「介護費用がなくなる」危機的状況に陥ってしまうことも…親の老後資金を大幅に減らす「8つのNG行為」

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2026年03月07日 21:50  All About

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将来、親の介護が始まった時、親のお金が足りないと子どもの負担が増えてしまいます。老後資金を確保しておくためには気を付けなくてはならないポイントがいくつかあります。今回は親の資産を大幅に減らす8つのNG行為について解説していきましょう。※画像:PIXTA
子ども世代は、家の購入や車の維持費、自分自身の子どものための費用など、お金がかかる場面は山ほどあります。そうした時に自分の親から金銭的な支援を受けることで助かる人は多いでしょう。このように、ついつい親の財布を当てにしてしまうケースは珍しくありません。

しかしそれを繰り返していくと、いざ親の介護が必要になった時にどうしようもない状況に陥ってしまうこともあります。今回は親の老後資金のために気を付けるべき「8つのNG行為」について、介護アドバイザーの横井孝治が解説します。

NG行為1:孫のお祝いや学費に大金をかける

孫の誕生や成長を祝う親の気持ちはよく分かります。子ども側も、親からお金をもらうと助かるでしょう。しかし孫かわいさのあまり、分不相応なまでの費用をかけたお祝いは、確実にダメージにつながります。

よくあるパターンは、生前贈与を兼ねて、孫の大学の入学金や学費を負担するケース。これは資産的に大きなダメージを残す原因となります。孫を大事にしたい親の気持ちを尊重した上で、余裕のある範囲で収まっているかどうか、子ども側が慎重に確認しておきましょう。

NG行為2:親から子どもに金銭的支援をする

結婚、住宅購入、リフォーム、車の購入など、人生はさまざまな節目でまとまったお金が必要になります。そうした際に、親から子どもに対して金銭的支援が行われることは多いです。また、子どもが大きな病気を患った際に親が支援することも珍しくありません。

贈与税において非課税となる年間110万円以下を超えて、親から子へ金銭の受け渡しが行われていることもよくあるようです。

当たり前のことですが、子どもがお金をもらった分だけ親のお金は減っています。お金は有限ですから、渡った時点で元々持っていた人、つまり親の財布は軽くなってしまうのです。

NG行為3:二世帯住宅を建てる

筆者は基本的に二世帯住宅反対派なのですが、それは親子ともに大きなリスクが潜むからです。子どもとしてのリスクは、親の介護が必要になった時、別居と比べてはるかに大きな負担がかかるから。

一方、親側のリスクは、老後資金を一気に使ってしまう可能性が高いからです。そして介護が必要になった時に施設に入るお金が残っておらず、「自宅でどうにかしなければいけない」という状況になり、選択肢が狭くなります。また、介護にかかわらず、二世帯住宅や同居によって親子仲が悪化する事例も多いです。

さらに、二世帯住宅は不動産的な価値が低いです。なぜなら二世帯住宅のバリエーションはさまざま。水回りや玄関などすべて別の家もあれば、玄関だけは別、水回りは一緒など、家庭ごとに作りが異なります。

それぞれの家庭の事情に合わせて作るため、建てる時にはお金がかかりますが、中古で売りに出そうと思ってもなかなか売れません。ハイリスク・ローリターンで大きな覚悟が必要です。

NG行為4:実家を大規模リフォームする

「終の棲家」を目指し、親が実家の全面的なバリアフリーリフォームを行うケースは多いです。家での事故・事件は多いので、老後に暮らす家の安全性を高めるのはとても大事なこと。しかし、その規模や費用については十分に注意する必要があります。

築年数の経った家は屋根や外壁、水回りなど気になる部分が多く、まとめてきれいにしたくなるものです。久しぶりに実家に帰るとやけにきれいになっていて、「思い切ってリフォームしたのよ」と親から言われることも珍しくないでしょう。

しかし、大規模リフォームを行った後で親が長期入院となったり、そのまま施設に入ったりすることもあります。リフォームでお金を使い果たしている場合、子どもが資金的な支援をすることになります。リフォームは日常生活をする上で必要なメンテナンス、介護保険の範囲で可能なレベル+α程度にとどめておきましょう。

NG行為5:レンタル可能な介護用品を購入する

電動ベッドや車椅子などは介護保険のレンタル対象になっている介護用品です。しかし、「やっぱり新品がいい」「自分の好みのものを選びたい」などの理由で購入する人もいます。安全な暮らしのために介護用品はとても重要ですが、その時の状況によって必要なものが変わるので要注意です。

例えば、要介護度が低く比較的体の元気な人が利用する電動ベッドの場合、あまり多くの機能は必要ありません。一方、寝たきりでずっとベッドの上で暮らす人は、快適さと安心のために高額な多機能の電動ベッドを使うことが多いです。シチュエーションに応じて何度も買い換えていくと、驚くような金額がかかります。

また、急な入院や施設への入居などが発生した場合、せっかく購入した高価な電動ベッドを全く使わなくなってしまうケースも珍しくありません。

介護保険のレンタルを利用する場合の自己負担額は、電動ベッドで月額約500円〜3000円、車椅子なら400円〜1000円程度。購入はなるべく避け、レンタルを心掛けましょう。

NG行為6:介護保険外のサービスを乱用する

在宅介護で施設と同等、あるいはそれ以上に手厚いサービスを利用したい場合、これは全額負担となる介護保険外のサービスを利用することになります。

利用するサービスの内容や頻度はサービスを提供する事業者にもよりますが、東京都のとある大手サービス提供会社の24時間365日の訪問介護、外出支援、見守りサービスを利用する場合、月額費用は約300万円かかります。

24時間見守られている安心な状況で手厚いサポートを受けようとすると、とても高額になります。認知症などで金銭感覚がおかしくなってしまう人もいますが、そうした状態の親が望むままに高額なサービスの利用を決めてしまうと、取り返しのつかない事態に陥ってしまうこともあります。

手厚いサービスが必要なら、通常は施設一択ではないでしょうか。 在宅中にお金が尽きたら、施設に入るのも困難になってしまいます。

NG行為7:豪華な介護施設に入居する

豪華な浴室やトレーニングルームや娯楽室など、暮らしを楽しむための設備が充実している施設の場合、入居一時金が1000万円を超えるのは当たり前。中には、数千万円かかる場合もあります。月額費用は30〜40万円程度かかることが多く、100万円を超えるケースも珍しくありません。しかし、こうした設備は心身が弱ると使わなくなり、後々不要になる可能性が高いです。

また、比較的、高齢者が元気なうちは入居者同士で見栄の張り合いをしてしまう場合もあります。富裕層同士の付き合いに対してお金がかかることも珍しくありません。

さらに、入居して数年が経過すると、契約更新料がかかる施設もあります。高額な施設の場合は契約更新料自体も高額なため、更新することができずに退去を余儀なくされることもあります。

こういったルールは契約書および重要事項説明書の中に小さな字で書かれているケースが多いです。きちんと確認した上で契約しないと、後々大変なことになってしまいます。

NG行為8:豪華な長期旅行に出掛ける

定年後、長年働いてきた自分や夫婦へのご褒美として、クルーズ船による世界一周旅行など、豪華な旅行を希望する人は一定数いると思います。船や客室のグレードや寄港先にもよりますが、相場費用は1人当たり200万〜1000万円といわれているそう。

「長年の楽しみだったのだから、ケチケチしたくない」という心情も分かりますが、退職金の多くを旅行に費やしてしまい、その後期待していたほど年金がもらえないと、結果として老後破産に近づいていく恐れがあります。

旅行や趣味というのは、あくまで費用的に余裕がある範囲で楽しむべきではないでしょうか。

親の老後資金を減らさないための注意点

最後に、親の老後資金を減らし過ぎないための注意点をまとめます。

子どもが経済的に自立すること

まずは、子どもが実家を出て生活費全てを自力で賄うとともに、親からの支援を受けない「完全自立した状態」になるのが最優先です。孫のお祝いなども、数万円程度の常識的な範囲にとどめましょう。

もちろんいろいろなご家庭があり、さまざまな事情や仕事の都合で実家で暮らさざるを得ない人もいるでしょう。それは仕方のないことです。しかし、基本的には子どもというのは親と程よい距離を保って、自立したほうがよいと筆者は考えています。

二世帯住宅は極力避ける

二世帯住宅は親子ともにデメリットが多いです。少なくとも子どもから「二世帯住宅にしようね」と親に持ちかけるのはやめたほうがいいのではないでしょうか。

実家のリフォームは安全性を最優先に

「よりきれいに」や「より快適に」という視点でのリフォームは、むだ遣いになってしまう可能性が高いです。

介護サービスはコスパがよいものを選択

例えば、介護保険外のより手厚いサービスを受けたい場合、シルバー人材センターがおすすめです。1時間当たり1000〜1500円程度でさまざまな軽めの作業をお願いできます。犬の散歩や料理、病院の付き添いなどを代行してくれるサービスもあり、格安で利用できるものを検討しましょう。

施設選びは時間をかけて慎重に

とにかく「今すぐ入れる施設だったらどこでもいい」と大急ぎで決めるのはおすすめしません。早めに情報集めや見学などをして、ケアをしっかりやってくれるところ、費用的にも無理がないところを厳選しましょう。

親の老後破産を防ぐために、子どもの立場から気を付けるべきポイントは多いです。普段から早めの対策を心掛けてみてください。

横井 孝治プロフィール

両親の介護をする中で得た有益な介護情報を自ら発信・共有するため、2006年に株式会社コミュニケーターを設立。翌年には介護情報サイト「親ケア.com」をオープン。介護のスペシャリストとして執筆、講演活動多数。また、広告代理店や大手家電メーカーなどでの経験を生かし、販促プロデュース事業も行う。All About 介護・販促プロモーションガイド。
(文:横井 孝治(介護アドバイザー))

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