終盤の接触後、総合7位でフィニッシュした75号車メルセデスAMG GT3エボ(75エクスプレス) 2026年IGTC開幕戦バサースト12時間 メルセデスAMGのファクトリードライバーであるジュール・グーノンは、2月15日にマウント・パノラマ・サーキットで行われた『マグアイアーズ・バサースト12時間』の決勝レース終盤、トップ争いの最中に接触したケルビン・ファン・デル・リンデに対し「馬鹿げた運転だ」と非難した。
グーノンがチームメイトであるケニー・ハブル、ルカ・ストルツとともにドライブした75号車メルセデスAMG GT3エボ(75エクスプレス)は、2026年IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ開幕戦の最終盤を迎える前に、勝利を手にするための強力なポジションにつけているように見えた。しかし、9回目のセーフティカー(SC)導入でレースの様相は一変する。
ファン・デル・リンデがドライブする32号車BMW M4 GT3エボ(チームWRT)は、ひとつ前のイエロー時に給油を行っていたため、9回目のSCランでふたたびピットインする必要がなくコース上に留まった。一方、上位陣は最後のガソリン補給のためピットに入ることとなった。これにより32号車BMWがレースリーダーとなり、75号車メルセデスが2番手に続く格好となった。
残り40分でのリスタートでは、ファン・デル・リンデがグーノンをリードする展開となったが、グーノンがターン1でライバルのイン側に飛び込もうとした際に2台が接触した。
このアクシデントの隙をつくかたちで888号車メルセデスAMG GT3エボ(メルセデスAMG・チームGMR)が後方から2台をかわしトップに浮上。このリードを最後まで守った888号車が最終的に総合優勝を果たした。一方、グーノンとファン・デル・リンデはマシンダメージによって順位を落とし、BMWは修復を指示するブラック&オレンジフラッグが提示された後、総合12位でレースを終えた。
総合7位でフィニッシュした後、グーノンはSportscar365のインタビューに応じ、アクシデントの責任がファン・デル・リンデにあると考えていることを明らかにした。
「FIA国際自動車連盟の規定では、世界中のどこでレースをしてもブレーキング中に一度しか動いてはいけないことになっている」とグーノンは語った。
「彼はストレートで一度アウト側に動き、ふたたびイン側に戻ってきたんだ」
「リスタートが非常に良かったので、オーバーテイクするチャンスがあると思った。(あの場面以外では)BMWのパワーを考えると追い抜くのは非常に難しかったと思う」
「僕がオーバーテイクの動きを見せたところ、彼はそれに気づいて反応した。イン側に寄ってきたんだ。けれど、僕のクルマはすでにABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が作動していたため、彼にぶつかる以外に何もできなかった」
「僕にとっては非常に不公平なドライビングで、こんなかたちで勝利を逃すのは本当に残念だ」
この接触について、レースコントロールは双方にペナルティを与えず「お咎めなし」と判断した。
グーノンは次のように付け加えた。「彼はレースの終わりに、僕たち両方(75号車メルセデスと32号車BMW)のレースを台無しにした。いつものように、彼のドライビングはひどいものだった。まったく馬鹿げているよ。今日はそれが僕たちの勝利を奪ったんだ」
■グーノンの仕掛けを想定していなかった
一方のファン・デル・リンデはSportscar365に対し、BMWの戦略的ポジションが比較的弱かったことを考えると、トップを守るためにリスクを冒すことは正しかったと語った。WRTのM4 GT3は戦略的な駆け引きの後に古いタイヤで走行し、燃料も少なくなっていた。
これは32号車BMWのクルーが1周目の接触で早々にリードラップを外れ、さらに1時間目に64号車フォード・マスタングGT3(HRTフォード・レーシング)が犠牲になったカンガルー・ストライクのデブリを巻き込んだ後の出来事だった。
「僕たちはカレンダー上で最大の耐久レースのひとつに向けて戦っており、そこにクルマを導くために大きなリスクを負った」とファン・デル・リンデは語った。
「正直なところ、彼が(僕のクルマよりも)フレッシュなタイヤを履いていて、おそらくAMG GT3のほうが明らかに速いことを理解しているだろうと考えていた。だから、ターン1で彼が全力でアタックしてくるとは思っていなかったんだ」
ターン1をリードを保ったまま乗り切っていたらトップを維持できたかと問われると、ファン・デル・リンデはこう答えた。「なんとも言えないね。僕は賭けに出たんだ」
「僕たちは古いタイヤを履いてたが、他のドライバーは皆新しいタイヤを履いていた。それに、僕は彼らより燃料を節約しなければならなかった」
「現実的に考えれば、僕たちが勝てる可能性は15%くらいだっただろう。でも、このようなビッグレースではそれを受け入れなければならない」
彼は、アウグスト・ファーフスとラファエル・マルチェッロ、そしてバレンティーノ・ロッシがドライブした姉妹車46号車BMWが3位に入ったことは、32号車がクリーンな走りをした場合にどんな結果になっていたかを、おおよそ示していると述べた。
「今年のフィールドのレベルを考えると、ちょっとしたミスも許されない。12時間、ずっと集中する必要があった」とファン・デル・リンデ。
「46号車は完璧に近いレースをしていたが、それでも勝つには不十分だった」
「僕たちが2台で戦略を分けたのは賢い選択だったと思う。そのおかげで僕たちは優勝を争える位置につけていたのに、結局はターン1で終わってしまった。残念だけど、少なくとも『努力した』と言って胸を張って帰ることができるよ」
[オートスポーツweb 2026年02月16日]