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10月18日、古稀となる大きな節目の誕生日を迎えた歌手郷ひろみ(70)。この日、ファンへの感謝を込めた新曲「ALL MY LOVE」を配信リリースし、同18、19日の2日間は日本武道館で計70曲を披露した。リリース当日となった18日の初披露では感極まり、大粒の涙を流した。今なおエンタメ界をけん引するスターは今年の集大成として、31日放送のNHK紅白歌合戦にも出場する。その回数は38回目。紅白への思い、そして今年を振り返りつつ未来を聞いた。【川田和博】
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70歳の誕生日当日。ファンへの感謝を歌った「ALL MY LOVE」の初披露時には感極まり、人目もはばからず大粒の涙を流した。「詞が僕の中でグッときたんですよね。詞をかみしめてるうちに、もうグッときたんです。それで不覚にも声が詰まってしまって。まあ、その前からもうきてはいたんですけど…」。
その涙には、ここまで支えてくれたファンへの感謝があった。「本当に支えてくれたのは、ここまでやってこられたのは、間違いなくファンの人の大きな支えがあったから。だから、感謝してもしきれないぐらいの存在なんです」。
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「ALL MY LOVE」には郷の思いを詰め込んだ。「作詞家と打ち合わせしてる時も、僕のファンに対する思いを伝えてね。そういった経緯があるので、自分の中でも、耐えられなくなったんじゃないですかね」
体が楽器であるボーカルにとって、加齢はハンディでもある。それでも、特別なことはせず、週3回のトレーニングを継続することで維持している。「僕の中でいろんな経験してきているんです。毎日やった時もある。でもこれが一番だと落ち着いたんです。やり過ぎも、やらなさ過ぎもダメですね」。
常人にとって、最も厳しいのは“継続”かもしれない。郷はその解決法を示した。「目標を高く設定すると、モチベーションが下がったときにギャップができてしまうんです。それで『1日くらい休んでも』となると、ずるずると休んでしまう。だから、だから最初から目標を低くしているんです」。
その上で継続することが得意とした。「我慢して続けるということが性に合っているんじゃないですかね。昭和初期生まれのおふくろに育てられたので、僕の時代は根性だとか、もう男はグッと我慢しなきゃいけないとか、今なら『それ、やばいんじゃない』ということもね。今では通用しないことが、通用した時代だったんですよね」。
デビュー当時、ディレクターにも厳しく育てられた。「僕たちの時代はすごく厳しかった。本当に厳しかった。だから鍛えられたんですよね。あの時代にデビューして良かったと思いますよ」。
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昭和、平成、令和と3時代で活動。時代の変遷を肌で感じてきた。思うことはあるが決して強要はしない。「生き方には正解がない。例えば、ゴミが落ちていても、ゴミが落ちてると言わないんです。僕は言う前に拾っちゃう。それを見ている人がまねしてもいいし、そのまま素通りでもいい」。
これこそ昭和の職人マインド。“見て学べ”に通じる。「僕には僕のやり方があるし、人には人の生き方がある。それでいいと思っているんです。僕はどちらかというと『まあいいか』ですんじゃうタイプなので、日常生活で怒ることもない。逆に言うと冷たいんですかね。これが難しいところなんです(笑い)」。
希代の大スター郷ひろみ。どこまで走り続けるのだろうか。「ディミニエンドみたいなことも考えたことはあります。でも、郷ひろみをやってる以上はずっと突っ走って、突然バタって終わってしまうのもありだろうなと思うんですよね」。
“太く長く”。それが郷ひろみという生き方。そのモチベーションは“自問自答”することで維持できている。「郷ひろみでいたいのか、いたくないのかって、自分に問いかけるんです。その答えは『いたい』なんです。そうすると全部が見えてくるんです。郷ひろみだったら、これはしないんだろうな、これはするだろうなということがね」。
だが、そこにオンとオフの郷ひろみがいるわけではない。「10年くらい前は冗談で『23時間55分は郷ひろみであと5分はオフ』とか言ったような気がするんですけど、今はもうそれすらないでんです。例えば街を歩いていても、みんなはオンの状態で僕に接してくる。だから、大惨事にならなければ、社会の迷惑にならなければ、写真も撮るし、サインもする。寝てる時は自然とオフになるので、僕の中でオン、オフはもう考えていないですね」。
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それはステージでも同様だ。「音がなればきっと変わるでしょうけど、僕の中で、それを特別意識したことはないですね」。
郷ひろみはいつでも自然体で寛容だ。「スタッフが何かミスをしても、それを笑いに変えていっちゃったりする。みんなもう大人だし、一生懸命やって起きたミスだったら仕方がない。僕のスタッフは手を抜くこともないので、その上で起きたミスは仕方ない。だから、スタッフも僕に文句を言わないですよね。喉の調子が悪いとか言っても、早く寝てるのも分かっているから」。
ファンに感謝し、スタッフを信頼する。そして、常に自然体で寛容。郷ひろみが愛され続ける理由を垣間見た。(おわり)
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