同居介護、バリアフリーリフォーム…老後の「住まい方」を間違うと“残念な老後”に!? 注意ポイント3つ

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2026年01月25日 21:30  All About

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バリアフリーリフォーム、介護施設や老人ホーム、親子の同居…老後の「住まい」でポイントとなるこの3つについて、後悔しない選択をするためにはどのようなことに注意したらいいのでしょうか。介護アドバイザーの筆者が解説します。※画像:PIXTA
誰しも訪れる「老後」。お金や住まい、介護など心配事はさまざまあれど、できることなら最適な選択をして、後悔しない老後を送りたいものです。

今回は老後の「住まい方」について考えておきたい3つのポイントについて、残念な老後につながりやすい「がっかりルート」と、理想の老後に近づく「にっこりルート」を、介護アドバイザーの横井孝治が解説します。

【ポイント1:バリアフリーリフォーム】お金をかけすぎない

1つ目のポイントは「バリアフリーリフォーム」です。築年数のたった戸建て住宅などの場合は、自宅の中に段差や急な階段など、転倒リスクの高い場所が多かったりします。戸建てほどではないにしても、古めのマンションでも同じ傾向がありがちです。適切なバリアフリーリフォームを行うことで、住環境の安心安全レベルを上げることが可能です。

<がっかりルート>
ただし、バリアフリーリフォームをする際、つい玄関や水回りなど家の至る所をきれいにしたくなり、多くの費用がかかってしまうことがあります。実際、筆者の実家がそうでした。

筆者は介護保険の中のバリアフリーリフォームを使って家に手すりを付けたり、段差を軽減したりしようと、業者と打ち合わせをしていたのですが、筆者がいない間に父親が「車庫をきれいにしてほしい」「玄関をフルモデルチェンジしてほしい」と伝えていたようで、後で届いた見積もり額を見て腰を抜かしました。なんと数百万円もかかると記載されていたのです。

父親に「これは必要なの? もう車を運転してはいけない状況なのに、なんで車庫を豪華にしなきゃいけないんだ」と言っても、「その方が車の出し入れが楽になるから」と返されてしまう。「そもそも車の出し入れをしてはダメなんだよ」などと説得しようとしたのですが、なかなか話がうまくまとまらなかった苦い記憶があります。

老後生活において、将来入院や施設入所などで自宅で暮らせなくなることも多いです。そうなると、バリアフリーリフォームにたくさんお金をかけたとしても、そのコスト自体がむだになってしまうわけです。

家を売りに出したとしても、大規模なバリアフリーリフォームをした中古住宅は購入者が限られてしまいます。バリアフリーを求めているシニア層や、シニア層と同居する人以外は必要としないからです。なかなか売れなかったり、売れたとしても相場より安くなるなど、売却の際に不利になってしまいがちです。

<にっこりルート>
では、にっこりルートを歩むためにはどうしたらいいのでしょうか。リフォームをするのは、介護をする側の人を含めた高齢者の動線や、日常的に使用するスペースに限定します。そうすることで、コストを抑えることができます。

もしも2階建てや3階建て住宅などで、2階や3階といった上階で主に暮らしている場合、高齢者の部屋を1階に移すことで、リフォームが必要な箇所を大幅に減らすことができます。

なお、そもそも賃貸住宅に高齢者が暮らしている場合は、リフォームそのものが認められないケースが多いことには注意が必要です。

【ポイント2:介護施設および老人ホーム】早いうちに任意後見契約を

2つ目は「介護施設および老人ホーム」です。心身の状態や家族・親族の事情などさまざまな理由によって、在宅での暮らしが難しくなった場合にお世話になるのが介護施設です。

もちろん介護には人それぞれの事情があるため、一概に「在宅介護だけが正解だ」「介護施設は絶対ダメだ」といった偏った考えは捨てるべきでしょう。その人の置かれた状況によって、より最適な住まい方を選んでほしいですが、子どもなどの介護する側が圧倒的に不利益を被るような選択だけは避けてほしいと考えています。

<がっかりルート>
まず押さえておきたいのは、認知症が進行した後では、自分の意思で介護施設を選ぶことができないということ。なぜなら、法定後見人が安い施設を指定することもあるからです。

例えば、親がある程度の資産を持っていて「家の近所に立派な老人ホームができた。少しぜいたくかもしれないけれど、あんなすてきな施設で老後を送りたいな」と考えて子どもと話し合いをしていたとします。子どもも「お父さんとお母さんが貯めたお金なんだから、ぜひそうするといいよ」と同意していた。しかしそんな中、両親が認知症になってしまい、それが金融機関に知られてしまったらどうなるか。

名義人である両親の口座がロックされてしまい、自由にお金を使うことができなくなってしまうため、希望の施設に入ることがままならなくなってしまいます。

法定後見人を選ぼうにも3カ月、長ければ半年から1年かかることがあります。やっと法定後見人がついたとしても、その人が「ぜいたくは敵だ。高い老人ホームなんてとんでもない。安い施設で十分だ」と言って、親や子どもが望まない施設の費用しか出してくれないケースも十分にあるわけです。

また、施設を選ぶ時に「いつでも帰れるように、今住んでいる自宅に近い方がいい」と考えるケースが多いです。しかし、これは間違いだと筆者は考えています。

たとえ近所に暮らしている友人に遊びにきてもらいたいと思っていても、残念ながらあまり来ないのが実際のところでしょう。さらに「実家に戻りたい」「自宅で外泊したい」「いつかは自宅で暮らせるようになりたい」と考えたとしても、一度老人ホームに入ってしまった後、自宅で外泊する機会はあまり多くありません。年に1、2回あるかどうかの外泊のために、いつでも自宅で暮らせる環境を整え続けるのはとても大変なことです。

また、子どもと暮らす家から遠ければ、どうしても子どもが面会に訪れる頻度は下がってしまいます。結果として寂しい生活を送ることになりがちなのです。

<にっこりルート>
では、にっこりルートを選ぶためにはどうしたらいいのか。まずは、どのような施設がいいか、早めに家族で話し合っておくことです。親と子の意思を決めておくことが非常に大事です。介護施設、老人ホームの話はしにくいものですが、将来のことを見据えてなるべく早期に話し合っておくべきでしょう。

また、預貯金や資産に余裕がある場合は、早いうちに子どもと「任意後見契約」をしておきたいところ。これさえしておけば、仮に親が認知症になってしまったとしても、子どもが親のお金を自由に使って、親との約束を守ってあげることができます。

施設を選ぶ際は、子どもの家の近くにした方がいいと筆者は考えています。面会の頻度も上がり、QOL(生活の質)も上がるでしょう。

そして、施設の豪華さよりサービスの手厚さを重視するべき。特にどのような医療的なケアがあるのか、いつまでその施設で暮らすことができるのか、最期までいることができるのかによって、暮らし方は変わってきます。

【ポイント3:親子の同居】介護目的の同居が成功する確率はとても低い

最後のポイントは「親子の同居」です。親が高齢になり、さらに介護が必要になると子どもに同居を求めるケースが多いです。また子ども側も「やはり親孝行しなければいけない」と考えて実家、あるいは自分が暮らしている自宅に呼び寄せて同居しようといったケースは少なくありません。

しかし、元気なうちでも親子が同居するともめ事は起きやすいのですから、介護目的の同居が成功する確率はとても低いと筆者は考えています。

<がっかりルート>
元気なうちは、ある程度親子で気を使いながら同居生活を成り立たせられることもあります。ただ、親が要介護状態になったり、あるいは認知症になったりすると、子ども側の負担が大きくなりすぎてしまうことに。結果として子どもがストレスをためてしまいがちです。

一方、親も介護されるのは初めてなわけですから、自分の体や頭が思い通りにいかなくなったことでストレスをためてしまうことになります。親子それぞれがストレスをためると、どうしてももめてしまいやすく、憎み合ってしまったり、関係性が致命的に悪化してしまったりするケースはとても多いです。

<にっこりルート>
すでに離れて暮らしている場合は、離れた状態を維持し続けることが本当に大事ではないでしょうか。現在同居している場合、すでに介護が始まっているとなかなか大変かもしれませんが、なるべく早いうちに子どもが実家から離れて独立する方がよいでしょう。

仮に親子で別居した状態から介護が始まったとします。各種介護保険のサービスや自費のサービスを利用し、見守り機器などもフル活用し、「別居介護」をできる限り維持。別居介護が難しくなったタイミングで、なるべく早く施設に移行する。同居というステップを踏まないのが、にっこりルートを選択する上で重要となるでしょう。

親子仲が本当に良好で「一緒にいたくてたまらない」という場合は同居介護してもいいのではないでしょうか。ただ、介護が終わった後に、親がいなくなってしまったことで子どもが燃え尽きてしまう「バーンアウト」には注意が必要です。

親と同居する場合、子どもが親に依存しすぎてしまうことが多かったりします。特に、男性が母の介護を始める場合は、この共依存の関係になりやすいというのが、筆者の過去の経験やいろいろな人の相談に乗ってきた経験から言えることです。

横井 孝治プロフィール

両親の介護をする中で得た有益な介護情報を自ら発信・共有するため、2006年に株式会社コミュニケーターを設立。翌年には介護情報サイト「親ケア.com」をオープン。介護のスペシャリストとして執筆、講演活動多数。また、広告代理店や大手家電メーカーなどでの経験を生かし、販促プロデュース事業も行う。All About 介護・販促プロモーションガイド。 
(文:横井 孝治(介護アドバイザー))

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