【2026年F1新車分析:レッドブル『RB22』】ニューウェイ後も大胆。メルセデスの“ゼロポッド”とは異なるスリムなサイドポッド

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2026年02月05日 17:50  AUTOSPORT web

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2026年F1プレシーズンテスト(バルセロナ) アイザック・ハジャー(レッドブル)
 スペイン・バルセロナでの2026年第1回F1プレシーズンテストが終了し、各チームのマシンはここから大きく変貌していくが、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが、まずはシェイクダウン仕様のマシンを観察、分析した。今回はレッドブル『RB22』にフォーカスする。

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■ニューウェイ不在でも、レッドブルは大胆さを失わない

 RB22は、レッドブルのF1史において重要な節目となるマシンだ。彼らは今季、まさに正面から勝負に出る決断を下した。それはRB22が、英国ミルトン・キーンズのファクトリーで自社開発されたエンジンを搭載する最初のマシンであるというだけではない。昨年アストンマーティンへ移籍したエイドリアン・ニューウェイが関与しない形で設計された、2006年以来初のレッドブルのマシンでもあるのだ。その後任であり、2018年からテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェは、多くの面で大胆かつ驚きに満ちたマシンを構想した。


■メルセデス風ゼロポッドではなく、RB15に近い

 RB22でまず目を引くのは、サイドポンツーンの細さだ。あまりに細いため、側面衝突時のエネルギーを吸収する変形構造(SIS=サイド・インパクト・ストラクチャー)を覆いきれていない。2022年のメルセデスW13と同様、義務付けられたカーボン製コーンが露出して見える構造だ。

 とはいえ、ほぼサイドポンツーンが存在しなかったシルバーアローとの共通点はそこまでである。下の比較写真から分かるように、RB22のサイドポンツーンはエンジンカバー後端付近まで緩やかな傾斜を描いて延びている。一方、メルセデスはコクピット付近で終わっていた。また、RB22の場合、インテークは高い位置に配置されているのに対し、W13では低く三角形状だった。要するに、このデザインは“ゼロポッド”メルセデスというより、RB15やRB16に近い。

 レッドブルでは最大断面積がより高い位置に置かれ、フロントタイヤ上部の後流を外側へ押し出す狙いがある。同時に、フロア前方上部に荷重をかけるため、前方のアンダーカットも強調されている。これらは、ベネチアンブラインド(すだれ)状に切り欠かれたサイドディフレクター(バージボード)と連動して機能する。

 これらの要素はすべてのF1マシンに存在し、モノコックとタイヤの間を通る空気を上方へ導く(下の図の青緑色矢印)。同時に、フロアエッジの曲率が空気を外側へ引き出す(青色矢印)。この気流は再び“すだれ”によって上方へ引き上げられ、結果としてアウトウォッシュが生まれ、前輪の回転による乱流を外へ追い出し、フロアを保護する。

 この仕組みはレッドブル特有のものではなく、2026年型F1すべてに共通している。エンジニアたちは、フロントウイングのフラップ位置がより中央寄りになったことで失われたアウトウォッシュ効果を取り戻そうとしているのだ。


■メルセデスやフェラーリと同様のスリット付きディフューザー

 RB22のマシン後部を見ると、メルセデスW17やフェラーリSF-26と同様に、ディフューザー側壁に穴が開いているのが確認できる。空気はフロア上面からこの開口部に入り、ディフューザーの内側に沿って流れる。

 直感的には、ディフューザーは完全に密閉されていなければダウンフォースを生むための低圧を作れず、開口部は性能を損なうように思える。しかしディフューザーの空力は、実際にはもっと複雑だ。最も重要なのは、強い迎角を持つウイングと同様に、空気の流れをディフューザー表面に張り付かせて保つ能力である。流れが剥離すれば失速が起き、ダウンフォースは急激に低下する。

 そのため空力担当者たちは、さまざまな小さな渦を生み出そうとするが、これほど長いフロアでは十分なエネルギーを維持するのが難しい。まさにその点で、RB22に設けられたこのスリットは、渦にエネルギーを供給し、流れを付着させ、ディフューザー内部での空気の膨張を促進する。これこそがまさに、ダウンフォース生成の中核となる仕組みだ。

 しかもこれはメルセデスやフェラーリのような単なるスリットではなく、ディフューザー内部の側壁そのものが欠落している形に近い。エンリコ・バルボ率いる空力部門は、この下部ディフレクターを用いてディフューザー内の回転を強めており、それがこれほど大きな切り欠きを設けた理由と考えられる。

 さらにこれらの渦は、リヤタイヤから発生する乱流がディフューザー内へ侵入するのを防ぐバリアの役割も果たす。ディフューザー側面に沿った強い流れはこの悪影響を抑え、結果としてディフューザー全体の性能をさらに高めるはずだ。


■“蜂の腰”を実現したリヤセクション

 ドライバーのヘルメット上のエアインテークは、サイドポンツーンの細さを優先したレーシングブルズVCARB 03よりもかなり小さい。RB22のサイドポンツーンはほぼ直線的(下の緑線参照)で、インテークがいかに狭いかが分かる。

 いわゆるコークボトル形状のリヤエンドは極端に細く(下の青矢印参照)、後方へ向かうクリーンで高エネルギーな気流を送り込むために体積が最大化されている。

 これらはリヤサスペンション・リンケージとも連動し、ディフューザー上部へエネルギーを供給する(フロントのサス形式は、アルピーヌA526とキャデラックを除くすべての2026年型F1と同様にプッシュロッド式)。非常に細いエンジンカバーは、大型のシャークフィンを設置するスペースも確保しており、フェラーリSF-26のようなギザギザ形状ではない。

 フロントでは別の違いも見られる。RB22は、メルセデスやフェラーリとは異なり、ホイールディフレクターの外側にブレーキダクトのエアスクープを配置している。外側のインテークは比較的小型であり、W17やSF-26と同様、ディフレクター内部に追加のインテークが存在する可能性も示唆している。


■独自開発の新エンジンでも順調なスタート

 完全新設計のパワーユニットにもかかわらず、アイザック・ハジャーはバルセロナテスト初日に107周を走破。ディートリヒ・マテシッツに敬意を表して『DM01』と名付けられたこのエンジンは、共有しているレーシングブルズでも大きな問題は発生しなかった。

「パワーユニットはうまく機能している」と、レーシングブルズのチーフレースエンジニアであるマッティア・スピーニは語る。

「確かに完璧ではないが、最初から完璧だとは思っていなかった。間違いなく改善すべき点はあるものの、レッドブル・パワートレインズの仲間たちと非常に良い形で協力できている。開幕戦に向けて仕上げていくつもりだ」

 ハジャーは、テスト初日の最速タイムも記録した。それが決定的な意味を持つものではないとはいえ、レッドブルにとって勇気づけられるスタートだった。

[オートスポーツweb 2026年02月05日]

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