九州大の研究グループは4日までに、検査では異常が見つからず原因不明とされてきた「機能性嚥下(えんげ)障害(FD)」について、患者の約半数で食道が十分に広がらない状態がつかえ感の原因となっていることが分かったと発表した。診断や治療の見直しにつながる可能性がある。論文は米医学誌に掲載された。
FDは、内視鏡検査などで異常が見つからないのに、つかえ感や飲みにくさが続く病態。研究グループによると、国内で患者は人口の約2%とされ、重症化すれば誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクも高まるが、これまで有効な診断手段はほとんどなかった。
研究グループは、従来の検査が食べ物などを胃へ送る「収縮相」に偏っている点に注目。受け入れる「拡張相」の働きに異常があるとの仮説を立て、バリウムを付けたおにぎりを使う造影検査などで食道の働きを検証した。
外来でFDと診断された25人を調べた結果、14人で食道の広がりが不十分な状態を確認。うち9割以上は、おにぎりが食道内に広がって停滞し胃に届きにくくなっている様子が観察された。
さらに、喉から食道上部にかけて筋肉の収縮力が弱いほど、食道が広がりにくくなる関係も判明。飲み込む力の低下が、拡張不全を引き起こしていると示された。
研究グループの伊原栄吉准教授は「広がりが悪くなった食道をどう元に戻すかが課題。嚥下リハビリや薬による治療を選択肢として検討していきたい」と話している。