※画像はイメージです―[貧困東大生・布施川天馬]―
昨日土曜日と今日は、受験生にとって待ちに待った、もしくは絶対に来てほしくなかっただろう特別な休日。
なぜなら、大学入学共通テストの本番が実施されるからです。
かつて複雑化する大学個別試験へのアンチテーゼとして、「ある程度共通の学力を測る」ために導入された共通一次試験、それを継いだセンター試験。
そして、その後に続いた現在の「共通テスト」は、思考力を問う目的を強めたいわば“センター試験の強化版”。しかし、その結果問題が難しくなりすぎて、共通テストの難易度は過去最大級に高まっていると言われています。
共通テスト数学で60〜70点が狙える現代の受験生なら、仮に90年代のセンター数学レベルの問題を100回解かせても、うち90回は満点を取るでしょう。
間違っても「親の自分が○点を取れたんだから、子どもが取れないのは努力不足」なんて言ってはいけません。親御さんの時代の2倍〜4倍くらいには難しくなっているのですから。
◆二浪の受験生が去年より増えた理由
さて、そんな共通テストの難化と関係ありそうな記事を先日見かけました。
「二浪の受験生が昨年比1.4倍に増加した」という内容です。
先述のように年々難化することに加えて、昨年から新課程版となった共通テストには「国語が新形式」「新科目『情報』追加」といった変化もあり、一浪目に日の目を浴びることができなかった受験生が今年も再挑戦している可能性は十分に考えられます。
また、受験や浪人事情に詳しい教育実業家の西岡壱誠氏は、この原因を「出願方法がインターネット経由になり、出願のハードルが下がったから」と分析しました。
昨年まで浪人生が出願するためには、母校に自分で連絡して卒業証明書を取得する必要がありました。確かに、この心理的・時間的手間が無くなるのであれば、再挑戦してみようという浪人生が増えるのも不思議ではありません。
誰にも秘密でネット出願だけして、成績が良かったら本命の大学に個別の受験票を取りに行く……なんてこともあるでしょう。
◆二浪に金銭的なメリットはあるのか計算してみた
二浪増加のニュースに対して気になるのは、「二浪がトータル得か否か」。
仮に子どもが「今の大学を辞めて、新しい大学に入りなおしたい」なんて言ってきたときに、みなさんはどのように返事をしますか?
「ユースフル労働統計2024」によれば、フルタイム正社員を60歳まで続けた大卒男性の生涯年収は約2.5億円、大卒女性の生涯年収は約2億円と推計されるそうです。
一方で、大学によっても生涯賃金は上下するようで、一説によれば、東大卒で約4.6億、慶應卒で約4.4億、早稲田卒で約3.8億円と言われています。仮に、このままだと生涯賃金が2.5億と見込まれるとき、二浪で東大を目指すべきなのでしょうか?
仮に2年を浪人に費やして東京大学に合格した場合、ギリギリ新卒カードが使えます。
24歳で新卒1年目として社会人デビューし、そこから定年(ここでは60歳に設定)まで働き続けた場合、37年分の年収を受け取る権利が生まれるわけです。
22歳で社会人デビューして39年分の集大成が前述の4.6億円になるとすれば、その平均年収は単純計算でおよそ1180万円。ただ、実際に消えるのは社会人務めたての2年間ではなく、最後の2年間ですから、ちょっと多めに差し引いて3000万円の給料を受け取る機会を失ったと考えます。
ただ、これですら二浪してでも東大に進学したほうが大幅にプラスになるのだから恐ろしい。もともとの生涯年収から2〜2.5億ほどアップするので、トータルでは1.7億〜2.2億ほど儲かる計算になってしまいます。
これなら、いつからでも東大を目指すべき……と見えますが、二浪、三浪……と重ねる度に、現役生と比較しての印象値は下がっていくでしょうから、就職自体の難易度が上昇していくのも事実。
よほど大学在学中に頑張って実績を作るとか、スキルを磨くとかしなければ、ガクッと見込み年収は下がるでしょう。
なんにせよ、年々難化を繰り返し、複雑化の一途をたどる共通テストに対して、それでもなお戦いを挑み続ける戦士たちには、敬服させられます。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)