国民、埋没回避へ協調路線=揺れる公明、自立に「二股」

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2025年12月11日 07:31  時事通信社

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時事通信社

衆院予算委員会で質問を聞く高市早苗首相=10日午後、国会内
 国民民主、公明両党が2025年度補正予算案賛成にかじを切った。高市内閣が高支持率を保つ中、野党として政権への対決姿勢を鮮明にするより、一定の協調関係を維持した方が得策との判断からだ。ただ、連立離脱後の路線を巡って揺れる公明は立憲民主党との部分的な共闘も決め、立民は通常国会に向けて一定の手応えを感じている。

 「補正予算案には賛成で臨みたい」。国民民主の玉木雄一郎代表は10日の衆院予算委員会での質問後、国会内で記者団にこう明らかにした。

 玉木氏は予算委前の党会合で、高校生扶養控除を縮減しないよう首相に求め、答弁内容を見極めて賛否を判断すると語っていた。首相の回答は「縮減の指示は出していない」と従来の答弁の域を出ないものだったが、質疑を終えた玉木氏は「前向きな姿勢が見えた」などと記者団に強調した。

 日本維新の会が自民党との連立政権を樹立して以来、自民との「是々非々」路線で存在感を示してきた国民民主はお株を奪われる形となり、埋没感が否めない。焦りを募らせる党幹部の一人は「初めから賛成の方向だった」と打ち明ける。

 公明に対しては自民、立民の双方が秋波を送っていた。連立を解消したとはいえ、自民は今後の選挙も見据えて公明との連携維持を狙っており、首相は10日の予算委でも「公明の提言を受けて(補正予算案に)1人2万円の子育て応援手当を盛り込んだ」と随所に配慮をにじませた。

 一方、公明と「中道連合」の結成を目指す立民は、組み替え動議の共同提出を呼び掛けた。野田佳彦代表は「できれば採決(での賛否)も含めて共同で対応できればいい」と語り、補正予算案対応を通じた連携強化に期待をにじませていた。

 公明が決めたのは双方と協調する玉虫色の対応だった。党関係者は「動議を出すなら予算案に反対するのが筋」としていたが、公明幹部は10日、自民幹部に「動議は出すが予算案に賛成する」と伝えた。党幹部の一人は「自維VS立公の構図にはできない」と苦肉の判断の背景を解説した。

 野党共闘の構築には失敗した形の立民だが、「動議の共同提出だけでも大きな成果だ」(幹部)と受け止めている。今国会の残りの課題である衆院議員定数削減法案と企業・団体献金見直し法案の審議に国民民主や公明と結束して対応し、通常国会での連携深化につなげたい考えだ。 

衆院予算委員会での質問を終え、取材に応じる国民民主党の玉木雄一郎代表=10日午後、国会内
衆院予算委員会での質問を終え、取材に応じる国民民主党の玉木雄一郎代表=10日午後、国会内

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