
全盲のシンガー・ソングライター佐藤ひらり(24)が20日、横浜ベイホテル東急でクリスマスディナーショーを行った。出身地・新潟以外でディナーショーを行うのは初めて。
マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」でスタート。松任谷由実の「恋人がサンタクロース」や「ジングルベル」も歌唱して“聖なる夜”の雰囲気を醸し出した。
「まだ少し早いですがメリークリスマス! 今日は関東圏で初のクリスマスコンサートです。こんなすてきな日に、初めての方も、私の歌をいつも聞いてくれている方もありがとうございます。楽しんでください」
“あいさつ代わり”に、自身で作詞作曲した「ほめられて」「恩返し」なども続けた。4オクターブの伸びやかな歌声を自在に操り、何度も大きな拍手と手拍子を浴びた。
後半ではバイオリニスト西垣恵弾さんとのコラボレーションで、美空ひばりの「川の流れのように」と「アメイジング・グレイス」を歌唱した。
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「川の−」は佐藤が音楽に目覚めたきっかけの曲だ。5歳の時、保育園の電子ピアノの自動演奏で流れたきた同曲の旋律に心を奪われた。当時のことを「メロディーだけだったのに吸い込まれるようにとりこになりました。それからは母や保育園の先生がひばりさんの曲をたくさん聞かせてくれて歌うようになりました。ある日、老人ホームで歌って『ありがとう』と言ってもらえた。それまでは『ごめんなさい』という側だった自分が初めて『ありがとう』と言ってもらえた。5歳ながら本当にうれしくて、音楽で『恩返し』をしたいと思いました。その思いが今もずっと続いています」と明かしている。
幼い佐藤が心に決めた歌での「恩返し」の旅はこれからも続く。【松本久】
◆佐藤(さとう)ひらり(本名佐藤英里)2001年(平13)5月28日、新潟県三条市生まれ。24年3月に武蔵野音大卒。11年に自費制作CD「みらい」を発表し、売り上げ100万円を東日本大震災の遺児に寄付した。14年にミニアルバム「なないろの夢」でデビュー。21年に三条市で初の「市民栄誉賞」。22年に新潟県の「観光特使」。148センチ、血液型A。
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