【映画大賞】「国宝」田中泯が助演男優賞 スチール撮影の際に感じた自分自身の変化と手応え

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2025年12月29日 10:00  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

助演男優賞を受賞した田中泯は花束を手にサムズアップ(撮影・浅見桂子)

<第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>



第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞が28日に発表された。助演男優賞は「国宝」で人間国宝の女形を演じた田中泯(80)が受賞した。


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02年の映画「たそがれ清兵衛」で俳優デビューし、翌03年の日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞してから22年。田中泯は映画として久しぶりの個人賞の受賞となった。「本当に、本当にうれしい評価。正直、ビックリ」と驚いた。


人間の世界に踊りが生まれたことに憧れ、芸術になる前の踊りを探り、自由に踊ってきた。一方、形あるものに違和感を覚え「伝統や常識から逃げるように」生きてきた。踊りと言葉が融合した、形ある歌舞伎に関わる仕事が来るとは「思ってもみなかった」という。


しかも、演じた小野川万菊は当代随一の女形で、人間国宝という役どころ。最初は「てんで、ピンとこなかった」という。スチール撮影の際、かつら、メーク、衣装の「プロ中のプロの人が1人の男が女に変わっていくところを、女性を扱うように」手がけてくれた。鏡を見る前に「自分自身が変わった、これで行ける」と感じたという。


「鷺娘」を振り付けた日本舞踊家の谷口裕和氏から、撮影後も日本舞踊を一から習い続けている。「歩くだけの練習をやっています。自分の踊りの歴史の何ページ目かの、すごく重要な切り替わり」を、田中自身が誰よりも楽しんでいる。【村上幸将】


◆田中泯(たなか・みん)1945年(昭20)3月10日、東京生まれ。64年東京五輪の芸術イベントで初舞台を踏み、65年に東京教育大(現筑波大)を中退し66年にソロダンス活動開始。74年には芸術になる前の踊りを探ろうと体毛をそり、局部を布で巻く裸体舞踊で独自の活動を始めた。02年「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)で映画デビューし、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞。

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