる」 『笑辞苑』発売会見レポ

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2025年12月03日 19:00  リアルサウンド

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ナイツ・塙宣之

 漫才コンビ・ナイツの塙宣之による最新書籍『笑辞苑(しょうじえん)』(双葉社/11月19日刊)。本書の発売記念イベントが開催された芳林堂書店・高田馬場店にて会見取材が行われ、執筆の経緯や本書に込めた思い、さらには自身の「お笑いの原点」について語った。


【写真】ナイツ・塙、顔面骨折の影響は? 記者会見での様子


 『笑辞苑』は、塙が月刊誌「EX大衆」(双葉社)にて約5年にわたり連載しているエッセイをまとめた1冊。


 会見取材にスーツにチェック柄のネクタイを締めて登場した塙。『笑辞苑』というタイトルについて「広辞苑ならぬ『笑辞苑』にしよう」という思いから名付けたと切り出し「現在の自分の笑いについて考えていることなどをまとめさせていただきました。(内容は広辞苑のように)ア行から始まる1つのテーマについて、いろいろ話している。非常に読みやすくて、面白いんじゃないかなと思います」と説明。


 執筆のきっかけについて「連載がある程度形になってきたので、1冊の本にしたらいいんじゃないかという話があった」と明かしつつ「今までも本は出させていただいたのですが、今の自分がお笑い全般について思っていることを書いて、後で自分が見返したときに『こういうことだったんだ』と確認するためにも本を出しておこうかな」と出版に至った経緯を解説。また本書がナイツを取材するマスコミにとっても「取材の際にこれを読んでおいてくれれば」という説明書的な役割も果たすと付け加えた。


 さらに「週に15時間半、ラジオを毎日やっていますが、ラジオでは浅いお笑いの話が多い。ラジオでは話さないような思いを表現する場所が欲しかった。若い人に向けてもそうだし、40代である我々の葛藤なども(本書に)書いていると思います」と、ラジオとは異なる「深い」内容であることを強調。


 本書にも綴られている「お笑いの原点」について聞かれると「幼稚園の時にうんちをもらしてしまい、小学校に入学してからも(当時のことを)からかわれ、学校へ行くのが嫌だなと思っていた時期があった」「兄に『うんちを漏らしたことを今も学校でからかわれているんだよ』と相談したら、兄からもからかわれるようになって」と回顧。そんななか「加藤茶さんの『うんこちんちん』というギャグを見て『うんこをネタにしたらいいんだ』と思い、小学4年生のときに『うんこの歌』を作った。初めてつくったお笑いのネタをみんなの前で歌ったら、そこから人気者になった」とエピソードを披露。「『お笑いというのは自分のマイナスをプラスに変えることができるんだ』という気づきが原点になった」と、自身の根底にあるお笑い哲学を語った。


 今後の展望や野望について聞かれると「あんまり、こう言うとまたね、あれなんですけど……」と前置きしつつ「夢は億万長者なので、ドバイで一攫千金。漫才協会のドバイ支部をつくって……今はこれ以上は言えませんけれど」と会場を沸かせた。「漫才協会はお金がないので、いつか一攫千金をして、自分たちの持ち小屋を作りたい」「そこに毎日、漫才協会の芸人が出て、ちゃんとギャラも今よりお支払いしていくということをやりたい」と、塙節を効かせながらも漫才協会会長としての熱い思いを吐露している。


 また2025年を振り返るなか、ドラマの聖地巡礼中に顔面骨折をしたことに触れ「転んだ場所が第二の聖地になり、Googleマップで(塙が転んだ場所として)誰かが印を付けていた」と明かしつつ「当時は仕事がなくなるんじゃないかと怖かったが、復活してからは『来た仕事は全部やろう』と決めてやってきました」と前向きな姿勢を見せた。


 最後に世知辛い世の中、生きづらさを感じている読者に向けて「ぜひ皆さんもいろいろ悩みがあると思うんですけども、全て笑いで消化していただけるような人生を歩んでいただきたい」とエールを送った。


 「漫才」や「ラジオ」だけでは語り尽くせない、塙宣之の「お笑い」への深い考察と愛が詰まった『笑辞苑』。本書の魅力と、人生を笑いに変えるポジティブな姿勢が存分に伝わる会見となった。


(取材・写真=リアルサウンドブック編集部 文・構成=あんどうまこと)



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