古舘伊知郎「死んだ人を忘れていくのも世の摂理だから」/トーキングブルース2025<7>

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2025年12月21日 10:00  日刊スポーツ

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「古舘伊知郎トーキングブルース2025」

“しゃべり屋”古舘伊知郎(71)が、今月7日の東京・EXシアター六本木から「古舘伊知郎トーキングブルース 2025」をスタートさせた。来年1月からは福岡、名古屋、大阪、横浜と“しゃべりの巡礼”に出る。テーマは「2025(ニセンニジュウゴ)」。今年を2時間、ノンストップでしゃべりまくる。古舘に聞いてみた。


   ◇   ◇   ◇


年明けからは福岡、愛知、大阪、横浜とライブハウスのZeppでツアーを行う。


「Zeppではないんですけど、名古屋だとか札幌だとかで、1980年代、90年代にやってるんですよ。一応スタンディングってわけにはいかないから椅子の時もあったし、椅子なしで立ちっ放しっていうのもあったんです。だから初めてではないですけど、Zeepツアーみたいな形でやるのは初めてですね。僕はですね、この頃、自分とは何者かっていうアイデンティティーを発見したんです。心には、まだ青年がいるんですよ。若い時の自分とかね、何に対しても欲深でね、女性にモテたいとかね。もっとアナウンサーとして名前を売りたいとか、もっと面白いしゃべりをして大向こうのウケを狙いたいとか、まだ残滓(ざんし)があるんですよ。だから言ってみれば、古い言葉でオラオラなんですよ」


心の中には青年がいるが、現実は違う。


「でも、肉体は70歳超えて、完全にヨボヨボになったんですよ。だから見た目ヨボヨボ、中身オラオラっていう“オラオラヨボヨボ”。このハイブリッドで生きていこうって。だからZeppとかで、ちょっと若いつもりでオラオラ感出したい。本当に、70歳超えると体の不調がいっぱい出てきますから。こういう風にバーッとしゃべって、あと1時間したら手がしびれて、酸欠になります。昔は冬場の寒い時にアイドリングをしないで、エンジンかけた瞬間に急発進しても、ちゃんと燃費良く走った新車だったんです。20代の時のプロレス実況、のちのF1実況とか全部新車。でも、完全にガタピシャの中古車になりましたから。ヨボヨボになりましたから、もう暖気運転したって酸欠になるんですよ。つまり、脳に酸素が行き渡らない。そういう中でやるのは、なかなか痛々しいでしょ」


今年3月には立大の先輩で、新人アナ時代に志願して“かばん持ち”をした、みのもんたさんが80歳で亡くなった。


「僕は、みのさんももちろんだし、(アントニオ)猪木さんもそうなんですけども。さんざんお世話になって、自分の一角はあの人によって作られてるなと思う人がいますけど、みのさん、猪木さんに関しては全く同格で、死んでからの方が生きてる感じがあるんですよ。生きてる時は、明日はみのさんに会えるとか、猪木さんに会えるとか、そういう感じだったらいいですよね。ところが、もう亡くなると二度と会えない。よく言うように、自分の胸の内に生きてるじゃないですか」


生前にも増して、亡くなった後も心が通い合っている。


「だから猪木さんは、生きてる時より死んだ後の方が生々しいんですよ。猪木さんのことを思い出すし、僕と同じように猪木さんと仲良かった人と会ったりするんですよ。ずっと猪木さんの話を飲みながらしたりしてるんです。その後、どっか行きますかって銀座のクラブに行ったんです。みのさんが通い詰めてたクラブにわざわざ行くんです。俺は常連でもないので、みのさんを感じに行ってるってことに程よく酔いながら気付くんですね」


みのさんは今年1月に緊急搬送され、3月1日に亡くなった。


「だから死んでからの方が生々しく、生きてるぐらい思い出したりもするんですね。去年、みのさんは病気で大変な時だったし、病魔に侵されて苦しいだろうなっていう人のことはあんまりネタにしたくないってなった。みのさんも、かつてそうだったしね。だけど、もう死んじゃったから、一緒に生きてるぐらいの気持ちが本当にうそ偽りなくあるんで。今年が本当に初めてですよ、みのさんのことを詳しく話すのは。猪木さんの時は、猪木講談として、まだ存命中にやってました。存命中にも、亡くなった後にもやらせてもらった、実況再現みたいな形で。正直、人の訃報とかいつもやってると、何月に亡くなったんだっけとか、本当に忘れちゃう。あとは大御所の俳優さんとかも、あの人生きてたっけって勝手に殺してる場合ある。死んでないんだ、あの人、みたいなのあります」


人の生き死にでさえ、忘れてしまうことがある。


「人はどうしてこんなにもね、忘れていく能力が高いのか。そのテーマで言えば、死んだ人を忘れていくのも世の説理だから。みのさんの話をするべきですね。ただ結構、みのさんの話は随所でしてたからね。今更あんまり出せない話は出せない。今年の『トーキングブルース』は配信とか、何もないんですけど、配信すらもやらないんですけど。ちょっと迷うけど、でもみのさんの話はやるべきですよね。確かにちょっと聞いてみたいなと」


(続く)


▼「古舘伊知郎トーキングブルース『2025』」


26年1月18日 福岡・Zepp福岡


26年2月12日 愛知・Zepp名古屋


26年3月7日 大阪・Zeppなんば


26年3月20日 神奈川・Zepp横浜


◆古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年(昭29)12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85〜90年(平2)フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。89〜94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94〜96年NHK「紅白歌合戦」司会。94〜05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04〜16年「報道ステーション」キャスター。現在、TBS系「ゴゴスマ」水曜日コメンテーターなど。血液型AB。

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  • (本文より)見た目ヨボヨボ、中身オラオラっていう“オラオラヨボヨボ”。このハイブリッドで生きていこうって。←実際こんなのが近くにいたらスゲー迷惑だなと。ココだけ読むとね(⁠^⁠^⁠;)ヤダナ-
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