2025年F1第24戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン) 2025年F1第24戦アブダビGP。ドライバーズ選手権首位で最終戦を迎えたランド・ノリス(マクラーレン)は、チームメイトのオスカー・ピアストリに先行を許し、3番手を走行していた。トップを走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とピアストリがタイヤマネージメントに集中するなか、ノリスには4番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)が迫ったため、ギャップを築く走りが求められた。アブダビGP前半を無線とともに振り返る。
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最終戦までもつれ込んだタイトル争い。フロントロウのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)はミディアムタイヤ、3番グリッドのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)はあえてハードタイヤをスタートタイヤに選んだ。フェルスタッペンがホールショットを決める一方で、ノリスはピアストリにかわされた。
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):後ろはピアストリだ。ハードタイヤを履いている。
後方でも何人もの順位が入れ替わる。4番グリッドのジョージ・ラッセル(メルセデス)はスタートで大きく出遅れ、ふたつ順位を落としてしまった。
ラッセル:ブレーキをチェックしてくれ。ペダルが長い。マーカス・ダドリー:了解した。
背後ではピエール・ガスリー(アルピーヌ)とニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が軽く接触した。
スティーブン・ぺトリック(→ヒュルケンベルグ):タイヤの内圧は大丈夫だ。
ガスリーはヒュルケンベルグにいったんはかわされるが、抜き返す。激しい攻防で、何度も接触を繰り返した。
カレル・ルース(→ガスリー):タイヤに問題はない。そのまま行こう。
ブレーキの不具合は直ったのか、ラッセルはペースをあげて行った。
4周目ダドリー(→ラッセル):前のアロンソとのギャップは1秒1だ。アロンソはDRSが使えない。
すぐに抜いて、5番手にあがった。
5周目ウィル・ジョゼフ(→ノリス):君がこれで快適なら、僕らはハッピーだ。プランAがターゲットだ。
ノリスは4番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)に1秒以内に迫られている状態が続いているものの、タイヤを持たせてミディアムでの周回を伸ばすつもりなのだろう。ピアストリ、フェルスタッペンもタイヤマネージメントに集中していた。
トム・スタラード:周回ペースとタイヤはどうだ?ピアストリ:ペースは悪くない。タイヤも今のところ、大丈夫だ。コントロールできているよ。
6周目ランビアーゼ(→フェルスタッペン):いい感じだ、マックス。予定より長く行こうと思う。ペースをキープしよう。
ルクレールは繰り返しノリスのコンマ数秒まで迫り、担当エンジニアはさすがに気が気でない。
ジョゼフ(→ノリス):オスカーにもっとペースを上げてくれと頼んだ。
ピアストリのペースが上がった。
スタラード(→ピアストリ):フェルスタッペンにプレッシャーを与えられるか、やってみよう。
8周目ジョゼフ(→ノリス):フェルスタッペンは右フロントにグレイニングが出ているぞ。君のペースはいい。
14周目、リアム・ローソン(レーシングブルズ)は10番手角田裕毅(レッドブル)を追う展開だった。
エルネスト・デジデリオ:リアム、ターン1ではみ出た。これ以上のストライクはない。ターン1で3ストライクだ。ローソン:3回やったの?
際どいラインを攻めているうえに、視野がかなり狭いこともあって、ローソンに限らずドライバーたちが白線を超えたと意識することは難しいようだった。
15周目ジョゼフ(→ノリス):ルクレールとのギャップをもっと築くんだ。そうしたら、戦略の選択肢が増える。ノリス:後ろとのギャップを教えて。ジョゼフ:ラッセル4秒9、アロンソ6秒3、ボルトレート7秒9、アジャ11秒5だ。プランAで行くぞ。
ミディアムスタート勢は、そろそろタイヤの限界を迎えていた。
ヨルン・ベッカー:もっとアタックだ。ガブリエル・ボルトレート:ベストを尽くしているよ。
ラウラ・ミュラー:もうちょっとプッシュして。タイヤはどう?エステバン・オコン:必死にプッシュしてる。ミュラー:OK。
前を行くラッセル、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)、そしてノリス、ルクレールの上位勢も次々にピットインしたことで、オコンは3番手まで順位を上げた。
ノリスは17周目にピットインした。
スタラード:オスカー、プランAはできると思う?ピアストリ:う〜ん、今のところは……。いや、できるかな。
18周目、ラッセルは5番手ルクレールに猛然と襲い掛かるが、なかなか抜けない。ルクレールの防御に不満の声を上げた。
ラッセル:あれがブレーキング中の動きじゃなかったら、一体何なんだ!ダドリー:ああ。僕らも見ているよ。とにかくタイヤを殺すな。ラッセル:ブレーキングして、それから動くんだ。これじゃ抜けない。
それでもルクレールに違反裁定は出なかった。
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F1第24戦無線レビュー(2)に続く
[オートスポーツweb 2025年12月12日]