【朝締め豚レバの唐揚げ丼】地元エリアで見つけた昼飲み天国で、絶品レバー丼の幸せに おぼれる:パリッコ『今週のハマりめし』第222回

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2026年01月23日 11:50  週プレNEWS

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朝締めの豚レバーがごろごろ

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

【写真】米がすすむとん汁

* * *

午前中にひとつ用事があって駅前まで出、そのまま各駅列車に乗り込んでしまった理由は、
そのまま家に帰るのがもったいないくらい天気が良かったから。

なにも遠出をしようというのではなく、少しだけ気分が変わるくらいでじゅうぶんだ。そ
こで我が家の最寄りである西武池袋線の石神井公園からわずか3駅ながら、あんまり訪れ
た回数は多くない駅、中村橋で降りてみることにした。


中村橋駅前


駅前はなかなか栄えていて、飲食店もたくさんある。チェーン店も充実していて、中華チ
ェーンどうしの「福しん」と「日高屋」が向かい合って営業中なのが味わい深い。駅の北
口を起点に延びる「サンツ中村橋商店街」を散歩してみると、地元では再開発の影響です
っかり数が減ってしまった昔ながらの個人商店があちこちに残っていて、とても僕好みの
街だ。

とはいえ、過度な期待はしていない。昔ながらの食堂か町中華が1軒くらい見つかって、
そこで軽く昼ビールでも飲めたら御の字だし、なかったら福しんでも日高屋でもいい。そ
んな気持ちで商店街を端から端まで歩いてみたら、まかさの店に出会ってしまった。


「やきとん えん家」


「やきとん えん家」という小奇麗な酒場で、ぱっと見に珍しいことはない。ところがど
うも違和感を感じて近寄ってみると、まだ昼過ぎだというのに思いっきり営業中なのだ。
ここは池袋などの大都市ではなく、練馬区の中村橋。どうやら毎日昼の12時からラストま
で通し営業をしているらしく、立地的から考えるとかなりレアな店だ。

さらにメニューをよく見てみると、オープンから午後7時までという太っ腹なハッピーア
ワーが開催中。生ビールが税込399円で、サワー系が300円という嬉しすぎる値段設定だ。
食事メニューも豊富で、「豚汁定食」が600円、「味噌煮込み豆腐定食」が700円、「やき
とん家の自家製カレー」が700円とリーズナブル。情報が頭に入ってくればくるほど、も
うここしかない気持ちになってきて、当然入店。


「ホッピー白セット」


店内はテーブルが4つにカウンターが10席ほどとコンパクトだが、入り口の広いガラス戸
から注ぎ込む日差しが、どこもかしこもぴかぴかな店内を照らしていて心地いい。ハッ
ピーアワーの恩恵にもあやかりたかったけれど、ホッピーセットが通常価格で400円(ち
なみに「焼酎なか」は220円)と、そもそも破格すぎるので、初手からそれでいく。

おつまみもかなり豊富で、やきとん、焼鳥の他に「ジビエ珍肉3種食べ比べ串」とか、
「カンガルーのシャトーブリアン串」なんてものまである。旬の時期のみの提供だという
れんこん料理があれこれあるのもおもしろく、特に「コトコト煮たホクホクれんこん 〜
ふろふき風〜」は食べてみたいが、写真を見るからに座高が高く、それだけでお腹がいっ
ぱいになってしまいそうだ。とにかく楽しいぞ、この店。

今日はせっかくだから、ランチから選んでみよう。もつ焼き店の技が光っていそうな、
「朝締め豚レバの唐揚げ丼」(800円)で。それからちょっとしたつまみとして「キャベ
ツのキムチ」(299円)もお願いします。


「キャベツのキムチ」


さっそくキャベツをつまみにホッピーをごくり。本式のキムチのように漬けたものではな
く、キムチ風味のタレであえたもののようだけど、味加減がばっちりで、しっかりと辛く、
しゃきしゃきうまい。もうじゅうぶんに幸せだ。そこへ、レバから丼も到着。


「朝締め豚レバの唐揚げ丼」


メインのどんぶりに、サラダととん汁という構成。新鮮そのものな大根と水菜に野菜ドレ
ッシングがかかるサラダが、まずうまい。さらに、とん汁がインパクト大。ひと口すすっ
てみると、みそ煮込み? というくらい濃厚でとろりとしており、箸をさしこむと具がゴ
ロゴロと発掘される。なるほど、ランチメニュー最安の「豚汁定食」は、これがメインの
おかずになるというわけか。やきとん屋ならではのとん汁という感じで、ものすごく、あ
りだ。


米がすすむとん汁


そしてメインのレバから丼。これが感涙もののうまさだった。


朝締めのレバーがごろごろ

まず、"朝締め"と謳っているだけあってこだわっているに決まっているレバーそのもの
が、あまりにも上質だ。素揚げに近いくらい薄い衣に包まれた熱々のそれをひとつ口に運
んで噛み締める。一瞬ぱつんという弾力を感じたあとの食感は、ふわふわと驚異的な柔ら
かさで、レバー自体の香りが良く、甘い。通常こういったメニューはこってりと甘辛い味
に仕上げがちだが、ここのレバから丼の味つけは、ぽん酢とごま油だそう。濃すぎない
からレバー自体の味がよくわかるし、食べ飽きない。途中でレモンを絞ると、さらに軽や
かだ。


レバーが甘い!


食べよい大きさにカットされたぷりぷりのレバーが、掘っても掘っても出てきて、米とお
かずの配分を気にしながら食べすすめなくてもよく、最後はレバーのほうがちょっとあま
ってしまったくらいだ。で、米がまたちゃんとうまいので、幸せな気分が最後までずっと
続く。

店主さんと思われる男性も、ひとりいた女性の店員さんも、無駄話などせずに黙々とお仕
事をされており、その姿が美しい(無駄話をしている店も好きです)。店名の横に「3号
店」と書いてあったので聞いてみると、1、2号店は池袋にあるらしい。ありがとうござい
ます。中村橋を選んでくれて。

今日、何気なく中村橋にやってきて本当に良かった。地元エリアに昼飲みができる天国を
新しく見つけてしまった......。ここは正直、通う。

取材・文・撮影/パリッコ

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