
加藤シゲアキが主演する舞台「2時22分 ゴーストストーリー」が2026年2月6日から上演される。本作は、2021年にロンドンで初演されて以来、斬新なストーリーが話題を呼び、世界各地で上演されているヒット作。日本ではオリジナル演出により初上演される。物語の舞台は、ロンドン郊外。サムとジェニーの夫婦は、最近、古い家を購入し、リノベーションしながら住み始めたばかりだった。しかし、ある晩、友人のローレンとそのボーイフレンドであるベンをディナーに招待したジェニーは、毎日夜中の2時22分に子ども部屋のベビーベッドの周りを歩き回る音がすると打ち明ける。果たして何が起こっているのか。伏線だらけのスリリングなホラーサスペンスが幕を開ける。主人公のサムを演じる加藤に本作への意気込みや見どころを聞いた。
− 今回、出演が決まったときの心境を教えてください。
演出の森(新太郎)さんとは面識があって、森さんの作品を見に行くたびにごあいさつをさせていただいていたのですが、そのときの印象から「加藤くんは普通の人を演じられる人」と思っていただいたようです。なので、台本を読みながら、僕は普通の人なんだなとか(笑)、なんで普通の人がサム役に合っているんだろうと考えながら読ませていただきました。
−そうして読まれた台本の感想は?
正直に言うと、最初はどういう読み方をしていいか分からなかったんですよ。ホラーというジャンルは、予定調和ではないので、どう進んでいくか分からない。だからこそ怖いのですが、読んでいると思った以上につかみどころがなく、なかなか頭に画が浮かばなかったんです。ですが、後半はストーリーが加速していってなるほどと。2度目に読んだときに、子供心のあるチャーミングな台本だなと思い直しました。舞台を見た方はチャーミングとは思えないかもしれませんが、試みが面白いんですよ。楽しませようとしている(作者の)ダニー・ロビンズの思いを感じ取ると楽しくなってきて、これはやりがいがあるなと思いました。
ただ一方で、お芝居としてとても難しいなと。それにこの作品を森さんが演出するというのもすごく新鮮に思えます。そうしたこともあって、非常に挑戦になる作品だと思いました。
実は、2025年に僕が出演した「エドモン〜『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男〜」のスタッフの方が、この作品をロンドンでご覧になって「すごく面白かった」と話していたんです。言語を超えて面白いと感じる作品なら、作品としてのポテンシャルはお墨付きなんだろうと思いますし、非常にやりがいがある作品だなと感じています。
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−加藤さんが演じるサムは、物理学者で作家という設定です。この役を演じるにあたって共感するところはありますか。
物理学者なので、ちょっと(自分とは)違うのでしょうが、僕もリアリストではあると思います。霊的なものは存在するんだろうなと思いつつも、そうしたものには鈍感で、幽霊も見えないからあまり怖いと感じないんですよ。もちろんホラーを見た後に「何かゾワゾワするな」という気持ちはありますし、心霊スポットでふざけようとは思わないですが、「非科学的だよね」というところもあります。ただ、サムはすごくかたくななので(そこは違う)。この作品に出てくる人物はみんな極端なところがあるので、それがまた面白いところなのだと思いますが。
−もしも、加藤さんが身近な人から「歩き回る音がする」と言われたら信じますか。
誰もいない部屋なのに「2時22分になったら何かある」と言われてもなかなか信じられないですよね? ただ、「そんなのあるわけないけれど、検証しよう」というなら分かりますが、サムは「絶対にそんなことはないから、検証なんかしなくていい」となるので、それはどうかなと(笑)。そんなことしたら夫婦関係がギクシャクしてしまいますから。
僕もジェニーの言葉をすぐに信じられるわけではないかもしれませんが、人間には見えないものを恐れる能力があると思いますし、その気持ちは大事だとも思います。
−ジャンルとしてホラーやサスペンスは好きですか。
抵抗がないという感じです。僕自身は、特定のジャンルがすごく好きということはないんですよ。今年、短編映画を撮りましたが、それもホラーでした。砂に埋まった死体の謎を探る『SUNA』という映画なのですが、そうしたストーリーも面白いなと思って、書いたお話です。僕が小学校の頃は、日本でホラーがたくさん作られた“熟成したタイミング”だったので、たくさんの作品が話題になっていましたし、今も世界はホラーブームです。なので、抵抗はないですし、「怖いから見たくない」というのはもったいないなと思っています。
−加藤さんがオフィシャルのコメントで「2月、劇場は日本でもっとも寒々しくなるでしょう」と話されていましたが、今回のお話はやはり見たくなくなるほど怖いストーリーですか。
あはは(笑)。それはちょっと大げさに書きました(笑)。僕は台本を読んでもそれほど怖くなかったですが、きっと演出されたら怖いんだろうなと思います。あまりに先が読めないんです。何が起きるか分からないという怖さがあります。この台本の前書きや後書きにもネタバレをしないようにと書かれているんですよ。それもまた珍しいですし、面白いですよね。
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−「全く予習をせずに来てください」というコメントもありましたが、そのまま受け止めていいのですか。
そのまま受け止めてください。絶対に調べないでください。振りじゃないです。それは前書きにも後書きにも書いてありますから!
−加藤さんはこの台本を読んで、ラストシーンはどう感じましたか。
ソファで寝ながら読んでいたのですが、「えーっ!?」となりました。何かあるんだろうなとは思っていましたが、ちゃんと「うおーっ」となった。
−見ているお客さんも驚く作品になりそうですね。
まだ演出の方向性も分からないので、どうなるのかまだ分かりませんが、僕自身も楽しみです。でも、僕もできるなら客席で見たかったです。自分で演じる以上に見るのが面白い作品だと思います。もちろん、演じる喜びはきっとあるけれど、これを客席で見たらどう思ったんだろうなと。演劇にするのに意味がある作品なんですよ。読み物としても面白いけれども、演劇にするために作られた台本だなと思いました。
−映像よりも演劇の方が向いている作品ということですか。
もちろん映像でも良い作品になるだろうと思いますが、演劇の方が怖いと思います。簡単に言ってしまえば、ある家の妻が「2時22分に何かが起きる」と言って、それを検証するというストーリーですが、その場に観客の皆さんも同席させられてしまうんですよ。部屋をのぞき込んだら、そこから動けなくなってしまう。演劇は自由に出入りできないし、不自由だからこそ怖さが増すと思います。そこで起きていることを一緒に体験するような感覚で、映画とはまた違う怖さだと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
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「2時22分 ゴーストストーリー」は、2026年2月6日〜3月1日に都内・日比谷シアタークリエほか、愛知、大阪で上演。
「2時22分 ゴーストストーリー」