エクストリームHが男女機会平等の成果を発表。女性ラップ平均が91%向上し、男女差0.36秒に「ほんの始まり」

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2025年12月08日 17:50  AUTOSPORT web

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男女16名の初年度レギュラーが顔を揃えた世界初の水素燃料ワンメイク・オフロード選手権『FIA Extreme H World Cup(FIAエクストリームHワールドカップ)』
 サウジアラビアのキディヤにて幕を開けた世界初の水素燃料ワンメイク・オフロード選手権『FIA Extreme H World Cup(FIAエクストリームHワールドカップ)』が、男女ドライバーのラップタイム調査の結果を発表。FIA国際自動車連盟による公式タイム計測では、2分間のラップタイムにおいて男女ドライバーの平均速度差はわずか0.36秒となり“歴代最小”の大きな節目に。

「これは包括的で適切に構成された競技が真の進歩を促し、次世代の女性レーサーに刺激を与えることができるという力強い例であり、ほんの始まりに過ぎない」と、その取り組みの成果を強調している。

 電動オフロード選手権として、初めて男女混合ドライバーの編成を義務化した前身『エクストリームE』の伝統を受け継ぎ、先々月の10月初旬に華々しいラウンチを飾った新シリーズには、男女16名の初年度レギュラーが顔を揃えた。

 そのレースウイークを通じ、前述のタイム差は全タイムトライアル、マルチカーレース、そして最終8台による決勝“マルチカーレーシング”を含む平均差であり、このデータは平等な競技環境(平等なシートタイム、同じマシンへのアクセス、エンジニアリングサポート、メンターシップ、そして先進技術)が与えられれば、女性ドライバーも男性ドライバーと同等の成績を、モータースポーツの最高レベルで達成できることを如実に示す重要な指標となった。

「このワールドカップは、モータースポーツを変革するだけでなくスポーツにおける平等のあり方を再定義する。初開催にして、エクストリームHはプロスポーツ界における女性ドライバーにとって、もっとも強力なプラットフォームのひとつとなった。そして、これはほんの始まりに過ぎないんだ」と語るのは、おなじみシリーズ創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグ。

「歴代シリーズを通して、世界最高の女性ドライバーがFIA世界チャンピオンのセバスチャン・ローブ、カルロス・サインツ、ナッサー・アル-アティヤ、ジェンソン・バトン、ヨハン・クリストファーソン、そしてティミー・ハンセンといった世界最高峰のドライバーたちと対等に競い合える環境を築き上げた。それを結果が物語っている。機会が平等であれば、パフォーマンスは後からついてくる。これこそ、我々が証明しようとしている変化だ」

 改めて創設初年度となる2021年エクストリームEの“シーズン1”から、今季2025年の最新のエクストリームH開幕戦まで、同じデータポイントで計測したところ、スーパーセクターにおける男女ドライバーのパフォーマンス差は4.5秒からわずか0.4秒に縮まり、その改善率は91%という驚異的な向上を記録した。

 今季も自らのチームであるJBXパワード・バイ・チーム・モナコを率いる元F1王者ジェンソン・バトンも「これらの結果は、平等性とパフォーマンスが両立できることを証明している」とシリーズの積み重ねを称賛する。

「エクストリームHは、前進のBEV時代を含め、誰もが実力で競い合う体制を構築してきた。ストップウォッチがそれを証明しているね」

 今季のエクストリームHワールドカップには、開幕勝者で元オーストラリア国内ラリー選手権王者のモリー・テイラーを筆頭に、ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー、ケイティ・マニングス、クララ・アンダーソン、ヘッダ・ホサス、クリスティン・GZ、アマンダ・ソーレンセン、グレイ・リードベターといった世界クラスの女性ドライバーたちが集結している。

 そのうちもっとも経験の少ない“ルーキー”である北米出身のリードベターは、良き一例として最高出力400kW(550PS)を発揮する水素燃料電池スタック搭載ワンメイク車両『Pionner 25(パイオニア25)』のセンターシートに座り、全イベント平均で5番手という好タイムを記録。

 重量2200kg、全幅2.4mの巨体ながら、0〜100km/hを4.5秒で加速し、最大130%の勾配も踏破する“ハイドロジェン・モンスター”を操り、クリストファーソン(WorldRX世界ラリークロス選手権で8度のタイトルに輝き、エクストリームEでも2度のチャンピオンを獲得)や、開幕戦勝者のケビン・ハンセン、そしてDTMドイツ・ツーリングカー選手権“2冠”のティモ・シャイダーといった選手よりも上位のタイムを記録してみせた。

「カーレースは男女の区別がない唯一のスポーツだ。エクストリームHでトップクラスの選手たちと競い合える機会を得られたことは、女性である私たちにとって、男性と同等の力と能力を持っていることを証明する素晴らしい機会になるはずね」

 同じく、今季はKMS(クリストファーソン・モータースポーツ)の育成チームでもあるTeam EVENから参戦し、水素燃料ワンメイク車両の開発ドライバーも務めたヘッダ・ホサスも「今ではその差はごくわずか」だと続ける。

「もはや性別ではなく、正確さ、チームワーク、そしてどれだけのリスクを取るかが重要になっている。これこそ真の進歩の証だ」

 そして、ひさびさのシリーズ復帰を果たした“GZ”ことクリスティーン・ジャンパオリ-ゾンカ(JBX)は「エクストリームEに参戦した頃は、男女間の差は大きく、学習曲線も非常に大きかった」と、その取り組み初期を振り返る。

「しかし今、エクストリームHでは私たちは対等にレースをしている。ここにはテクノロジー、環境、機会、すべてが揃っている。エクストリームHのメッセージは明確で、よりクリーンで公平な未来を目指すレースにおいて、才能に性別は関係ないの」

[オートスポーツweb 2025年12月08日]

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