
まさか今年も部長は、新年会でも騒ぐつもりなのか……。
先日、ある企業の30代社員から相談を受けた。
「毎年、50代の部長が忘年会と同じノリで新年会でも大騒ぎするんです。今年こそは気を付けてほしいと伝えたいのですが」と。
忘年会なら許せても、新年会では控えてほしい――そんな行動もあるのだろうか。実は、忘年会と新年会では目的が全く異なる。だから許される行動、許されない行動も変わってくるのだ。そこで今回は、忘年会と新年会の違いについて解説する。
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年末年始を迎える今、職場の飲み会を企画しているマネジャー、幹事を任されている若手社員は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
●忘年会と新年会の開催率の違い
年末年始は忘年会、新年会のシーズンである。お歳暮や年賀状などは古い習慣で、もうやめようと取り決める会社も増えている。しかし忘年会や新年会は、まだまだ開催する企業も多い。
忘年会の目的は「としわすれ」だ。その年の慰労が目的として催される。一方新年会は、今年1年を景気よくスタートしたいという思いから催される。新年の挨拶や方針発表なども行われることが多い。
私個人としては、「終わり」より「始まり」に気持ちを入れたいため、忘年会よりも新年会を重視する。しかし世間はどちらかというと、忘年会のほうが開催される率は高い。参加者も多くなる傾向があると思う。これは年末年始における飲食店の売り上げデータからも顕著だ。
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では、なぜ忘年会のほうが人気なのか?
理由は簡単だ。忘年会は「無礼講」だからである(基本に、だが)。
普段は言えない不満を吐き出せる、上司にも気兼ねなく話せるといったように、忘年会はストレス発散の場として機能している。一方新年会は、経営陣からの訓示があったり、今年の目標発表があったりする。どうしても堅苦しくなりがちだ。
だからこそ、新年会では忘年会とは違う振る舞いが求められる。
●毎年繰り返される50代上司の失態
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冒頭で紹介した30代社員の悩みを、もう少し詳しく聞いてみた。
彼の会社では、毎年12月下旬に忘年会、1月上旬に新年会を開催している。忘年会では、50代の部長がいつも大騒ぎする。カラオケで熱唱し、若手社員に武勇伝を語る。
忘年会ならそれでもいい(かもしれない)。1年の労をねぎらう場だから、多少のハメ外しは許される。
しかし問題は新年会だ。
新年会でも、この部長は同じように振る舞う。2次会、3次会と引っ張り、若手を付き合わせる。挙句の果てには「今年も頑張ろうな!」と肩を叩く。
若手社員たちは、毎年うんざりしているという。
「新年会は決起の場なのに、ダラダラ飲んで何の意味があるんですか」
「忘年会と新年会の違いを、部長は理解していないんですよ」
このように感じている若手は多い。
では、具体的に何が問題なのか。忘年会ではOKでも、新年会ではNGな行動を3つにまとめたい。
●新年会でNGな行動3つ
どちらも盛大に行っていいが、新年会では気を付けなければならないことがある。それは次の3つだ。
1. 2次会、3次会にダラダラ引っ張る
2. 愚痴や不満を延々と語る
3. 翌日に響くほど深酒する
最初に紹介したいNG行動は、2次会、3次会にダラダラ引っ張ることだ。
忘年会なら2次会も3次会があっても構わない(もちろん強制はNG)。1年の疲れを癒す場だからだ。しかし新年会は違う。
新年会は1年の新たなスタートを祝う会である。忘年会が、男性がネクタイを緩める場であるとするなら、新年会はネクタイを締め直す場だ。
新年会そのものは盛り上がっていい。しかし2次会やら3次会やらと、ダラダラと飲み続けるのはやめよう。たとえ翌日が休みの日であったとしても、予定した時間で終わらせるべきだ。
新年会の目的は「決起」だ。全員まっすぐ帰宅するよう促すべきだ。
次に紹介するNG行動は、愚痴や不満を延々と語ること。
忘年会では、日ごろの不満や鬱憤(うっぷん)を(多少なら)言ってもいい。
「今年は大変だったな」
「あのプロジェクトは本当にキツかった」
こんな風に、振り返るのが忘年会だからだ。しかし新年会では、過去を振り返るより未来を語るべきである。
「今年はこんなことに挑戦したい」
「新しいプロジェクトを成功させよう」
このように前向きな話題で盛り上がるべき。それなのに、新年会でも去年の愚痴を言い続ける上司がいると「場の空気」はとても悪くなる。若手社員からすれば、「それは忘年会で終わらせてほしい」と思うのが当然だろう。
最後に紹介するNG行動は、翌日に響くほど深酒することだ。
忘年会は1年の締めくくりだ。多少飲みすぎても、年末年始の休暇で回復できる。しかし新年会は、仕事始めの直後に開催されることが多い。
翌日に二日酔いで出社したら、新年早々からパフォーマンスが落ちる。「今年も頑張ろう」と言いながら深酒するのは、矛盾しているのだ。新年会では、ほどほどの酒量で切り上げる。これが大人のマナーである。
●新年会で気を付けるべき3つのポイント
それでは、今年の忘年会、新年会をどう開催すべきか。幹事やマネジャーが気をつけるべきポイントを3つにまとめよう。
1. 1次会で終わらせる
2. 前向きな話題に絞る
3. 幹事は上長が担う
第1に、新年会は1次会で終わらせることだ。
できる限り、1次会でスッキリ終わらせる。新年会そのものは盛り上がっていいが、予定した時間で終わらせるのだ。
幹事は、事前に「今日は1次会で終わりです」と宣言しておこう。可能であれば、「部長や課長の皆さんも2次会に行かず、まっすぐ帰宅してください」と釘を刺す。
第2に、新年会では前向きな話題に絞ることだ。そのためにも幹事が率先して、「今年はどんなことに挑戦したいですか?」と話題を振ろう。そうすれば、自然と前向きな雰囲気になるはずだ。
第3に、幹事は上長が担うこと。
「新年会は19時から21時まで。2次会はなし」
「今年のチャレンジ目標について、話してください」
こんなことをビシッと言えるのは上長しかいない。忘年会の幹事は若手が担ってもいいが、新年会はプロデュース能力の高い役職者に任せたほうがいいだろう。
忘年会はともかく、新年会は「メリハリ」が必要だ。
忘年会は1年の疲れを癒す場。しかし新年会は、今年1年のスタートを祝う場だ。ダラダラ飲み続けるのではなく、スッキリ終わらせるべきである。
もうすぐ年末年始を迎える。今年の忘年会、新年会では、是非この違いを意識してもらいたい。
著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
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