『脛擦りの森』© 『脛擦りの森』プロジェクト高橋一生主演×渡辺一貴監督という、「岸辺露伴は動かない」シリーズの2人が再タッグを組んだオリジナル映画『脛擦りの森』の公開が決定した。
人里から離れた深い森で、足に傷を負った若い男は、女の美しい歌声に導かれ、古めかしい神社にたどり着く。そこには謎の男と、若い妻・さゆりが暮らしていた。看病を受け、傷も癒えた若い男は、この場所で夢のような、時の止まったような時間を過ごす。繰り返される穏やかな日々、すべては永遠に続くかに思えたが――。
渡辺監督は、岡山の森に足を運び、この地に伝わる物語からインスピレーションを得てオリジナル脚本を執筆。
本作が描くのは、これまでに描かれてきた妖怪の昔話や恐怖ドラマではなく、美しくも恐ろしい、恐ろしくも哀しい、哀しくも忘れ得ぬ愛のドラマ。人々に語り継がれてきた岡山の妖怪伝承「すねこすり」の言い伝えに着想を得た、まだ誰も知らない、そして今後、語り継がれるであろう新しい物語。
高橋が演じるのは、森の奥深くで暮らす謎の男。「一貴監督とは長くご一緒していますが、芝居において余白を信じてくださる方です。脚本には、妖怪がどのように語られ、伝えられ、物語として残っていくのかという『継承』の感覚が通底していて、言葉を重ねすぎない世界の中で演じられることに、手応えを感じていました」と思いを明かし、元々、すねこすりが一番好きな妖怪だそうで、「初めてこの妖怪を知ったとき、その正体の掴めなさや、どこか人の生活に寄り添う佇まいに強く惹かれました。今回、一貴監督がすねこすりを題材に作品を撮ると聞き、不思議と腑に落ちるものがあり、この物語に関わることになりました」とコメントした。
また、謎の男と森で暮らす謎の女・さゆり役で、本作が映画出演2作目となる蒼戸虹子、足に傷を負い森に迷い込んだ若い男役で黒崎煌代が出演する。
さらに、森の中を彷徨う2人の男の姿を静かに追っていく特報映像、苔が生え、緑濃く切り立った岩場のような場所で、小さな祠が佇むティザービジュアルも公開された。
なおスタッフは、『ドライブ・マイ・カー』『SUPER HAPPY FOREVER』を手掛けたプロデューサー陣が顔を揃え、「岸辺露伴は動かない」シリーズでも渡辺監督、高橋とタッグを組んだ柘植伊佐夫が人物デザイン監修・衣装デザインを担当。『血を吸う粘土』の梅沢壮一が特殊メイクを手掛けるなど、日本映画界を代表する面々が集結した。
コメント
高橋一生
『脛擦りの森』は、妖怪・すねこすりをモチーフにしたオリジナル作品です。
初めてこの妖怪を知ったとき、その正体の掴めなさや、どこか人の生活に寄り添う佇まいに強く惹かれました。
今回、一貴監督がすねこすりを題材に作品を撮ると聞き、不思議と腑に落ちるものがあり、この物語に関わることになりました。
一貴監督とは長くご一緒していますが、芝居において余白を信じてくださる方です。
脚本には、妖怪がどのように語られ、伝えられ、物語として残っていくのかという「継承」の感覚が通底していて、言葉を重ねすぎない世界の中で演じられることに、手応えを感じていました。
撮影中は、観る方が物語の中に迷い込んだような感覚を持てるような空気の中で、スタッフの皆さんと試行錯誤を重ねながら、挑戦的な時間を過ごしました。
また、すねこすり発祥の地とされる岡山の風土に身を置けたことも、この作品にとって欠かせない体験だったと思います。
劇場でこの世界に触れていただける日を、楽しみにしています。
蒼戸虹子
真冬の岡山県、雪の降る幻想的な景色の中で私は一体どこにいるのか、現実かどうもわからなくなるような不思議な感覚に陥りながら、ゆっくりと流れる時間がとても、好きでした。そして渡辺監督の世界の中に、高橋さん、黒崎さんと一緒に居られたことも、私にとって特別なものでした。
映画をみている内にいろいろな境界線がなくなっていくような、そんな感覚をご覧いただいた方もきっと体験いただけると思います。
沢山の方にご覧いただければ嬉しいです。
黒崎煌代
『脛擦りの森』に若い男役で参加させていただきました、黒崎煌代です。
岡山の素晴らしいロケーションで撮影された本作は、どのシーンも洗練された美しさと妖しさが漂っています。私にとって妖怪「スネコスリ」は、とても身に覚えのある感覚の妖怪でした。観ていただいた方にスネコスリがどう映るのか、今からとても楽しみです。ぜひ物語に身を委ね、劇場で神秘的で妖しい『脛擦りの森』の世界を味わっていただきたいです!
渡辺一貴監督
日本には数百以上の「妖怪」が棲んでいると言われています。妖怪とは、人知を超える現象や不可思議な事象に昔の人が名前を付けたもの。自然への畏怖、未知のものへの恐怖が産んだ、想像力の結晶なのだと思います。
本作のモチーフとなった「スネコスリ」もそんな妖怪の一つです。
雨の夜。灯りのない暗い道を歩いていると、ぬかるみに足を取られて転んでしまう。「見えない何かに悪戯された」と思いこみ、皆に吹聴する…岡山県に伝わる妖怪「スネコスリ」の伝承です。
岡山は私が放送局に就職して、最初の4年間を過ごした大切な場所です。当時、山間の里村で、母屋の中で牛と共に暮らす老夫婦を取材したことがありました。田の神に感謝し、牛の神に祈りを捧げ、日々を送る。数十年間変わらない静かな暮らし…。その取材中に不思議な体験をしたのです。ある春の昼下がり、撮影の合間に私は田んぼの畦道でぼんやり佇んでいました。その時一陣の風が吹き、雑木林がざわめきました。瞬間、不思議な感覚に包まれたのです。今が現代なのか、遥か昔なのか…自分が何百年前にも同じ場所に立っていた記憶が立ちあがり、しばらくその場に立ち尽くしていました。今でも、あの時の感覚は忘れていません。
妖怪は昔の人々の自由で豊かな発想力が産んだ、オリジナリティ溢れる創造物です。
そんな妖怪のひとつ「スネコスリ」に新たな命を吹き込み、思い出の地である岡山で、映画を作ることができました。
先達の想像力には遠く及びませんが…「スネコスリ」に感謝です。
『脛擦りの森』は4月10日(金)より全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)