
知名度が高い文学賞の「芥川賞」と「直木賞」。受賞作が発表されると、書店でその本が山積みになった風景を目にしたこともあるかもしれません。一方、2つの賞の違いや開始時期、賞金はあるのか、など知られていない側面もあるのではないでしょうか。今回で174回を迎える2つの賞を主催する「日本文学振興会」に取材しました。
Q:芥川賞と直木賞は何が違うの?
A:芥川賞は、新進作家による純文学が対象です。純文学は、「娯楽性よりも芸術性を重視した小説」と説明されることもありますが、日本文学振興会は「簡単に定義できるものではなく、これまでの受賞作を読んでいただきたい」としています。一方の直木賞は、新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本が対象です。
Q:いつ始まったの?
A:2つの賞は、芥川龍之介と、大衆文芸の世界で活躍した直木三十五(の名前を冠した賞で、生前に親交のあった出版社・文藝春秋の創業者である菊池寛によって創設されました。2つの賞はともに1935年に第1回目が開催され、戦後の一部時期を除いて1年に2度、上半期と下半期に行われています。2023年下半期に170回目を迎え、歴史ある賞であることが分かります。
Q:どうやって選ばれるの?
A:対象期間内に刊行された作品から予備選考委員会を経て最終候補作が選ばれ、作家らで構成される選考委員らによって受賞作が決定します。1度に選ばれるのは2作が上限で、「該当作なし」となることもあります。対象期間は、上半期が前年12月から5月まで、下半期は6月から11月までです。
Q:受賞すると賞金がもらえるの?
A:受賞者には、正賞として懐中時計が、副賞として100万円が贈られます。懐中時計が贈呈されることになった経緯について、日本文学振興会は「正式な記録は残っていない」としながらも、「賞金だけでは味気ないので、記念品として渡すことになったようだ」としています。過去には、腕時計だった時もあったようです。
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Q:これまで、どういう人が受賞してきたの?
A:芥川賞だと、村上龍さん、平野啓一郎さん、綿矢りささん、又吉直樹さんら。直木賞だと、浅田次郎さん、東野圭吾さん、角田光代さん、池井戸潤さんらが受賞してきました。
