マクラーレン、LMDhベースのサーキット専用車を発売へ。活動を支える商業プログラムを説明

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2026年03月06日 13:00  AUTOSPORT web

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2025年のル・マン24時間レース開催時に初披露されたマクラーレンの新型LMDhカー。WEC投入予定は来季2027年だ
 マクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブ・ディレクターであるジェームズ・バークレーによると、今後登場するLMDhベースのハイパーカーのサーキット走行専用モデルを販売する“プロジェクト・エンデュランス”プログラムは、レース参戦に向けたビジネスケースの一環であるという。


■競売にかけられたレースカーは約12億円で落札

 来季2027年からWEC世界耐久選手権のトップカテゴリーに参戦するこのイギリスのメーカーは、サーキット専用車両に関わるいくつかの商業的機会を創出しており、実際のLMDhカーの初期バッチの先行販売も行っている。

 サーキット走行の愛好家とプロドライバーの橋渡しを目的としたプロジェクト・エンデュランスは、ダラーラ製シャシーの車両購入、プロドライバーによるコーチング、およびクルーのサポートを含む2台セットのプログラムとしてパッケージ化されている。

「我々マクラーレン・レーシングは、レーシング組織だ」とバークレーは語った。「莫大な固定予算があり、それをマーケティング費用としてレース活動に充てているわけではない」

「我々は持続可能でなければならず、マクラーレン・レーシングに迎え入れる素晴らしいコマーシャル・パートナーたちとの見事なパートナーシップ・チームによってそれが推進されている」

「トラックカー(サーキット専用車)プログラムは、我々のレース参戦に向けたビジネスケースの一部であり、我々にとって重要な要素だ。これは非常にクールな要素でもあり、世界選手権で優勝を狙えるようなトラックカーを手に入れてドライブを楽しめる機会は、そう滅多にあるものではない。我々や他社が行っているこのような試みは、基本的に世界選手権レベルのマシンを運転できる稀有な機会だろう」

「(レース車両と)多くの共通点があるため、ふたつの異なるクルマを設計しているわけではない。気を散らさないよう、トラックカーの運営方法はレース活動とは切り離される予定だ」

「検証と最終決定を経て生産に入れば、レースチームを運営するスタッフとレース車両は、サーキット専用車とは別の体制になると考えている。しかし、当然ながら管理上の観点からは、我々が両方を統括することになる」

 バークレーによれば、プロジェクト・エンデュランスの車両の初期バッチは、2027年後半から2028年初頭に顧客へ納車される予定だという。

 彼は次のように付け加えた。「その上限について明確な数字は設定していない」

「いつものように、需要と供給の問題だと言っていいだろう。現在のハイパーカーを巡る熱狂を考えれば、需要が供給を上回ると見ている。これらの車両に真の価値が結びつくような状況になるのは喜ばしいことだ」

「ご存知のとおり、我々は(まだ走ってもいない)LMDhレースカーの1台をオークションに出品したが、そのクルマが達成した結果を見るのは素晴らしいことだった」

「このプログラムが始まるまで、マクラーレンで(ル・マンの)総合優勝を狙える最後のクルマはマクラーレンF1 GTRだった。あのクルマには今や驚くべき伝統と価値がある。多くの点で、新しいトラックカーはその継承車となるだろう。コレクターや、素晴らしいレーシングカーの運転を楽しむ人々にとって、これはまたとない機会になると思う」

 まだテスト走行も始まっていない最初のハイパーカー・レース車両は、最近アブダビで開催されたRMサザビーズのオークションにて759万8750ドル(約11億9000万円)で落札された。

 マクラーレン・レーシングのCEO(最高経営責任者)であるザク・ブラウンは、初期の6台のLMDhトラックカーすべてがコレクターに先行販売されたことを明らかにした。これはF1やスーパーカーのマーケットに続きWECでもライバルとなるフェラーリも『499P』で行っていることだ。

「世界有数のコレクターたちがこれらを購入してくれた。6台を売るのに電話したのは8件ほどだったよ」

 このように述べたブラウンだが、サーキット走行プログラムやLMDhレースカーの先行販売による収益は、ファクトリーによるWECハイパーカー活動に必要な資本全体の数パーセントに過ぎないと語った。

「それらはほんの一部に過ぎない。コマーシャル・パートナーシップこそが、必要な収益の大部分を占めている」


■トリプルクラウンが可能な“唯一のチーム”が売りになる

 マクラーレンは、F1、NTTインディカー・シリーズ、そして間もなくプログラムが開始されるWECハイパーカーに参戦する唯一のチームだ。そのためブラウンは、パートナーに対して“トリプルクラウン”の魅力を売りこむ力があると述べている。

 彼は次のように説明した。「我々には商業化すべき4つの資産がある。F1、インディカー、WEC、そしてそれらすべてを包み込む、我々が唯一達成したことのある『トリプルクラウン』だ」

「現在、3つのカテゴリーすべてに契約しているパートナーがおり、彼らはトリプルクラウンというプロパティに関わっている。また、F1とインディカーにまたがるパートナーもいる」

「2027年に必要な状況を見据えて、今日の企業パートナーシップに関してコマーシャルチームが成し遂げた進歩には非常に満足している。我々は異なるパッケージを束ねる能力を持っている。スポーツカーレースは、言ってみれば非常に売りやすいものだ。その点の多くは、最終的にIMSA(ウェザーテック・スポーツカー選手権)に関する疑問へとつながるだろう」

 マクラーレンのハイパーカーに、ブランドを象徴する“パパイヤ・オレンジ”が採用されるか問われたブラウンは、次のように答えた。

「高い割合でパパイヤが使われるだろうし、我々のパートナーもそれを好んでいる」

「赤いチーム(フェラーリ)はつねに赤だろうし、それこそが(ファンやパートナーが)求めているものだと思う」

「私たちのマーケティング・チームは素晴らしい仕事をした。パパイヤ・オレンジを見れば、マクラーレンを思い浮かべるだろう。それこそがファンが見たいものであり、たとえスポンサーのコーポレートカラーが違っていても、求められているものだと信じている」

「マクラーレンを見れば『パパイヤ色のクルマだ』と言われるようなアイデンティティを損なうことなく、彼らが必要とするものを提供する良い仕事をするつもりだ」

[オートスポーツweb 2026年03月06日]

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