限定公開( 1 )

2026年。キヤノンの「PowerShot」が30周年を迎えたのである。おめでとうございます。
2月7日の新商品説明会で、新型レンズや「EOS R50V」のホワイトモデルと一緒に「PowerShot30周年記念モデル」が発表されたのだ。その中身は、19年に発売したハイエンド機「PowerShot G7 X Mark III」のカラバリであるのだが、左肩にしっかり30thのマークが入っている。
ブラックモデルの現行機との違いは、色がグラファイトカラーに変更されたことと、コントローラーリングのパターンがクロスパターンになったことだ。
もちろん色が変わってロゴが付いただけじゃない。30周年特別キットは専用のボックスに入っており、購入者だけのリーフレットとケースとストラップも付属する。
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7年前に発売されたモデルとはいえ、センサーは1型の積層型CMOSセンサーだし、連写も効くし、ズームレンズも24-100mm相当といい感じだし、最新の被写体検出AFなんかはないけど、十分現役で使えるモデルだ。
●PowerShotの30年を振り返ろう
で、何より注目したいのは「30周年」である。30年前って1996年。まだ20世紀で、年号も「平成」になって間もない頃だ。
コンパクトデジカメの走りといえる初の液晶モニター搭載デジカメであるカシオ「QV-10」の発売が95年。翌96年にはリコー、富士フイルム、オリンパス、ソニーと各社が競って製品を投入してきた。
その一つがキヤノンの「PowerShot 600」だったのである。手元に実機も写真も無いので、キヤノンカメラミュージアムから。素晴らしいことに、キヤノンカメラミュージアムではキヤノンの歴代カメラをすべて見ることができる。
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これは記録メディアにPCカードを採用した、いささか大きなボディのモデル。
97年にはCFカードを採用した35万画素の「PowerShot 350」が登場。ただこれはパナソニックのOEMと言われていて、まだ本気のキヤノンじゃない感じだ。
縦型のデザインは面白かったのだけどね。
キヤノンらしいデザインが現れたのは98年の「PowerShot A5」。のちの「IXY DIGITAL」に通じる矩形のボディが特徴だ。秋にはその上位機としてズームレンズを搭載した「PowerShot A5 Zoom」も登場している。
この四角いボディは、2000年の初代IXY DIGITALへとつながる。そしてIXY DIGITALが大ヒットして、コンパクトデジカメ界にキヤノンの名を知らしめたのである。
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ここからのPowerShotが面白い。四角くてシンプルなボディのカメラはIXYシリーズにまかせ、PowerShotはより自由に幅広く展開していくのである。
当初のPowerShot Aシリーズはエントリー向けのラインアップとなり、単三形電池で駆動する廉価なカメラへとシフト。
新しくハイエンド機としてPowerShot Gシリーズが誕生。
00年の「PowerShot G1」を皮切りに、最終的には13年の「PowerShot G16」まで行った。すごいね。
ハイエンド機だけあり、アクセサリシューを持ち、光学ファインダーと背面モニターの両方を持ち、多くの撮影モードやダイヤルなど細かいセッティングができ、イメージセンサーも普及機より一回り大きなものを搭載していた。
特に「PowerShot G10」から「PowerShot G12」まで採用された、撮影モードとISO感度の2階建てダイヤルはすごく使いやすかった記憶がある。
Gシリーズは今でも現役。
12年にはより大きなセンサーを搭載したフラッグシップモデル「PowerShot G1 X」が登場。このシリーズは高倍率ズームの「PowerShot G3 X」、EVFを搭載した「PowerShot G5 X」、スタンダードモデルの「PowerShot G7 X」、小型軽量モデルの「PowerShot G9 X」とラインアップを拡大し、その中で19年発売の3代目「PowerShot G7 X」が30周年記念モデルに採用されたわけである。まあ、20年以降は新製品は出てないのだけれども。
そんなPowerShotの主力だったのはSシリーズ。特徴的なものをいくつか挙げておこう。
まず01年の「PowerShot S30」から05年の「PowerShot S80」まで続いたスライド式レンズカバーのモデル。レンズカバーの開閉が電源と連動していること、横長のスリムなボディを持っていたのが特徴だ。
そのシリーズは09年の「PowerShot S90」で大きな進化を遂げる。このS90が薄くてスリムで使いやすくて、写りもよくてPowerShot Sシリーズの最高傑作だったと思う。
このシリーズは13年の「PowerShot S120/S200」まで続いた。
Sシリーズは高倍率ズームレンズを搭載したSXシリーズへと徐々に移行し、最後に登場した「PowerShot SX740 HS」(18年発売)は40倍ズームレンズを搭載し、今でも現行機種となっている。
という感じで、一つ一つ追っていくとキリがないので……何しろ、歴代の製品数がものすごく多いのだ。特に2000年代のコンパクトデジカメ全盛期は、年に2回新製品発表会があるレベルだったのである。春の新モデル、秋の新モデルって感じ。
なので最後は、ユニークで個性的なモデルをピックアップしておこう。
●時折、現れるユニークで斬新なPowerShot
まず、3機種だけで終わった「PowerShot Pro」。
Proと名が付くことから分かるように、フラッグシップモデルで、他より大きなセンサー、高倍率のズームレンズ、独特のスタイリング。一番ユニークなボディを持っていた「PowerShot Pro 70」(98年)は残念ながら手元にないので、その後に出た「PowerShot Pro90 IS」と、最後のモデルとなった「PowerShot Pro1」を。PowerShot Pro1は当時(04年)としては最高レベルの2/3型800万画素CCD搭載で28-200mm相当のLレンズを搭載したハイエンド機だったが、後継機はなかった。
デジタル一眼レフのEOSシリーズが充実してきて、本格的な撮影をしたい人はそちらを選ぶようになったのだろうなと思う。PowerShot Proもけっこうカッコよかったのだけどな。
もう一つ、3代で終わってしまった「PowerShot N」というのもあった。初代のPowerShot Nが13年。
これがまた突然出てきためちゃヘンなカメラで、何しろ薄くて四角くてシャッターボタンがないのである。なんとレンズ周りのリングがシャッターで、どっちの方向から押してもokというデザインだったのだ。
モニターはチルト式だったが、なんと90度しか上を向かないのが残念だった(180度回して自撮りできるようになったのは、3代目の「PowerShot N2」だった)。
2代目の「PowerShot N100」に至っては、背面に自撮り用カメラを持っていたという面白さである。シャッターを切ると自撮りカメラで撮った自分の姿が小さく合成されるのだ。
ユニークでよいカメラだったのだが、ユニークすぎたのかもしれない。
1代限りで終わってしまったPowerShotもあった。07年の「PowerShot TX1」である。これがまた面白くて、縦長でモニターを開いて撮るのがデフォルトというスタイル。シャッターボタンは上にあり、写真のようにレンズの下に指をいれて握って撮るという。レンズの奥行きを取れるので当時としては高倍率な7.1xのズームレンズを搭載。
もちろん動画にも対応していたが、動画カメラというのはちょっと早かったか。
けっこう使いやすくて好きだったのだけどね。
普段はベーシックで伝統的なスタイルのカメラがラインアップの中心なのに、ときどきこんな妙なカメラを出してくるのがキヤノンの面白いところなのだ。
最近では「PowerShot V10」なんかが該当する。
さて30周年を迎えたPowerShotはこの先どうなるか。
最新モデルは動画系の「PowerShot V1」であるが、そろそろ静止画系のモデルも欲しいところ。
PowerShot V1が搭載した新型のイメージセンサーは非常に優秀なので、これを搭載した新シリーズでも展開してくれないかな。例えばPowerShot X1とか。
PowerShot S90、あるいはそのデザインを受け継いだといえるPowerShot G9 X系のコンパクトなのもいい。
昔みたいな豊富なラインアップをそろえるのはもう無理だけれども、昨今のコンパクトデジカメ復権の流れにちょっとのっかってみてほしいなと思うのである。
そうそう、そういえば、PowerShotが30周年ってことは、同じ年に初代機が出た他社のコンパクトデジカメ……例えばソニーの「Cyber-shot」も30周年ではないか。30周年記念モデルとか出さないかな。
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