2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) アストンマーティンがF1プロジェクトの次の段階に向けて組織の再構築を進めるなか、フェルナンド・アロンソは、アストンマーティンが元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーをチームに迎え入れる誘惑に抵抗してきた理由について、鋭く、そして確固とした意見を述べた。
2025年の7月、20年にわたる支配は衝撃的な終わりを迎え、レッドブルを離れたホーナーは、パドックで最も興味深い未解決問題のひとつとなっている。第13戦イギリスGP終了後にレッドブルを退団して以降、憶測は煽られ、アルピーヌが新たなホーナーの移籍先候補として浮上しており、一時はアストンマーティンもその噂の流れに名を連ねていた。
しかし、チーム内部では方向性は固まったようだ。アストンマーティンの共同オーナーのひとりであるローレンス・ストロールは、ホーナーに関する噂に線引きを行った。マネージングテクニカルパートナーのエイドリアン・ニューウェイを新たなチーム代表に任命し、これまでCEO兼チーム代表を務めてきたアンディ・コーウェルをチーフストラテジーオフィサーに再配置したのだ。こうした物事がまとまる様子を見たアロンソは、安定性を感じている。
■マネージメント陣営の決断を支持
アストンマーティンがホーナーを別の役職で採用する余地があるかどうかと問われたアロンソは『Sky F1』に対し、慎重に、そして紛れもなく明確な回答を行った。
「わからない。現時点では、僕に聞くべき質問だとは思えない」
「でも、今はエイドリアンがその役割を担い、アンディも別の責任を負っている。彼には素晴らしい成果を上げる能力がある。ローレンスは素晴らしいリーダーで、覚悟があって、常に最大限に献身している。マネージメントにおいて、さらに人を必要としているとは僕は考えていない。もちろんこれは僕の決断ではない」
これはホーナーの経歴を否定するというよりも、アストンマーティンの既存の支えとなる存在を支持する発言だった。アロンソの主張は単純明快で、明確であることが混乱に勝るということだ。すでにリーダーシップは明白であり、チームが集中力を高めようとしているまさにそのタイミングで、影響力の大きな人をもうひとり加えるのは、指揮系統を混乱させるリスクがある。
■ニューウェイは速いマシンの開発に専念すべき
ホーナーが実績のある権力者であるならば、ニューウェイは引力のような存在だ。アロンソは、F1の最も有名なデザイナーであるニューウェイをチーム代表に昇格させるという決断は、組織図を整理する以上に、アストンマーティンを魅力的なものにする効果があると信じている。
「エイドリアンがチームにいることは、才能ある人々を魅了するということだと思う。間違いない。誰もがエイドリアン・ニューウェイと仕事をし、彼から学びたいと思っている。彼がチーム代表になったことで、より多くの人々がこのチームに入りたいと夢見るようになるだろう。それは僕たちにとっていいニュースだ」
アロンソの話によれば、ニューウェイのチーム代表就任はリスクではなく、雇用の武器である。エンジニアには、説得力のある演説は必要ない。彼らはインスピレーションを必要としている。しかし現代F1において、ニューウェイのように人々を奮い立たせることができる人物は多くない。
それでも、アロンソの支持には微妙な補足説明がついている。アロンソは、ニューウェイの才能はマシンに向け続けられなければならず、役員室に飲み込まれてはならないと主張した。
「率直に言うと、彼は速いマシンを作るすべてのスキルを持っていると思う」
「最近では、チーム代表の役割というのは(これまでとは)少し異なっていて、メディアやスポンサーの対応など、他のことにも対処しなければならない。エイドリアンがそういったことすべてをこなす必要がなく、重要なことにより集中できるよう願っている」
「でも彼はチーム運営のやり方や、みんなをひとつの方向に集中させる方法を知っている。彼は素晴らしいリーダーであり、僕はこの発表を嬉しく思う」
待望の3度目のタイトルを目指すアロンソにとって、メッセージは明確だ。アストンマーティンに新たな権力者は必要ない。必要なのは協力と勢い、そして速いマシンだ。ホーナーを迎え入れなかったことは、機会を逃したのではなく、チームが何を求めているのかを正確に理解した証拠だと彼の目には映っている。
[オートスポーツweb 2026年01月05日]