“技術難易度が相当高い”F1新世代PUの開発。ワンチームで戦うホンダとアストンマーティンの提携には「手応えを感じている」

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2026年01月20日 19:30  AUTOSPORT web

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『2026 Honda × Aston Martin Aramco Formula One Teamニューパートナーシップ始動発表会』に出席した(左から)アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのチーフストラテジーオフィサーを務めるアンディ・コーウェル、同チームのエグゼクティブチェアマンのローレンス・ストロール、F1のステファノ・ドメニカリCEO、ホンダの三部敏宏社長、HRCの渡辺康治社長
 1月20日(火)、ホンダ/HRCは2026年シーズンのF1世界選手権を前に、『2026 Honda × Aston Martin Aramco Formula One Teamニューパートナーシップ始動発表会』を行った。ここではホンダ/HRCは、2026年よりアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームに供給するパワーユニット『RA626H』を公開。会見後に行われたQ&Aセッションに出席したホンダ/HRCの首脳陣と、アストンマーティンのチーフストラテジーオフィサーを務めるアンディ・コーウェルが、新しいPUを制作するにあたっての準備や、新シーズンに向けた意気込みなどを語った。

 技術規則の変更により、2026年からは、パワーユニット(PU)の内燃機関と電気モーターの出力比率がこれまでの8:2から5:5へと変更されるほか、カーボンニュートラル燃料が導入される。まずはアストンマーティンとの提携について、ホンダのF1プロジェクト総責任者である角田哲史氏が、ホンダがF1への再参戦を決めてから、アストンマーティンとは早いうちから緊密な連携を取ってきたと語った。

「技術の詳細については、こういう場ではちょっとお伝えできませんけれども、PUも車体のレギュレーションも大きく変わるタイミングですから、2023年の春に再参戦が決まってから、お互いにかなり早い段階からいろいろディスカッションしながら、今年のレースに向けて準備してきたつもりです」

「お互い関係性はとてもいいというふうに思っております。つい最近も概ね実車に近いような形で、アストンマーティンのエンジニアやメカニックの方たちと一緒にテストをやれたというところで、準備はそれなりに進んでいます」

 アストンマーティンのコーウェルは、このプロジェクトを始めるうえで難しかったことは何かを問われると、「F1自体が難しい」と会場の笑いを誘いつつ、「コラボレーションという点では、まさにみなさんの集団の力というものを実感し、手応えを感じている。 ホンダはチャンピオンシップを勝てるような素晴らしい歴史を持っているが、我々はチームとしてまだまだ成長期にある」という。

 ホンダは日本に開発拠点を持ち、アストンマーティンはイギリス・シルバーストンに拠点を構える。燃料メーカーの『Aramco(アラムコ)』はサウジアラビア、潤滑油を提供する『Valvoline(ヴァルヴォリン)』はアメリカと、チームに関わる各社が異なる国に拠点を置いている。この点についてコーウェルは「地理的な距離というのはまったく関係ない。 まさにそれぞれの勝ちへのこだわり、決意が大切で、それを実行に移していくというところが重要だ」と、一丸となって協力し合うことの重要性を主張し、対話の重要性についても次のように述べた。

「人と人との対話を重ね、お互いの性格も知り尽くした。また、これは重要なことだが、ユーモアのセンスがそれぞれ違う。3カ月に1回くらいは対面でのミーティングをしているが、時にはちょっと(空気が)冷たくなる時があるので、温度を上げたい時にはまさにお互いを知り尽くした関係での対話を重ねることが大切だと思っている」

「レースをするからには、勝ちへのこだわりを持ち、同時に謙虚にならくてはならないとも思う。強豪のライバルがひしめいているなかで、私たちがそういったところに到達するには時間がかかるというのもわかっている。 ただ、我々はもうある意味ファミリーなので、昨日もローレンス(・ストロール/アストンマーティンのエグゼクティブチェアマン)やみんなと『我々はファミリーだ』という話をして会食をした。私たちはF1最優先で頑張っていこう、と話をしたところだ」


■「ひとりひとりが工夫していかないと勝ちに繋がらない」PU開発も予算制限の時代に

 新PUのバッテリーについて角田氏は、「電動化の比率が大きくなったもののポイントのひとつだと思っています。基本的には見た目はそう変わらないですが、中身はまったく新しいバッテリーを作り上げました。 これによって、ある程度その競争力に貢献できるんじゃないかなと思ってやっています」と明かした。なおホモロゲーションに向けては、「信頼性をとにかく確認し終えるように重点を置いてやっている」ということだ。

 アストンマーティンとの新たな戦いに向けてPUの開発に取り組んできたホンダだが、2026年よりPU開発にも予算制限が設けられる。ホンダが予算制限を受ける状況下でPUを製造するのはこれが初めてだ。これについてホンダの専務取締役である武石伊久雄氏は、これまでのやり方で通すわけにはいかず「工夫が必要」とその取り組みについて説明した。

「なかなかすごいルールを作ったなと思いますね。 今までで言うと、勝つためにすべてを投げ打って開発してきたというふうに考えています。ただ、今回は制限がお金という形で出てくるので、工夫していかなきゃいけないというところが非常に難しいなと思っています。何台もテストベンチを回して、というところが足かせになってきますので、そこが今までと違う戦い方になってくるかなと」

「ただ一方で、ひとりひとりが工夫していかないと勝ちに繋がらないということになっていきますので、優秀な技術者を集めなきゃいけないというのももちろんそうですし、技術者自体も育っていかないといけないです。そういった意味ではひとつのメリットではあるかなと思っています」

「会社的に見ても、あまりにも(お金を)使いすぎるということがなく、予算を推定しながらレースを続けていけるということは、企業にとってのメリットでもあると思います。継続してF1をやるという意味でのメリットがあると思っていますので、このルールの下でしっかりと結果を出せるように頑張っていきたいです」

 1月末には非公開ではあるが、スペイン・バルセロナでのテストが控えており、今回発表されたPUやアストンマーティンの2026年型マシンがいよいよコースに出て行くことになる。ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治代表取締役社長は新シーズンを前に、勝ちにこだわる姿勢を持って、将来的にはタイトルを狙うと意気込みを語った。

「今回のF1の参戦にあたっては、しっかり先進技術を蓄積していくということ、最先端のモータースポーツ、F1を経験した人がホンダの様々な部署に行って、お客さんにお渡しする商品を担当できるような技術者を育てていくということ、そしてブランドを強化すること、この3つが大きな参戦の目的です。ずっと言っておりますが、人と技術を育てるというのが、我々のモータースポーツの一番大事なところです」

「それからホンダ/HRCとしては高く難しい目標を掲げて、それにチャレンジしていくという挑戦が我々のひとつのDNAとしてあります。それを最もわかりやすく体現しているのがモータースポーツ、F1だと思っているので、当然出るからには勝ちにこだわってやっていきます」

「2026年のF1のPUレギュレーションというのは技術難易度が相当高いです。そこに対して、ここにいるメンバーと共に挑戦していって、もしかしたら苦労するかもしれない。テストを見てから我々の立ち位置を踏まえたいと思いますが、いずれにしても長期的にはタイトルを狙うということをやっていきたいです」

「アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームとの構成ということで言うと、“ワンチーム、ワンファミリー”でやろうと言っていますが、単なるPUマニュファクチュラーとコンストラクターという関係からさらにもうひとつ上にいって、目指すクルマや開発の方向性、課題などを全部共有しながら、ひとつのチームとして作り上げていって、長期的にタイトルを狙えるようになっていけばいいかなと思います」

 F1史上最大規模の技術規則の変更により、現時点ではどのチーム、どのPUが優位なのか、誰にも予想のつかない状況になっている。アストンマーティンという新しいパートナーと一丸となって“ワンチーム、ワンファミリー”で取り組むホンダの立ち位置もまだまったくわからないが、果たして提携1年目はどのようなシーズンになるだろうか。新時代のF1の開幕が待ち遠しい限りだ。

[オートスポーツweb 2026年01月20日]

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