山下&ロバンペラ、そして“技術コラボ”でも注目のKCMG。WRC王者は「すごく謙虚」/SF鈴鹿テスト

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2025年12月09日 19:00  AUTOSPORT web

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カッレ・ロバンペラ(Kids com Team KCMG) 2025スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト/ルーキーテスト
 12月10日から3日間の予定で行われる全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同/ルーキーテスト。例年、翌年のドライバーラインアップを占う意味でも重要な位置付けとなるテストであり、すでに先週発表されたエントリーリストにおいても、2026年の新たなラインアップが示唆されたチームもあり、注目が高まっている。

 とりわけ、今回のテストでは2025年シーズンのレギュラードライバーふたりが別チームへと移ることとなったKids com Team KCMGは気になる存在だ。今回の鈴鹿では、2025シーズンまでKONDO RACINGに所属していた山下健太が7号車に、そしてWRCからの転向となるカッレ・ロバンペラが8号車のステアリングを握る。


■松田次生アンバサダーの存在に喜ぶロバンペラ

“ルーキー”であり、来季のSFフル参戦がすでに発表済みのロバンペラは、出走4戦未満のルーキードライバー限定となるセッション5・6まで含め、3日間ひとりで8号車を乗り通す。一方の7号車では山下が最初の2日間を走り、ルーキー限定セッションでは2025年のFIA F4王者である鈴木斗輝哉が出走することになっている。

 起用法や鈴木のポジションなどを考慮しても、2026シーズンのKCMGは山下&ロバンペラというコンビで戦うことが濃厚と言っていい状況だ。

 12月9日、走行前日の鈴鹿サーキットでは、KCMGのピット内にハイテックのウエアを着た外国人スタッフの姿も見られた。来季体制発表前ということで、今回のテストに限定し、ドライバー起用やスタッフ構成について土居隆二監督に話を聞く。

 山下とロバンペラという2名の起用について話を向けると、土井監督はまず、2025年シーズンまでチームに在籍した小林可夢偉と福住仁嶺の功績に言及した。なお可夢偉はKDDI TGMGP TGR-DCから、福住はdocomo business ROOKIEから、今回のテストに出走する。

「可夢偉はウチで9年間乗って、1回も勝たせてあげることができませんでした。可夢偉は『KCMGで勝つまでやる』と言ってくれていたのですが……」と無念そうな表情を見せる土居監督。

「仁嶺はポールポジションこそ獲れたものの、1勝もしていないなかでこういう形となってしまいました。可夢偉とやってきた9年間、うちは随分育ててもらいましたし、彼には本当にいろいろな形で貢献してもらいました。可夢偉と優勝ができなかったのは本当に残念です」

 一方で土居監督は、トヨタとの関係性を重要視していることにも言及。その協力関係のなかで、山下・ロバンペラのテスト起用という話に向かっていったことを示唆した。

 山下の起用については「(山下は)ついこの前まで他チームで乗っていて、しかも今年ポールポジションを獲っていて、しかも勝った経験がある。ライバルチームのクルマも分かっている上で、今度はウチのクルマの評価をして、データやコメントを提供してくれる。そういった環境を(トヨタが)用意してくれたことに、非常に感謝しています」と土居監督。

 WRCタイトルを2度獲得しているロバンペラについては、モリゾウこと豊田章男トヨタ自動車会長からも後押しがあったようで、「最終戦のグリッドでも、先日のトヨタさんのイベントでも、モリゾウさんから『彼、よろしくね』とおっしゃっていただきました」と土居監督は明かす。

「若くしてラリー界のレジェンドのような存在。そんな彼を、我々に預けてくださったわけです。もちろん、彼にとってはとても大きなチャレンジではありますが、その挑戦を『KCMGさんで』と言っていただいたので、我々としてはもう、喜んでやらせていただきます、と」

 テスト走行前日の9日、シートフィッティング等の作業がピット内で行われていた。土居氏はロバンペラの第一印象を「すごく謙虚で、すべてのことに耳を貸す姿勢ですね」と、WRC王者ながら控えめなパーソナリティが特徴的だと話す。

 また、チームアンバサダーを務める松田次生も、このテストでは引き続きその役職に就くということで、「『ベテランドライバーがオンボードを見て、データを見て、ドライビングコーチ的にサポートする予定だよ』とロバンペラに伝えたら、すごく喜んでくれました」と土居監督は言う。

 なお、今回のテストではハイテックのエンジニアリングスタッフの姿があるが、これは技術的なコラボレーションの一環なのだという。10月末にヘレスで行ったFIA F2の旧車でのテスト、そして来年1〜2月にニュージーランドで出場するトヨタ・フォーミュラ・リージョナル・オセアニア・トロフィーがいずれもハイテックからの出走ということで、ロバンペラにとってある程度継続性のある環境・スタッフでスーパーフォーミュラ初走行を迎えられるという点にも配慮されたものだという。

「今回はあくまでトライ、テストケースということでやっています。来年の体制に関してはまだ分かりませんが、当然ひとつのアイデアには入っています」と土居監督。KCMG側にとっては、ヨーロッパの最新のエンジニアリングやオペレーションを吸収する良い機会とも捉えているそうだ。

 すでにベテランの域に達している実績充分の山下と、異世界からの転向が話題を呼ぶロバンペラ。それぞれ、新しい環境でどのような走りを見せてくれるのか。鈴鹿テストでの大きな注目ポイントとなりそうだ。

[オートスポーツweb 2025年12月09日]

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