そうした今井の存在感が時代によらず多くの人々を魅了してきたことは数字にも表れている。1988年にアルバム『Bewith』で1988/7/4付オリコン週間アルバムランキング1位を獲得したのを皮切りに、アルバムでは計4作品(『Bewith』のほか、『Lluvia』1991年、『flow into space』1992年、『Ivory II』1993年)、シングルでは3作品(「PIECE OF MY WISH」1991年、「Miss You」1994年、「PRIDE」1996年)でオリコン週間シングルランキング1位となり、アルバム『Ivory』(1989年)と『PRIDE』(1997年)、シングル「PIECE OF MY WISH」と「PRIDE」の4作品でミリオンセラーを記録。これらの歌は今なお90年代の名曲として歌い継がれており、彼女の“自然体”がもたらす歌は流行り廃りとは別の次元で、長く、深くリスナーの心に流れ続けている。その“自然体”はさらに成熟度を増し、40周年という節目に、『smile』へとたどり着いた。
その中でも、さだまさしが手がけた「美しい場所〜Final Destination〜」は、さだにより書き上げられた、多くの人の歩みに寄り添った物語性のある詞・曲を今井が歌うことで、より洗練されつつもほのかな人肌の温かみを感じる楽曲となっており、そこに、さだのバイオリンソロと布袋のギターソロが交差するといった形で3人のコラボレーションが実現。まるで映画音楽のような深みと余韻が味わえる一曲となっている。そのスタジオ・レコーディングの様子は、同曲のPV Short Version(アルバム特設サイトから視聴可能)に収められているので、ぜひチェックしてみてほしい。
もちろん他にも、華やかに心躍るような幕開感を彩る「Because of you」や、年齢を重ねてふと心に浮かぶ“あの人”の笑顔を美しい大切な想い出として振り返りながら、それを前向きな気持ちで静かに自分自身の笑顔へとつなげていくような「One more smile」、今の時代にマッチするシティポップ的な空気感が心地よい「ワンマイル」、そして、“終わり”ではなく“これから”を感じさせるバラード曲「Life is a journey」で、アルバムのエンディングを飾っている。
この曲で今井は、出会いと別れ、再会という人生の旅路を「生きていた」「生きてゆく」「生きている」と穏やかに歌い、その時々の辛さや苦しみすらも含め、今につながるものとしてすべてを柔らかに肯定する。しかもそれを感情の抑揚ではなく、声色の透明感で表現することで、具体的には歌われてないここから先の人生の光すらも感じさせる、そんな余韻を味わわせてくれる聴きどころたっぷりの大人のアルバムだ。アルバムのエンディングを飾りつつも、“終わり”ではなく“これから”を感じさせるバラード曲「Life is a journey」など、聴きどころたっぷりの大人のアルバムだ。