画像提供:マイナビニュースマンションリサーチの福嶋総研は、中古マンション取引における「心理的瑕疵」が市場価格に与える影響について、独自データを用いた分析結果を公表した。
一般的に、自殺や事故死などの事象が発生した「心理的瑕疵物件」は価格が下がりやすいとされているが、今回は同一マンション内の別住戸の価格にまで影響が及ぶのかを検証するため、2009年〜2021年に心理的瑕疵が発生した港区内の中古マンション20棟を調査した。分析では、「事由発生日の1年前〜発生後3年」の4年間における別住戸の成約価格推移と、売出件数の変化に注目した。
調査の結果、心理的瑕疵が発生しても、同一マンション内の別住戸の価格が下がるとは言えないことがわかった。価格が下落傾向を示したマンションはわずか2棟のみであり、これらも築古物件であることから、老朽化による価格下落の影響が大きい可能性が高いとい。
調査期間中(2009年から2021年)の港区中古マンション市場は、都心回帰や投資需要により強い上昇基調にあった。この強い市況環境が、心理的瑕疵というネガティブ要因を相殺し、マンション全体の価格は相場の上昇傾向に沿って推移していた。また、心理的瑕疵の発生によって売出件数が不自然に増えるといった、所有者の売却行動の変化も確認されなかった。
この結果から、心理的瑕疵の影響はマンション全体の資産価値に及ぶほど強いものではなく、「発生した住戸」に限定される傾向が強いと考察されるという。特に需要の強い都心エリアでは、市場の強い上昇相場に影響が吸収される傾向が確認された。(フォルサ)