【今週はこれを読め! エンタメ編】ブルボン小林『グググのぐっとくる題名』にゾクゾクが止まらない!

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2026年01月05日 18:20  BOOK STAND

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 題名。

 長年書店で働く私にとって、とても馴染み深いものだ。これほどたくさんの題名を見たり読み上げたり聞かれたりする職業が、他にあるだろうか? 題名については、最も詳しい職業の一つといっていいんじゃないか。

 ......なんてことを思っていましたが、傲慢でしたね。こんなにも詳細かつ愛情深く題名というものについて考察できる人物がいるということを、忘れかけていた。イマイチ売れてなかったり探しにくかったりする本のことを「タイトルが良くない」とか「覚えられない」とか「検索しにくい」とか「意味がわからない」とか、よく考えもせず偉そうにいろいろ言っちゃっていたことを深く反省している。前作『グッとくる題名』(中央公論新社/増補版・中公文庫)から約20年、小説家・俳人としても活躍を続けてきた著者だからこそ辿り着けたであろう説得力と独創的な着眼点に、ゾクゾクが止まらない!

 本や曲や映画やゲームの題名について考察をしていくエッセイである。絲山秋子氏『御社のチャラ男』という題名からどんな人間関係が読み取れるのか。綿矢りさ氏『パッキパキ北京』という題名を口にすると気持ちいいのはなぜか。佐藤愛子氏『九十歳。何がめでたい』の語順を入れ替えたり一文字変更すると、どれだけ印象が変わるか。映画『シン・ゴジラ』から「シン」ブームが始まったが、「ゴジラ」との組み合わせが最も優れていたのにはどのような理由があるのか。言われてみれば「なるほど!」と思えるのだけれど、全く考えもしなかった題名の秘密が、次々に明かされていく。飄々とした文体でさらっと語っている感じなのに、すごく深い。一目で理解が進むインパクトのある図解が鮮やかだ。内容については全くといって良いほど触れられていないのに、あまり興味がなかった本やアルバムも「読んでみたい」「聴いてみたい」という気持ちになるし、好きな本の題名が考察されていると嬉しくなってしまう。忘れ難い題名のエッセイや小説をいくつも生み出した大槻ケンヂ氏との対談には、同世代として胸が熱くなる。

 よく考えてみると、題名って本当に不思議だ。最短だと一文字からせいぜいが数十文字で、時間をかけて作られた創作物の売上に大きく影響し、印象を変えることもある。時代を映し、流行を作り、どの部分よりも人の記憶に残る。タイトルを考えるお仕事の人はもちろん、本や映画や音楽やゲームを愛する皆さんと、共有して語り合いたくなる一冊である。(ちなみに、私は日常会話でよく「グッとくる」という言葉を使っているが、この本の前作の影響だ。好きな題名って、真似したくなりますよね。)

(高頭佐和子)


『グググのぐっとくる題名 なぜこのタイトルに惹かれるのか』
著者:ブルボン小林
出版社:朝日出版社
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