坂本冬美の恋と桜と恵 デビュー40周年記念曲「遠い昔の恋の歌」4日発売

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2026年03月01日 08:00  日刊スポーツ

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記念曲「遠い昔の恋の歌」発売を前に、デビュー40周年を振り返った坂本冬美(撮影・中島郁夫)

演歌歌手坂本冬美(58)がデビュー40周年記念曲「遠い昔の恋の歌」を4日に発売する。“等身大の冬美”をキーワードに、心の片隅に残るはかない恋をジャジーなテイストに乗せた珠玉の1曲だ。これまでの歌手人生を漢字1文字にすると「恵」。人や作品との出会いに恵まれた40年に感謝しながら、節目の年を全力で駆け抜ける。【松本久】


★歌詞に共感…涙


歌詞を初めて読んだ時、言葉の1つ1つに共感して涙がこぼれた。「19歳で和歌山から東京に出て約40年。これまでも20周年、30周年などの節目に歌手人生を振り返ってきました。でも、自分の人生そのものは振り返ったことがなかった。確かに私の人生=歌手人生。でも、もしあの時に別の道を進んでいたらどんな人生があったのか。詞を読みながらそんな思いがよぎったんです」。


今が幸せで充実している。後悔もない。「選択は間違っていなかった」と言い切れるからこそ“遠い昔の恋”をいとおしく思うことができるという。坂本にとって、それはいつだったのか。「具体的には言えないけど中学時代の初恋じゃないですよ。もうちょっと大人の恋。すでに歌手デビューをしていました。これまで恋のうわさを報じられたことはありませんけど(笑い)」とけむに巻いた。


作詞作曲は「夜空ノムコウ」を作曲したシンガー・ソングライター川村結花(59)。11年に「おかえりがおまもり」を提供してもらい、この時に仕事やプライベートなど多くのことを話し合った。「実はそれきり会っていなかったんです」。今回、ディレクターが制作の依頼に行くと曲が既に出来上がっていた。「冬美さんのことを思いながら作った曲がある。いつか巡り合えないかと毎日祈っていました」と説明されたという。「歌っていてすごく心地よい。感情が入ると熱唱したくなるけど、切なさが消えてしまうからぐっと気持ちを抑えて歌っています。同世代の皆さんにも聞いてもらって、遠い昔の恋にちょっと思いをはせてもらいたい」。


カップリング曲「しあわせ十色」も川村が手がけた。他人の評価や世間体なんて気にせず、自分らしく生きようと説くメッセージソングだ。「これまでは肩肘張って生きてきたけど、この年齢になったら残りの人生、もっと気持ちを楽にしていこうよという、頑張らない応援歌です」。


坂本自身、2002年から1年の歌手活動休止を経験しているだけに、自分らしく生きることの大切さを身をもって知っている。「歌詞を読むと、何で私の気持ちが分かるのと思うくらい。でも川村さんは『自分の思いを言葉にしたらこうなった』って。すごく共感できる」と話す。


★確信3曲カバー


40周年記念コンサートは1月下旬にスタート。11公演中5公演を終えている。


ステージでは「この曲との出会いが今につながっている」と確信する3つのカバー曲を披露する。まずは石川さゆり(68)の「津軽海峡・冬景色」。小5の時に歌唱をテレビで見て演歌の魅力にはまった。島倉千代子さん(13年に75歳で死去)は「人生いろいろ」。新人時代、芸能界の右も左も分からない坂本に、歌手としての基本を厳しく指導してくれたのが島倉さんだった。そして二葉百合子(94)の「岸壁の母」。02年に芸能界引退を決意して休業した際、再び歌うきっかけとなった曲だ。


二葉からは02年以降、浪曲などの指導を受け続けている。「ツアーで歌う『岸壁の母』にナレーションを入れていただきました。取れたてのホヤホヤです。94歳の二葉先生の声を聞いただけで、客席の皆さんが引き込まれたようになるんです」。


★今月30日59歳


今月30日、59歳の誕生日にはビルボードライブ東京で初のバースデーライブを開催する。「失敗しようが何しようがとにかく楽しくやりたい。普段はお酒を飲まないけれど、加藤登紀子さんの『ほろ酔いコンサート』みたいにファンの皆さんと一緒に飲みながらやりたい気持ちです」。その日を誰よりも楽しみにしている。


★「生まれ変わり」


歌手人生を振り返ると「運が良かった」「(人や作品との)奇跡の出会い」「感謝」という言葉を何度も繰り返す。奇跡の出会いを象徴する曲が94年発売の「夜桜お七」(作詞林あまり、作曲三木たかし)だ。前年に恩師の猪俣公章氏が死去した後、初めて別の作曲家が手がけた作品だった。演歌としては異例の8ビートのロックなメロディーと斬新な歌詞。革新性ゆえに「これが演歌か」と世間を驚かせた。


昨年までにNHK紅白歌合戦に37回出場し、そのうち10回歌唱。アレンジや演出を毎回変えて「その度に生まれ変わっている感じがする。全く色あせません」。中森明菜(60)や水樹奈々(46)ら多くの実力派がカバーし、THE ALFEE高見沢俊彦(71)は何とヘビメタで歌った。発売から30年以上たつが、さまざまな顔を見せる。「冗談半分で言っているのですが、(曲のモチーフで江戸時代に放火事件で火刑に処された)八百屋お七は私が1967年3月30日に生まれる約300年前に生まれて3月29日に亡くなった。だから私は生まれ変わりなんです。きっと目に見えない力が働いて『あなた、歌いなさい』といただいた曲なのだろうと。これも運命の出会い。八百屋お七の思いが入っているかもと思っています」。そしてこう続けた。「もし『夜桜お七』がなかったら今の私はない」。


坂本には毎朝のルーティンがある。亡くなった両親や弟、島倉さん、猪俣氏らの写真が部屋にあり、水とコーヒーをお供えをして、ひと言ずつ声をかける。「10人以上いるから時間がかかってしょうがない。これ以上は増やしたくない」と苦笑いしながら「いつも守っていただいてありがとうございますと手を合わせます」と教えてくれた。


歌手人生を漢字1文字で表すと「恵」だという。「本当に恵まれた40年。人や作品との素晴らしい出会いがあって今も歌わせていただいている。そのことに感謝です。今年は目いっぱい走ります。パーッとひと花咲かせて区切りを付けたら、来年以降は少しゆっくりと健康第一で歩いていきたい。目標は元気に50周年を迎えること。ファンの皆さんと歩んでいけたらうれしい」。


歌手として迎える不惑の節目。全国のファンに“等身大の冬美”を届ける。


▼師匠の二葉百合子(94)


ご縁があって私のところに来て約23年。その前からも、テレビ局などで会うと「よろしくお願いします」とすごく礼儀正しくあいさつをしてくれました。すごいのは毎日のように朝10時に電話をくれること。私がハワイにいる時も時差を考えた上で連絡をくれました。もし私がコンコンとせきでもしようものなら、すごく心配をして大変です。そしてすごく勉強熱心。「私はスターだから」とてんぐになんて決してならない。だから厳しい芸能の世界で長く活躍できているのだと思います。40周年を迎えることができたのはファンの皆さんのおかげ。“親”としてすごくうれしいです。


◆坂本冬美(さかもと・ふゆみ)


本名同じ。1967年(昭42)3月30日、和歌山県生まれ。中高時代はソフトボール部で捕手。86年に作曲家猪俣公章氏の内弟子となり、87年に「あばれ太鼓」でデビュー。「祝い酒」「夜桜お七」「また君に恋してる」などヒット曲多数。91年と2011年に日本レコード大賞最優秀歌唱賞。NHK紅白歌合戦に37回出場。血液型O。

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