Attack筑波2026で筑波サーキットを走行するASM with B-Max S2000 2月14日、茨城県の筑波サーキットでタイムアタックイベント『Attack筑波2026』が開催された。B-Max Custom Factory(BCF)とAUTOBACS ASM YOKOHAMA(ASM)がタッグを組んだ『ASM with B-Max S2000』は、木村偉織のドライブにより自己ベストタイムを更新する初の55秒台をマークした。
このプロジェクトは、全日本スーパーフォーミュラ選手権などの国内フォーミュラカーレースで活躍するB-Max Racing Teamが、本拠地の神奈川県綾瀬市にB-Max Custom Factoryを開設したことをきっかけに、ASMが長年チャレンジしてきた自然吸気(NA)ホンダS2000による筑波サーキットタイムアタックに参画し、両者によるジョイント協力体制『ASM with B-Max Racing』にて進められるもの。
マシンのASM with B-Max S2000は345PSを発揮する戸田レーシング製2.4リッターエンジン、ASM ZFダンパーキットとハイパコスプリング、ASM&BCFオリジナルエアロパーツなどを装備するチューニングマシン。シェイクダウンを経て迎えたAttack筑波では、13日のテスト走行で初めてASM with B-Max S2000をドライブした木村により、56秒514というこれまでのベストタイムを早くも更新。その日はウォーターポンプトラブルによるオーバーヒート症状が出たため、走行を中断してトラブルの解消と各部のチェックが行われたという。
翌14日のイベント本番。前日テストでのタイヤは従来のGSコンパウンドのADVANA 050が使用されたが、この日は条件の良い午前アタックに新A1コンパウンドの投⼊が決定された。事前テスト走行していないタイヤだが、グリップ向上は明らかで、チームは未知のタイヤを使用するリスクを承知のうえで、アタッカーの木村をコースに送り出す。
その⽊村は「想像以上にグリップ⼒が⾼く、限界が掴みきれずタイムロスした部分がありました。感覚的にはあと0.2秒はいけた気がします」と⾔いながらも、2019年に加藤寛規が記録した56秒875の自車公式ベストタイムを約1秒上回る55秒842を記録。S2000クラスの55秒726というレコードタイムには届かなかったものの、ASMとB-Maxがジョイントした成果を⽰した。
同日の夕方に行われたアタック2回目。チームは出⾛までに車高調整などのアジャストをASM with B-Max S2000に施す。タイヤはA1コンパウンドが1セットしか⽤意できず、2回⽬のアタックで本来の性能を発揮するかも不確実だったため、GSコンパウンドが使用された。
そのアタック2回目は15時30分すぎから始まったが、朝よりも気温が上昇してタイムアップが難しくなったことに加え、タイヤコンパウンドの差もあり、⽊村が渾⾝のアタックを行うもタイムは56秒436に留まり、ここでASM with B-Max RacingのAttack筑波2026は幕を閉じた。
アタッカーを務めた木村は「未知の要素が多いアタックでした。このクルマに乗るのも初めてですし、筑波サーキットも正直2回くらいしか⾛ったことがありませんでした。タイヤも、特に1回⽬のアタックで使⽤したA1コンパウンドのA050は、どの程度グリップするのかもまったく分からないなかで探りながらのアタックでした。唯⼀の安⼼材料は、S2000は普段から乗っていて、クルマの持つキャラクターを理解しているという点でした」と一日を振り返る。
「実際に⾛ってみると、これだけ改造されていても、S2000の基本的な特性は変わりませんでした。でも、B-Maxさんとは何年も⼀緒にやってきて信頼を置いていますし、何よりも、加藤(寛規)さんが事前の富⼠テストで良いセットを作ってくれたので、⾛り出しからセットアップのことはまったく気にせず、運転だけに集中することができました」
「また、クルマを完璧に仕上げてくださったASMとB-Max Custom Factoryの皆さんのおかげで、思い切りアタックすることができました。与えられた仕事は何とかこなすことができたと思いますし、新しい世界に踏み込むことができた楽しい時間でした。ありがとうございました」
B-Maxの組⽥⿓司代表は「ASMさんとのコラボにより初めて筑波アタックに参戦しましたが、参加者の熱量、車両のレベルともに⾮常に⾼いと感じました。盛り上がっているのは知っていましたが、実際に参加してみると、皆が年に⼀度か⼆度のアタックに懸ける情熱が伝わってきて、我々がふだん参戦しているレースにはない、魅⼒の詰まった、とても良いイベントだと感じました」と述べた。
「今回、⼀定の結果を出すことができたのは、とにもかくにも、ベースになったASM S2000の完成度が⾼かったからで、我々は少しだけ、⾜りないところに⼿を加えただけです。とはいえ、これまでのベストを⼤幅に更新できたことは、⾮常にポジティブにとらえています。⾦⼭さんが⽬標としていた、同⼀⾞両によるクラストップタイムも、次の機会には達成できるという感触を得ましたので、来年は準備万端で臨みます」
「さらにその先の⽬標として、悲願でもあるNA最速について、今回、RE⾬宮さんの⾞両が記録したタイム(54秒707)に、ぜひ挑戦してみたいと思っています。そのためには、エンジン換装も含め⼤幅な⾒直しが必要ですが、考えるだけでも楽しくなります。今後、BCFとしてこのカテゴリーに、どんな形で関わっていくべきかを考えながら、来年もまた筑波に戻ってきたいと思います。貴重な機会を与えていただいた⽅々にお礼申し上げます」
また、B-Max Custom Factoryの店⻑を務める脇山敏志氏は「今回の筑波アタックに際して、ASM S2000の空⼒のチェックと⾜回りのアライメント調整を中⼼に⾏いました。空⼒については、アンダーパネルなどのパーツの取り付け精度などを徹底的に⾒直し、加藤選⼿のストレートの伸びが⾜りないというというコメントを参考に、リヤウイングを後⽅に移動してドラッグを軽減しました」と述べ、今回の課題点を挙げた。
「アライメント調整は、通常レースで行うコーナーウエイトの測定など、基本的な作業を⾏いました。事前の富⼠テストで、これらの効果を確認できましたので、⼿応えを感じつつ本番に臨みました。ただ、準備期間が短く、新コンパウンドのタイヤを含めてテストができなかったことや、初参加でイベントの流れを⼗分に把握できなかったことで、本来の⼒を発揮しきれなかったという悔しさは残ります。それでも、ベストタイムは更新できましたので、及第点は与えられる結果だったと思います」
そして、ASMの金山新⼀郎代表は「正直、この短期間のなかで、B-Maxのスタッフがここまでクルマを仕上げてくれるとは思っていませんでした。ベース⾞両が良いからと組⽥さんには⾔っていただいていますが、正体不明のクルマをたった1カ月でこのレベルまで持ってきて、さらに結果を残すというのは、さすがプロのレース屋の仕事だと思いました。良い意味で想定外でした」とコメント。
「⽊村偉織選⼿の、初めてのハイグリップタイヤに⼀発で合わせ込む⼒も凄かったです。それらすべてが結びついて、破れないと思っていた56秒の壁を超えてくれました。55秒8というタイムを⾒た瞬間は⿃肌が⽴ちました。偉織選⼿があと少しいけると⾔っていたところを修正すれば、⽬標とする55秒6も⼿の届くものだと感じ、本当に感動しました。このチャレンジに携わっていただいたすべての⽅に感謝いたします」
ASMとBCFは共通のプレスリリースで「今回のプロジェクトは、昨年末のB-Max Custom Factoryの店舗オープンをきっかけに、準備期間が短いなかで進められました。それでも、ASMの知識と経験、そしてBCFのレースで培った技術が融合したことで、ベストタイムの更新という成果を上げることができました。来年のAttack筑波にも同様の体制で参戦し、次回はしっかり準備をして、S2000クラスのベストタイムを更新したいと思います。参戦をサポートしていただいた関係各位、応援いただいたファンの皆さまに感謝いたします。ありがとうございました」とつづり、挑戦を続けていくことを明らかにしている。
[オートスポーツweb 2026年02月17日]