塩素とカリウム、恒星内部で生成か=超新星残骸から初検出―京大など
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2025年12月04日 19:31 時事通信社

京都大や明治大などが参加する国際研究グループは、X線天文衛星「XRISM(クリズム)」で超新星爆発の残骸を観測した結果、生命維持に欠かせない元素のうち塩素とカリウムを初めて検出したと発表した。いずれも爆発前に星の内部で大量に合成されている可能性が高いことも初めて分かった。論文は4日、英科学誌ネイチャー・アストロノミー電子版に掲載された。
超新星爆発は、質量が大きい恒星が寿命を迎えた際に起きる現象。多くの元素は恒星内部の核融合によって生み出された後、星の爆発によって宇宙空間にまき散らされる。ただ、カリウムや塩素は比較的存在する量が少なく、これまでは検出が難しかった。
研究グループは、従来の10倍以上の精度でX線を観測できるクリズムを使って超新星爆発の残骸「カシオペア座A」を観測。データを解析した結果、カリウムと塩素の存在を初めて確認した。
いずれも理論値の数倍の量が存在することも判明した。爆発直前に恒星内部にある元素の層が激しく対流して混ざり合うことで、カリウムと塩素が大量に生成されている可能性が高いという。
京大大学院生の松永海さんは「カリウムや塩素の起源の一端を示すことができた。他の超新星残骸も観測して、普遍的な元素の生成過程を解明したい」と話している。
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