写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2022年2月5日 記事は取材時の状況)
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夫の不倫が発覚、それでも離婚しない場合、妻はどうやって気持ちを切り替えたらいいのだろうか。
そもそも「なかったこと」にできる問題ではないと考える人も多いだろう。
◆私の友人と関係をもった夫
「相手にもよりますよね……」
結婚して7年、6歳のひとり娘がいるアイさん(38歳)。3年前、夫の不倫が発覚したのだが、相手はアイさんの友人・マミさんだった。
「1回ホテルに行ったけど何もしてないと夫は言い張った。そんな言葉を信じてはいません。
そもそも3年半くらい前だったか、マミがうちに離婚の相談に来たことがあるんです。『ダンナさんにも意見を聞きたい』と言って、当時2歳になったばかりの息子も連れてきた。私が彼女の息子の面倒をみているうちに、マミはやけに夫に近づいて相談していて。なんだか嫌な予感がしたので、私に相談に来たんじゃないのと言ったら、『だって男性の心理を知りたいから』と。
マミが帰ったあと、夫に『彼女には気をつけてよ』と言ったら、『友だちのことをそんなふうに言わないほうがいいよ』と。それなのにやっぱりマミの誘惑に乗っていたんです」
◆夫は床に崩れ落ちた
帰宅が遅くなったり、以前だったらテーブルに放り出してあった携帯をやたらと身につけていたり。しばらくは見て見ぬふりをしていたが、あるとき「マミとつきあってるんでしょ」と唐突に言ったら、夫は床に崩れ落ちたという。
「ごめん、ごめんとひたすら謝っていました。もう秘密を持ちこたえられない状態だったみたい。そんなメンタルだったら不倫なんかするなと怒鳴りつけてやりました。
その場でマミに電話をさせて『アイに疑われている。もうきみには会えない』と言わせ、電話を代わって『あんた、ふざけないでよ』と罵倒してやりました。夫が体の震えが止まらなかったと後で言うほど、そのときの私は迫力があったようです(笑)」
◆離婚がよぎったが娘を第一に考えた
自分の友だちと関係をもったであろう夫を、アイさんは当然、許すことができなかった。離婚の二文字が頭の中をぐるぐるする。だが当時、娘は3歳。パパが大好きな娘のことを第一に考えた。夫とは独身時代も含めると10年つきあってきた。
「酔って歩けなくなったマミさんがラブホテルの前で動かなかったので、とりあえず介抱するつもりでホテルに入った。彼女を寝かしつけて自分は帰るつもりだったが、急に抱きつかれて帰れなくなった。でも最後まではしていない。それ以来、マミさんに呼び出されて離婚の相談に乗っていた」
そんな夫の言い訳を信じたわけではない。だが、夫がマミさんともう会わないだろうということはわかっていた。
「夫は少し変わりました。娘のことは以前から本当にかわいがっていましたが、それ以来、渋々(しぶしぶ)やっていた家事も率先してやるようになったし、変わろうとしていることだけは伝わってきた」
マミさんとは何もしていないと言い張るのも、夫の優しさなのかもしれないとアイさんは感じた。
◆それでもモヤモヤして
あるとき、アイさんは夫に「私に対して卑屈にはならないで。新たに夫婦としてがんばっていこう」と告げた。夫はうっすら涙さえ浮かべ、彼女の手をとった。
「それから1年くらい、がんばったんですよ、夫も私も。夫がマミと寝たはずだと思うととても夜の生活に耐えられない。だけど私から誘いました。仲良し3人家族を再構築するためにはしかたがなかった」
だが翌朝、アイさんの下半身にはじんましんが広がっていた。あわてて皮膚科に行くと、「急激なストレスがあったんじゃないですか」と言われたそう。自分で自分を偽っても体は正直なのだとつくづく感じたという。
「こんな状態になったから、私は無理するのはやめると夫に言い、寝室は別にしました。私が別室で寝ているのを知った娘が『パパとママ、ケンカしているの?』と言うから『パパがいびきをかくからママが眠れなくなっちゃうの』と話して納得してもらって。
別室にしたら少し気が楽になりましたね。夫もそうだったんじゃないかなと思います」
それでもアイさんのモヤモヤは晴れない。昨年秋、久しぶりに学生時代の友人たちが集まる機会があった。
◆仕返しに私も不倫
「8人くらい来ましたね。当時つきあっていたヒロキもいました。嫌な別れ方をしたわけじゃないので懐かしくて、ヒロキとふたりで近況報告をしていたら周りにからかわれて。『不倫なんてやめとけよ』と言われてふたりで大笑い。今さらあり得ないでしょと言っていたんですが、帰りに『もう一軒だけいこうよ、ふたりで』とヒロキに誘われました。
ヒロキとの会話が楽しかったからもちろんOK。バーで飲みながら話して、それでますます別れづらくなった。酔った私から、『ワンナイトラブしよう』と持ちかけました。パーッと自分を解放したかったんです。ヒロキは『いいよ、1回だけな』って。いいやつでしょ」
そのままラブホテルへ行って、望み通り自らを解放した。帰宅したのは午前1時近かったという。
「リビングでひとりコーヒーを飲んでいたら夫が起きてきて。『楽しかった?』と言われてうんと答えました。すると夫はニコッと笑って、よかったと言ったんです。罪悪感はなかったけど、『ここでもし夫にバレたら、私も不倫していたということになるんだな』とぼんやり考えていました。不倫なんて、あっけない。やろうと思えばできちゃうものなんだと。
夫の場合、私の友だちだったのが心にひっかかっていましたけど、私が夫の友だちとそういうことになる可能性だってないわけではない。タイミングと状況の問題だけだなあ、と。そう考えたら、そもそも許す許さないという話でもないし、夫のしたことと私のしたことはこれで相殺(そうさい)と私が決めればいいだけだなと思いました」
◆気持ちが晴れて夫との関係を再構築
翌日からアイさんは身も心も軽くなったような気がしたという。
朝早く起き、夫と自分の弁当を作る。夫が娘を保育園に送っていく。仕事をして保育園に迎えに行き、夕飯を作る。その間に夫が帰ってきて洗濯をしたり娘のめんどうを見たり。食後のあとかたづけは夫が率先してやってくれる。
「ふと俯瞰(ふかん)してみたら、なかなかいい家庭じゃないかと思いまして。夫は不倫後、変わったし。
そう思えたのも、自分が仕返しまがいの一夜を過ごしたからでしょうね。ヒロキとはその後、連絡をとっていません。ふたりで会うこともないと思います。でも私は確かにあの夜、救われたんだなと思います」
このコロナ禍を夫婦は協力して乗り越えようとがんばっている。去年から小学校に上がった娘の学校では現在、学級閉鎖を繰り返しており、夫婦はどちらかが在宅ワークできるように調整しあって仕事をしている。
「夫はマミに恋したわけではないし、私もヒロキと恋したわけではない。自分が元カレと一夜を過ごしてそれがわかったから、わだかまりもなくなりました。
もし夫婦どちらかが本気で誰かに恋をしたら、それはパートナーであっても止めようがないのかもしれない。そんなふうにも思いますね」
あくまで“浮気”であって本気でないなら、夫婦関係の修復は可能なのではないかとアイさん自身は感じているそうだ。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio