「“主人”って呼ぶの、やめたら?」昨年話題の『子宮恋愛』で“物議醸したセリフ”の裏側。37歳・肉体派俳優が語る葛藤とは

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2026年03月01日 16:00  女子SPA!

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 ダンサー、俳優として舞台を中心に活躍し、2019年のテレビドラマ『ルパンの娘』で一躍注目を集めて以降、舞台に映像作品にと支持を集めている大貫勇輔さん(37歳)。昨年4月期に放送されたドラマ『子宮恋愛』(読売テレビ)への出演も大きな話題となりました。

 3月からは、日本では再再演となるミュージカル『メリー・ポピンズ』で、3度目となるバート役(トリプルキャスト)を務めます。そんな大貫さんに、本ミュージカルにかける思いから、さらに女性ファンを増やした『子宮恋愛』についても聞きました。

◆「この子たちのためなら死ねる」父になって知った思い

――大きなタイトルの作品ですが、大貫さんは今回で3度目のバート役ですね。

大貫勇輔さん(以下、大貫):僕は、究極を言えば死ぬまでやりたいと言ってもいいくらい、このミュージカルが大好きです。初演(2018年)、再演(2022年)とバートを演じていますが、自分自身にすごくフィットしていて、僕そのものだと感じています。だからこうしてまたお声をかけてもらって、当然喜びもありましたし、ある種「当然」といった自負もありました。その中で、今回は自分自身に大きな変化がありました。

――というと。

大貫:父親になったことによる変化です。再演のときにはすでに父親になっていましたが、そのときは目の前のことにいっぱいいっぱいでした。そこから「この子たちのためだったら死ねる」と思える存在と月日を重ね、そのうえで新たにバートに向かうと、どんな影響があるのか自分自身でも楽しみなんです。

◆中身は寂しがりの“ゴールデン・レトリバー”

――その間には、父と息子の関係を描いた舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』にも挑戦されています。

大貫:そうなんです。2年目で10か月演じて、いままたカムバックで出演させていただいています(取材日時点)。やはり再演では、より舞台上での息子のセリフに心が動いています。改めて、「普段の生活からの影響を受ける仕事なんだな」と体感しました。

 あと、『ハリー・ポッターと呪いの子』のときに、周りから「大型犬のゴールデン・レトリバーみたいに見える」って言われたことがあって(笑)。嬉しいとバーっと行くし、悲しいとクーンとなっちゃう。その感じは自分自身の中にある要素なんです。

――そうなんですね!

大貫:バートも自分の気持ちに正直。メリーや子どもたちに会えたら嬉しくてたまらないし、寂しいときはしっかり寂しがる。自分にも他人にも嘘がつけない正直さは、特にバートとフィットしていると思います。

◆ダンサーを選んだ意外なワケ「痛いのが大嫌いなんです」

――大貫さんは体操一家で育ったそうですが、ご自身は小さなころからダンスの世界へ。体操の世界へ進もうとは思わなかったのでしょうか。

大貫:僕ね、小さなころから痛いのが大嫌いなんです。体操って痛いんですよ(苦笑)。目立ちたがり屋なので、楽しいときもありましたが、ひねりが入ると恐怖になってくる。ロンダートバク転宙返りまでやっていたのですが、そこにひねりの練習が入った段階で怖くなってしまって。鉄棒やつり輪も手が痛いですし。「これ以上は体操は趣味でいいや」となりました。

 ダンスは7歳から始めましたが、その前にはサッカー、水泳、剣道、ピアノや英会話も習っていました。

――そのなかで、なぜダンスにハマったのでしょう。

大貫:気持ちよかったんでしょうね。最初は母親がやっていたので、ついてまわって真似して踊っていたんです。一度、四年生のときに「やめたい」と思ったことがありましたが、母親がやめさせてくれませんでした。そのときにやめなくて本当によかったなと思います。六年生のときにストリートダンスに出会って、そこから一気にハマっていきました。

◆「その“主人”って言うの、やめたら?」物議を醸したセリフの裏側

――ところで、実は女子SPA!は、特段、舞台の情報を扱っている媒体ではありません。

大貫:そんな媒体さんが、なぜ僕に取材を? あ、ドラマの『子宮恋愛』がきっかけですか?

――その通りです(笑)。

大貫:去年は特に『子宮恋愛』を見ていただいたというファンの方が多いです。深夜枠の作品でしたが、TVerでも再生数が高くて、いろんな要素が上手にあわさったなと感じています。直接反響が届くことは少なくても、周りのスタッフから「すごい反響ですよ」と聞きましたし、ファンクラブのイベントでも「『子宮恋愛』を見ていた」という方が結構いらっしゃいました。

――役者として、この作品に触れたことで何か刺激を受けたことはありますか?

大貫:普通のサラリーマンの役なのですが、突然、日常では口にしないようなことを言うんですよ。それを、「普通に言いそうだよね」と思わせなきゃいけない。「こいつ何言ってんの?」っていうところとのギリギリの境目。それが難しかったです。

 たとえば、「その“主人”って言うの、やめたら? だって苫田さんが苫田さんの人生の主人公でしょ?」っていうセリフが話題になっていましたよね。

――視聴者の感情を大きく揺さぶったセリフですね。

大貫:あれは言うのがすごく難しくって、めちゃくちゃ練習しました。そういった、日常では言いづらいセリフがたくさんありましたね。

◆役のための試行錯誤は大変だけど楽しい

――視聴者が「これはフィクションだな」と離れてしまわない絶妙な演技が必要ですよね。

大貫:その塩梅を監督とすり合わせながらやっていくのは、とても楽しかったです。『高嶺の花』では華道の家元、『グランメゾン東京』では料理人と、役柄によって思考を変えていく作業を大事にしています。役としての家での過ごし方や生活のリズムを考えることは、自分自身を助けてくれるんです。

『子宮恋愛』で言えば、松井愛莉さんの演じた苫田まきが、本当に好きになってくれるような存在にならなければいけなかった。その空気感をどれくらい出すかといった試行錯誤は、とても面白い作業でした。

◆映像にはない「生の舞台」だけの化学反応

――そうしたドラマへの出演をきっかけに、舞台を観に来る人もいるかと。

大貫:そうした点で大きな反響を感じたのは、『ルパンの娘』でした。『子宮恋愛』では『ルパンの娘』とは違って、踊りはありませんでしたからね(笑)。だけどあそこまでガッツリの恋愛ものは『子宮恋愛』が初めてでした。

 主役の相手役として抜擢してもらって嬉しかったですし、役者として勝負だと思って準備して挑んだものが、実際にたくさんの方に見ていただけた。純粋に嬉しかったです。

――大貫さんをきっかけに、ミュージカルに足を運ぶ人がまた新たにいるかもしれません。最後に改めて『メリー・ポピンズ』出演に際し、ひとことお願いします。

大貫:生の舞台は、その瞬間に終わってしまうもので、ミスも起こるし問題が起きることもあります。でもやっぱりその瞬間でしか観られない俳優同士の化学変化があって、そこが面白さだと感じます。

『メリー・ポピンズ』は日本でも再再演になりますが、続けていけるものには、やはりすごいパワーと理由があります。曲もどれも素晴らしいですし、普遍的なメッセージが詰まっている。最後、ハッピーな気持ちになって気づいたら涙が流れているような作品です。こうした心の浄化を感じられる作品は意外と少ないと思います。舞台を観たことのない人も、ぜひ感動しに、癒されに来てください。

<取材・文/望月ふみ ヘアメイク/松田蓉子 スタイリスト/立山功>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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