【悼む】「久米の前に久米なし 久米の後に久米なし」希代のテレビマン久米宏さんの評伝に納得

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2026年01月14日 06:56  日刊スポーツ

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久米宏さん(2003年8月撮影)

人気音楽番組「ザ・ベストテン」司会や、報道番組「ニュースステーション」キャスターとして活躍したフリーアナウンサー久米宏(くめ・ひろし)さんが元日、肺がんのため亡くなった。13日、所属事務所が発表した。81歳。埼玉県出身。葬儀は近親者で行った。唯一無二の話術でバラエティー界を風靡(ふうび)し、報道転身後、テレビニュースに革命を起こすなど、放送史に多大な功績を刻んだ。


  ◇  ◇  ◇


「久米の前に久米なし 久米の後に久米なし」。昔、TBSの局内で聞いた言葉だ。放送史における久米宏さんを語る上で、これ以上ないフレーズだと思う。


かつて、これを堂々と言ってのけたTBSの若手アナ(当時)がいて、先輩の元アナが激怒。「久米以外の先輩アナたちに失礼である」と散々グチを聞かされたことがある。その若手にとっては、それでも超えてみたいというあこがれと、そんなスーパースターを輩出した自局への誇りを込めた言葉であったと思う。どちらが正しいという話ではなく、世代を超えて同業者を意識させ続ける「久米宏」の存在感に面食らうばかりだった。


久米さんの功績はあらゆるメディアで語られてきたが、バラエティーの才能を生かし、「見せるニュースキャスター」として「テレビニュースの新時代を築いた」という点で、やはり無双の存在だったと思う。


「ニュースステーション」で久米さんは、ニュース番組の常識をことごとく覆した。大人が見る硬派なジャンルとは一線を画し、「中学生にも分かるニュース番組」を打ち出して新規視聴者層を開拓。キャスターが私見を述べることなどなかった時代に歯に衣(きぬ)着せぬコメントを大胆に発信し、腕を組んだりずっこけたりと、ジェスチャーを効果的に使う「見せるニュースキャスター像」も“発明”。「話にならない」「お察しください」といった、あえて言葉にしない言葉も雄弁だった。


テレビを知り尽くし、バラエティー、報道の両方で天下をとった希代のテレビマン。「久米の前に久米なし 久米の後に久米なし」の評伝に納得するばかりである。【梅田恵子】

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