ウーバーイーツ配達員がタワーマンションのパーティルームへの配達で目撃した「パーティあるある」【チャリンコ爆走配達日誌】

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2025年12月11日 07:20  週プレNEWS

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私がこれまでに見たタワマンでの「パーティあるある」を紹介します


私がこれまでに見たタワマンでの「パーティあるある」を紹介します

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第129回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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年末年始はパーティの季節ですね。パーティというと参加人数100人以上の店で盛大に行なうものから、5、6人程度の家族で集うホームパーティまで、さまざまです。タワーマンションが立ち並ぶエリアで配達するタイプの私にとって、年末年始のパーティのイメージは参加人数10〜20人ほどの中規模なものです。

そこで今回は、年末年始に行なわれる中規模パーティあるあるを紹介します。

タワーマンションの中には住民が自由に利用できる共用施設が充実しているところがあります。東京・有明や晴海など、鉄道でのアクセスが他のエリアと比べてそれほど良いとは言えないところでは、サウナやトレーニングルーム、プールにゴルフ練習場などまで備えた、アクセス面を補ってあまりあるほど共同施設が充実しているマンションもあります。

そんな中、比較的多くのマンションで取り入れているのがパーティルーム。間取りは高級ホテルのスイートルームほど。部屋がいくつかあり、ソファを備えたリビングや食器などを揃えたキッチン、ダイニングルームなどがあるようです。マンションのホームページを見ただけで、実際に中に入ったことはないので細かいところまではわかりませんが、10〜20人ほどが部屋で飲食しても狭いということはない間取りのようです。

大人数の料理を作るのは面倒なもの、しかも、パーティルームは貸し切ることができる時間が決まっているようなので、材料を持ち込んでキッチンで調理するのは効率が悪いのでしょう。こういったところでパーティをする人の中には、ウーバーイーツを利用される方がけっこういます。

そんなパーティルームの一番のあるあるは、ドアの前に半端ない量の料理が置かれがちなこと。

ウーバーイーツの最大の魅力は、たくさんの店から料理を注文できること。一般的なパーティであれば、いろいろな料理がひとつの皿に盛り込まれたオードブルセットを一軒の店から頼みますが、ウーバーならいろいろな店からたくさんの料理を頼んでもドアの前まで運んでくれます。

そんなこともあって、中規模なパーティでは10軒以上の店から料理を注文するスタイルがスタンダード。料理を直接受け取るのが面倒なので、置き配にする方がほとんどです。そのため、パーティルームのドアの前は料理だらけ。遅刻してきた人はドアの前の料理をどかさないと部屋に入れない状況になっています。

続いてのあるあるは、特定の配達員と仲良くなりがちなこと。

タワーマンションは、入館手続きが簡単なところでも、高層階へはエレベーターに乗る時間が長くなるため、依頼を受けない配達員が多め。そして、パーティルームのような特別な部屋の場合、普段と入館方法が異なり、さらに複雑になります。そのような状況なので、一度パーティルームまで運んだことのある配達員は、次に同じマンションからの依頼が届いたら、パーティルームのことが頭をよぎり、依頼を断ります。

ですが、先ほど書いた通り、パーティを開催する人はたくさんの店から料理を頼むため、依頼の数は増えます。ただ、一度パーティルームへ運んだ人は、このマンションへの配達依頼をすべて断るので、パーティルーム以外の部屋の住人からの注文も断ってしまいます。

となると、このタワーマンションへ配達する人は、時間をかけてパーティルームへ運ぶ、配達を断らない配達員だけとなり、しかもそういう配達員は数が少ないので、マンションのエレベーターで同じ人と何度も顔を合わせることになります。

そんな状況で高層階まで数分間エレベーターに乗っていれば、自然と会話をしようという流れとなり、次第に「このパーティは俺たちが支えている」という謎の連帯感が生まれてきます。

最後のあるあるは、パーティルームへつながる専用のエレベーターが、香水のにおいですごいこと。

タワーマンションの最上階にパーティルームがある場合、そのひとつかふたつ下の階に共用施設利用のための受付のようなところがあります。そこを通って、パーティルームへとつながる専用のエレベーターで最上階へ向かうのが一般的ですが、このエレベーターが香水の香りで充満していることがよくあります。たまに、その香りの一部を担っているような、高そうなコートを羽織った綺麗なお姉さんとエレベーターに同乗することもあります。

パーティルームで何が行なわれるかはわかりませんが、下は共用施設の受付や共用施設がいろいろ入ったフロア。同じフロアにはパーティルームが数部屋あるだけなので、住民には迷惑がかかることはないだろうな。同乗した時は、そんなことを考えたり、あの料理をかいくぐって部屋へ向かう姿がちょっと面白そう、と思いながら過ごしています。

ちなみにホームパーティでは、弁当チェーンだけでなく、普段はほとんど行くことがない仕出し屋にオードブルを受け取りに行くことが多いです。料理が盛られたプレートが大きすぎてリュックに入らないこともあるので、その場合は自転車のカゴの上に料理を置いて配達先へ向かっています。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

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