『ダーティハンター』© MERCURY FILMS All rights reserved.世界的に鑑賞不可能だった幻の陰鬱映画『ダーティハンター』が2026年1月2日(金)より全国順次公開されることが決定。メインビジュアルと場面写真が解禁された。
本作は1974年製作のスペイン映画で、日本では1975年の劇場公開と数回のテレビ放送以降、ソフト化されることもなく、世界的にも鑑賞困難だった。そんな本作が、ついに半世紀の時を経て劇場に復活。
『ミニミニ大作戦』などで知られるイギリスの鬼才ピーター・コリンソンが監督を務め、デヴィッド・オズボーンによる小説「OPEN SEASON」を原作に、『イージー★ライダー』のピーター・フォンダ主演で映画化した恐怖のサスペンス・アクションだ。
物語は、ベトナム帰還兵のケン、グレッグ、アートの3人が、それぞれ結婚し子どもも生まれ、社会的成功者としての生活を満喫し、絵に描いたような幸せを手に入れていたところから始まる。だが彼らには誰にも話すことのできない趣味があった。その趣味とは、「人間狩り」。狩りが解禁になる週末、3人は荷物をまとめ、獲物を捜しながら狩猟場へと出発する。
人間狩りという、数々のホラー・サバイバルアクション映画で扱われてきた設定ながら、バトルロワイヤル的な娯楽性は排し、人間性や道徳性を完全に失った男たちの異常な姿をとおして、人間そのものとアメリカの闇を浮き彫りにする本作の鮮烈さは現在も失われていない。
サム・ペキンパー『わらの犬』とジョン・ブアマン『脱出』を合体させたような陰惨さ、『ソルジャー・ボーイ』『タクシードライバー』『ローリング・サンダー』などのベトナム帰還兵の苦悩を描く作品群との類似性を持ちながらも、スペイン映画である本作はそのどの作品とも異なる質感を放っている。
また、冒頭から最後まで、希望を裏切る出来事が次々と続くいっさいの爽快感のなさ、ハンターたちが獲物を精神的に追い詰めていく長い描写など、神経がすり減るトラウマ映画の傑作ともいえる。
解禁されたメインビジュアルでは、動物では飽き足らず、人間を狩るというレジャーを楽しむ倫理観の欠落した男を演じるピーター・フォンダの不気味な表情と、暴力に支配された本作の象徴といえるライフルを中央に大きくフィーチャー。「愛する妻、かけがえのない子どもたち、深い友情で結ばれた仲間…揺るぎない幸せを手に入れた男たちはまた、人知れず狩場へ旅立つ」「この国の狂気は、人間狩りに行き着いた。」というコピーも添えられている。
共演に『バーバレラ』のジョン・フィリップ・ロー、『スケアクロウ』のリチャード・リンチ。フォンダとともに満面の笑顔をみせる場面写真での一コマはなんとも歪んだ迫力だ。ハンター3人に目をつけられ、獲物とされてしまうカップルを演じるのは、『セルピコ』のコーネリア・シャープとアルゼンチン映画批評家協会賞を受賞している『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急地獄行』のアルベルト・デ・メンドーサ。ゲストスターとしてウィリアム・ホールデンも出演している。
『ダーティハンター』は2026年1月2日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開。
(シネマカフェ編集部)