
【写真】はにかむ笑顔にキュン 目黒蓮の撮り下ろしソロカット(2枚)
■葬祭プランナーを演じて変わった印象「葬儀はあたたかいものでもある」(浜辺&目黒)
――お二人が葬祭プランナーという役や作品のテーマに、どのように向き合い、準備されたのか教えてください。特に、目黒さん演じる漆原は納棺師でもあり、劇中では所作を披露するシーンもありましたが、役作りはいかがでしたか。
浜辺美波(以下、浜辺):最初に葬祭プランナーの方にお話をお聞きしました。現場にも朝から晩までずっといらしてくださって、ホスピタリティを隅々まで持たれていて。そのお優しいお姿をそばで見ているだけで、とても勉強になりましたし、役作りの助けになったと思います。美空という役も、葬祭プランナーとして働きながら、漆原さんの背中を見て成長していく人物なので、実際に納棺の練習をされている姿を間近で見て、「美空もこうして見ていたんじゃないかな」と思いながら、その積み重ねを大切にしていました。あらかじめ決めて現場に入るというよりも、実際にやってみて、「この動きがあったから、次はこうしたいな」と、その場で感じたことを生かしながら演じていった感覚でした。
目黒蓮(以下、目黒):「納棺の儀」や所作の部分は、本当にたくさん練習しました。実際に葬祭プランナーの方から色々お話を聞いたり、所作の動画を撮ってくださって、それをひたすら見て、見まくって。イメージを膨らませながら、練習も重ねていった感じです。みなさんが本当に優しく、たくさん教えてくださったので、できたかなと思います。
――ただ形を真似するだけではなく、気持ちのこもった繊細な手さばきが印象的でした。納棺師というお仕事を、どんな思いで捉えていましたか。
目黒:漆原というキャラクターは、本当にご遺族のことをすごく思っていて、少しでも気持ちに区切りがつくようにと考えている人だと思います。自分自身も同じ気持ちで向き合っていました。納棺のシーンでも、ご遺族の方々が目の前にいて、少しでも区切りになる時間になればいいなという思いでやっていましたし、故人様に触れる瞬間も、もっと優しい気持ちで触れたいと。そういう気持ちを持っていれば、指先までしっかり表現できる気がして、気持ちの部分はとても大切にしていましたね。
――演じてみて、葬儀に対する印象は変わりましたか?
浜辺:私自身、お葬式は、悲しくて心にずっしりくるものという印象だったんです。でも実際に、裏側で葬祭プランナーの方があたたかさを持って送り出そうと色々考えてくださっていると知って、とっても優しくて、あたたかいものでもあるんだなと感じました。目線が参列者ではなく、葬祭プランナーとして違う目線からお葬式を見ることができたので、印象は大きく変わったと思います。
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■「こんなに忙しいんだ!」と驚き(浜辺)/「少しでも後悔を減らせるような生き方をしたいと思った」(目黒)
――葬祭プランナーの方にお話を聞かれて、勉強になったことや、初めて知ったことはありましたか。
目黒:今、浜辺さんも仰ってましたけど、確かに暗いという印象を持ちがちで、それも間違いではないと思います。ただ、最初にお話を伺った時に、「ウェディングプランナーのお葬式版です」と教えていただいて。それを聞いた時に、暗い印象を持ちがちだった中に、あたたかい面を見られたような気がして、そういう学びから始まっていった気がします。
浜辺:私は、「こんなに忙しいんだ!」ということに驚きました。いつ電話がかかってきても対応しなければならない環境で、本当にお忙しいんだなと。ただ、最初にお話を伺った時に、携わる内容はお葬式でも、特別なことではなく、普通のお仕事として向き合っていますという風におっしゃっていて、自分とはかけ離れたお仕事という感覚だったものが、一気に身近で考えやすくなったなと思います。
――ヒューマンストーリーでありながら、お仕事ものとしての魅力もある作品ですが、この映画が持つメッセージをお二人はどのように捉えていらっしゃいますか。
浜辺:私は役を演じる時に、この作品でこれを伝えたいとか伝わればいいなということはあまり考えず、ただ役を全うすることだけに集中をしたいなと思うタイプなんです。でも今回は、初号試写で見終わった後、心があたたかくなって少し前を向きたいなと思えましたし、「別れ」というものが身近だからこそ、捉え方によっては救われる気持ちもありました。なのでこの映画を見てくださった皆さんにもそんな風に受け取っていただけたらうれしいなと思いました。
目黒:僕は、改めて大切な人と会えたり、話せたり、触れ合えたりという時間が本当に当たり前ではないんだけれど、どこかで当たり前に感じてしまうのが人間だし。でも、少しでも後悔を減らせるような生き方を自分もしたいなと思ったし、原作を読ませていただいた時に、自分はそのメッセージをすごくもらえた気がしたんです。なので、自分がそうやってもらえたメッセージを、映画でも視聴者の皆さんに届けばいいなと思いました。
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――タイトルにもなっている「ほどなく、お別れです」という言葉が、別れの準備が整った時に気持ちの区切りをつけられる言葉として、とても印象に残りました。お二人にとって、日常の中で気持ちに区切りをつけたい時に使っている言葉や、切り替えのための習慣などはありますか。
目黒:えー、なんだろう。
浜辺:じゃあ私から行きますね!
目黒:言っちゃってください!
浜辺:私は文字にします。ノートとアプリ両方使っているんですけど。
目黒:へー、文字にするんですね。
浜辺:モヤモヤする時とか、悲しい気持ち、自分の中でちょっとした怒りとかって、言葉にしないとどこが嫌で、どこが引っかかっているのかがわからなくなっちゃうんです。しかも、忙しいと、自分が今悲しいのか寂しいのか、よくわからない。マイナスの感情があるのはわかるけれど、これがどういう感情に分類されるのかがわからないという時があって。その時に自分と向き合って、ここが悲しい、ここが嫌だというように、たとえどうすることもできないとしても、文字にして整理をすることで自分の中ではちょっと区切りがつくんです。
目黒:今自分が思ってる感情をそのまま言葉にして書くんですか?
浜辺:そうです。ぶっきらぼうに「なんとかがムカつく」とかそういうふうに書くのではなく、「これが悲しい」「これがこうだけど、なんでこうなんだろう」とか、わーっと結構長めに書いています。ただ最後に、明日やる楽しみなことや、それを改善するためにできることみたいな、ちょっとプラスなことを書く欄があって。そこに少し書くと、ちょっとだけ前を向けるので、やっています。
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浜辺:そうなんです、寝る前とかに書いています。
――目黒さんはいかがですか?
目黒:僕は、玄関を開けたら切り替わります。
浜辺:へー!
目黒:帰りもそうですし、行きも。ドアを開けて出たら、どれだけプレッシャーのあるお仕事があったとしても、開ければもう行くしかないし、戦いに行くしかないという気持ちになりますね。帰りもドアを開けて入ったら、気づいたらもう休まっています。勝手に変わるんです。
浜辺:あんまり溜めたりはしないですか?
目黒:溜めないですね。忘れちゃうんですかね。だから丁寧に文字にしたりするのはいいなと思いました。
――AIに聞いてもらうのも、流行っていますよね。
浜辺:よく聞くやつですね! まだ使ってないんです。使ってますか?
目黒:英語の勉強とかで使ってます。
浜辺:賢い使い方ですね!
目黒:あはは(笑)。
■共演者の芝居にぐっと涙をこらえての撮影
――作品にお話を戻すと、泣くシーンも多い作品ですが、撮影の中で印象に残っている場面やエピソードはありますか。
浜辺:葬祭プランナーは基本「涙を見せてはいけない」という職業なので、耐えることの方が多かったです。毎回、ご遺族の方が本当にボロボロ泣かれていて、苦しそうで、すごく胸が痛かったです。もし参列者の役だったら、きっと一緒に泣いていたと思うのですが、そこをぐっとこらえて、葬祭プランナーとしてお仕事をしなくてはいけなかったので、その“抑える”という部分に集中していました。
目黒:僕は、最初の撮影が漆原の過去のシーンだったんですけど、そこでは泣きすぎてもう頭が痛かったです。
浜辺:しかも、お誕生日でしたよね、その日。
目黒:そうなんです。頭痛いし、鼻水も止まらないし。でも最初にそのシーンを撮れたことで、感情をしっかり持ったままその後の撮影に臨めてよかったです。
――劇中で特に泣きそうになったお芝居はありましたか。
浜辺:どなたの物語もそうだったのですが、特に泣きそうになってしまったのは長野県の霧ヶ峰の撮影で、野波麻帆さん演じるお母様が、「ありがとうございました」と一礼される場面があって。私はあのご家族のお葬式のシーンしか見ていないのに、絆をすごく感じてしまって。すごく素敵な笑顔で野波さんが笑ってらっしゃる姿に、こみ上げるものがありました。あの場面は参列者の方もいらっしゃらなかったので、ご家族と私たちだけという空間で、気持ちも一緒になれていたんじゃないかなと思います。
目黒:僕も長野家は、漆原の過去とリンクする部分があって意識していたので、原田泰造さんのちょっとした表情だったりもすごく胸を打たれました。自分も撮影中に結構もらい泣きしそうだったりして、耐えるのが大変でした。
(取材・文:川辺想子 写真:山田健史)
映画『ほどなく、お別れです』は、2月6日より公開。
