このうち東京初日の1月25日の東京ドーム公演は、いつものようにガガの“Ball(舞踏会)”を楽しむべく思い思いに着飾った“リトルモンスター”たちが見守る中で開幕。今回の公演は過去のツアーと同じく章立てで、『Of Velvet and Vice(ベルベットと悪について)』『And She Fell into a Gothic Dream(そして彼女はゴシックな夢に没入する)』『The Beautiful Nightmare That Knows Her Name(彼女の名を知る美しい悪夢)』『Every Chessboard Has Two Queens(どのチェス盤にもクイーンはふたりいる)』の4幕と、フィナーレ『Eternal Aria of the Monster Heart(モンスターのハートの永遠のアリア)』で構成。ガガ自身がディレクションを担当し、壮大なビジョンを具現化するにあたってステージパフォーマンスのトップクリエイタたち――ショウ・ディレクションにベン・ダルグリーシュ(ポスト・マローン、ドレイク)、プロダクションデザインにエス・デヴリン(U2、アデル)、振り付けにパリス・ゲーベル(リアーナ、ドージャ・キャット)を起用。
第1幕のトーンを方向付けたのも、『MAYHEM』からの1曲「Abracadabra」だ。ここでガガが口にする“The category is, Dance or Die”こそ、この曲のミュージックビデオにもフィーチャーされていた『The MAYHEM Ball』のキーワードであり、今宵は「踊るか、死ぬか」と日本語で選択を迫る。もちろんガガが選ぶのは前者だ。
次いで第2幕は“ライトサイド”のガガの独り舞台。墓地で幕を開けたゴシック色が濃厚なこの章では、『MAYHEM』で鳴っていたインダストリアルなロックサウンドが前面に押し出されており、「Paparazzi」も「LoveGame」もダーク&ヘヴィにアレンジが刷新された。しかし第3幕では一転して、ステージ上の巨大な頭蓋骨がゴシック色を引き継ぎながらも、ファンキー&レトロな路線にシフト。「Zombieboy」「Applause」「Just Dance」と、華のあるポップソングが並んだ。また第4幕にも「Shadow Of A Man」を筆頭にラヴとエンパワーメントのダンスアンセムが詰め込まれ、中でもドームを揺るがさんばかりの歓声に迎えられたのは、クィアコミュニティに捧げた「Born This Way」だ。「あなたたちは私にとって本当にスペシャルな存在。世界にとっても。でもそんなこと、わざわざ私が言う必要はないよね。あなたたちは、自分がスペシャルな存在だと百も承知なんだから!」と付け加えて。
2人のガガのストーリーはどうなったのか?第4幕の後半で2人の関係は、自他に重要な決断を迫る「Million Reasons」と「Shallow」の2曲で転機を迎える。そして本編を締めくくる「Vanish Into You」で、2つのペルソナは“あなたの中に溶け込む(=vanish into you)”ように、手を取り合って共存する道を見出した。
第4幕では、ガガがオーディエンスと対話をしながらじっくり歌を聞かせる、ピアノの弾き語りのコーナーが用意された。朗らかに笑い声を立てながら手を振って、「フォーマルな言い方しか知らないんだけど」と前置きし、まずは「愛してます!」と日本語であいさつ。ここで登場する曲は毎晩異なり、今夜は「The Edge Glory」と、オーディエンスにリクエストされたという「Always Remember Us This Way」を聞かせた。たっぷり歌ったあとだけに少しざらついた、一層深みが増した声で、歌い出しの“That Arizona sky”をさりげなく“That Tokyo sky”に変えていた。
「Shallow」と同じく映画『アリー/スター誕生』のサントラに収められていた後者について、「アリーのための曲だけど、みんなのために書いたとも言えるのかも」と語ったが、“今の私たちを記憶に刻みたい”という歌詞は、まさに今ここにいるオーディエンスとの絆を讃えているようでもあった。絆と言えば「The Edge of Glory」を歌った際に、20年近く続いている自分と聞き手の関係について話しながら、涙ぐんでいたシーンも印象的だった。ガガは、「今世界で起きていることを思うと圧倒されてしまって、息をすることも、微笑みを浮かべることも辛くなったりする。でもこの曲は、私たちにはお互いを支え合うコミュニティがあることを思い出させてくれる。微笑む方法を思い出させてくれる。だから私のコミュニティでいてくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えた。
続くフィナーレでは、タイトルどおりにモンスターの姿で「Bad Romance」を披露した。一旦ステージをあとにし、ここで終わりかと思いきや、しばらくするとスクリーンには楽屋でメイクを落としながら「How Bad Do U Want Me」を歌う映像が映し出され、ほどなくしてガガは、リラックスした晴れやかな表情でステージに帰ってきた。シアトリカルな非日常性を極めたゴシックドリームから我々の目を覚まし、リアリティに引き戻す、素顔でのアンコールだ。そして最後は独りで「Disco Heaven」に乗せて、まるでランウェイのスーパーモデルのように颯爽とステージを歩くと、指先を少し丸めてモンスターの手に見立てた“Paws Up”――マザー・モンスターからリトル・モンスターたちへの愛情を込めたポーズをクールにキメた。
■セットリスト(1月25日東京ドーム公演) M01. Bloody Mary M02. Abracadabra M03. Judas M04. ScheiBe M05. Garden Of Eden M06. Poker Face M07. Perfect Celebrity M08. Disease M09. Paparazzi M10. LoveGame M11. Alejandro M12. The Beast M13. Killah M14. Zombieboy M15. The Dead Dance M16. LoveDrug M17. Applause M18. Just Dance M19. Shadow Of A Man M20. Kill For Love M21. Summerboy M22. Born This Way M23. Million Reasons M24. Shallow M25. Die With A Smile M26. Always Remember Us This Way M27. The Edge Of Glory M28. Vanish Into You M29. Bad Romance M30. How Bad Do U Want Me