ローソン、今治市内に「Pontaよろず相談所」5店舗導入 - リモート接客システムで“日常生活のお悩み”が相談可能に

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2025年12月09日 17:51  マイナビニュース

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ローソンは愛媛県今治市と包括連携協定を締結し、KDDIとの連携のもと12月5日より「Ponta よろず相談所」を提供。オンラインやAIなどを活用し、しまなみ海道が繋ぐ島しょ部を含めた市内5店舗で市役所相談や公共ライドシェアなどを開始した。


○今治市内5店舗のローソンにリモート接客システム導入



愛媛県今治市は大島・伯方島・大三島を中心とした島しょ部を抱えている。このしまなみエリアと呼ばれる島々を繋ぐ「瀬戸内しまなみ海道」は風光明媚で知られ、とくにサイクリングロードとして名高く、国内外から多くの観光客が訪れる。



だが、現地では少子高齢化とともに移動手段の確保と生活利便性の低下が大きな課題となっている。具体的には、路線バス以外の公共交通がないことによる「交通空白」や、高齢者をはじめとする「買い物困難者」の発生だ。



このような状況の中、愛媛県今治市とローソンは12月4日に包括連携協定を締結。12月5日に島しょ部を含めた市内5店舗で、KDDIの通信・AI技術を活用したリモート接客システム「Pontaよろず相談所」など5つのサービスをスタートさせた。

○AIや専門スタッフに相談できる「Pontaよろず相談所」



「Pontaよろず相談所」は、ローソン店内の専用ブースに設置されたリモート接客システムを通じて、AIコンシェルジュや各分野の専門スタッフに相談が行えるサービスだ。


暮らしに関わるさまざまな相談のみならず、今回の包括連携協定を通じて、今治市役所が行っている「市民が真ん中相談センター」ともビデオ通話が可能となった。ブースにはWebカメラやマイクのほか、書画カメラも設置されており、書類の内容などについてアドバイスを受けることも可能だ。



その皮切りとなったのは、6月に東京都品川区でオープンした“Real×Tech LAWSON”の1号店である「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」だが、自治体と連携したサービスを実装するのは今回が全国初となる


「暮らしのサービス」ではホームサーブを、「お食事・栄養相談」ではウェルネスダイニングの専門スタッフを呼び出すことが可能。この他、AIコンシェルジュに「スマートフォン・携帯電話」「でんき・ガス・インターネット回線」「金融サービス」「よろず相談サービス案内」「Pontaパス」などの用件について相談できる。


合わせて、地域の方が集まる場所として活用できる「コミュニティスペース」、PCやスマホなどを繋いで資料投影しワークショップなども開催できる「店内モニター」、今治市の地域情報などを発信する「店外向けサイネージ」も一部店舗で導入される。


さらにローソン 伯方島インター店では「貨客混載」サービスも実施。島民の方がドライバーを担う公共ライドシェア事業「のりあいサービス」、島民の方の買い物代行サービス「はいたつサービス」によって、地域経済循環を促進する。



導入店舗(導入サービスはいずれも12月5日から開始)


今治馬越町三丁目店

 (Pontaよろず相談所/コミュニティスペース/店内モニター/店外向けサイネージ)


今治別名店

 (Pontaよろず相談所/コミュニティスペース/店内モニター/店外向けサイネージ)


伯方島インター店

 (Pontaよろず相談所/コミュニティスペース/店内モニター/貨客混載)


大島吉海店 (Pontaよろず相談所のみ)


今治北日吉町店 (Pontaよろず相談所のみ)



○ローソン 今治馬越町三丁目店でオープンセレモニー

サービス開始当日の12月5日にオープンした「ローソン 今治馬越町三丁目店」ではセレモニーも開催され、記念すべき第一歩を祝うために関係各者が集った。同時に「Pontaよろず相談所」が設置される5店舗では記念セールも行われ、多くの来客で賑わいを見せた。


ローソンの代表取締役社長を務める竹増貞信氏は「いままでのローソンにはなかった色々な形のチャレンジをしている」と説明しつつ、「ただの売店ではなく、市民の方々が集って、笑顔で、いわゆる人間交差点のようにみなさんが交わっていくようなお店を目指していきたい」と展望を述べた。


また今治市の市長を務める徳永繁樹氏は、「今回の店舗はいわゆる“フェーズフリー”。普段は安心を、そして何かあったときには備えとなる新しい店舗」と言い表すとともに、市内に情報発信を行う店外向けサイネージを評価した。


では、肝心の島しょ部の反応はどうだろうか。「ローソン 伯方島インター店」では、「Pontaよろず相談所」を設置するために拡張したスペースを高齢者のみなさんが訪れ、利用方法や活用の仕方を聞いている様子が見られた。四国本土に済んでいる方以上に、このサービスを切実に必要とされていることが伺える。


○「のりあいサービス」と「はいたつサービス」



伯方島インター店は、唯一「貨客混載」サービスが提供される店舗だ。伯方島にはタクシー事業者が存在せず、またタクシーを呼ぶ場合は橋を渡るための料金も別途かかってしまう。さらに循環バスは1時間に1本しかなく、高齢者も含め多くの住民は自家用車を運転している状況にある。


そこで今回、ローソンと今治市、Community Mobility(コミュニティ モビリティ)、イオンモール今治新都市、今治.夢スポーツ(FC今治)が「伯方島モビリティコンソーシアム」を組み、地元住民がドライバーとなる「公共ライドシェア」の実証実験を11月18日にスタートさせた。



Community MobilityはKDDIとWILLERが出資している会社で、相乗りオンデマンド交通サービス「mobi」を運営しており、公共ライドシェアの運営主体は同社が担う。依頼が入ると、登録ドライバーのアプリに通知が行われ、入札形式で受注する仕組みだ。



さらに12月5日より追加されたのが、ドライバーが島内のお店で買い物代行を行う「はいたつサービス」。現在13名のドライバーが登録しており、サービス内容に応じて「のりあいサービス」または「はいたつサービス」のマグネットシートを車体に貼り分けて運行する。



登録ドライバーの一人である野間さんは、「移動や買い物で困っている伯方島の住民のお役に立ちたい」という一心で実証実験に参加したという。だが「のりあいサービス」では人の命を預かることになるため、責任の重さを感じながら日々運転を行っているそうだ。高齢化や交通手段の限られた地方における地域交通のひとつのあり方として注目したい。


公共ライドシェアは11月18日から、配達サービスは12月5日からスタートしており、2026年1月31日までの期間で行われる予定だ。現在のサービス範囲は伯方島内に限定されているが、将来的にはしまなみ海道全域への拡大も検討されている。



今回の今治市における取り組みは、ローソンが掲げている「ハッピー・ローソンタウン」への導入も見据えたもの。これは、お店を拠点に、世代を超えて、だれもが幸せに暮らせるマチづくり構想を指しており、地方再創生という目標に向けた同社の取り組みの一環と言えるだろう。(加賀章喜)

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