
目標に向かって努力するのは素晴らしいことです。そんなときにいちばんの理解者であってほしい夫から、突き放すようなことを言われたらショックを受けてしまうのも当然です。
『介護士の資格を取ろうと思っているのですが、夫が反対します』投稿者さんは週3日のパート勤務をしながら、2人の保育園児を育てています。旦那さんは正社員で平日は帰りが遅く、現在は義実家で90歳になる義祖母とも同居しています。これまで元気に自立して暮らしていた義祖母でしたが、最近になって大病が見つかったのだそう。高齢のため積極的な治療はせず、自宅で緩和ケアを行う方針が決まりました。投稿者さんはこれまでお世話になった義祖母を何とか支えたいと考え、自身の勤め先(介護施設)の支援制度を利用して、介護資格を取得しようと考えたのです。
資格取得のためには、3〜4か月の間、土日に終日通学する必要があります。その間の育児を旦那さんに相談したところ、旦那さんは猛反対。「義祖母の病気に便乗して、自分のやりたいことをやっているだけだ」「せっかくの休みに子どもの面倒で拘束されるのはしんどい」と主張しています。投稿者さんが自分の実家の助けを借りる提案をしても、「今資格を取る必要はない」と聞く耳をもたない状況です。
投稿者さんはこれまで、旦那さんのキャリアを優先するために自身の正社員の仕事を辞め、育児と家事を一手に引き受けてサポートしてきました。それなのに自分がやりたいことを「周りへの迷惑」と断じられ、協力も得られない現状に深く傷ついてしまいました。「義祖母が大変な時期に資格を取ろうとするのは間違ったことなのか」と、自分を責めてしまっています。
夫は土日に育児をしたくないだけ?
まず投稿者さんを深く傷つけた旦那さんの言葉について考えてみましょう。ママたちは旦那さんの態度に「自分勝手さ」や「甘え」を感じ取ったようです。
『投稿者さんが資格を取るために、週末に自分が子どもの面倒を見るのが嫌なのかな。これ、義祖母のことは関係なく、いつ資格を取ったとしても文句を言いそうな気がする』
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『正当性ってさ、価値とか意義なのよ。で、投稿者さんの資格取得は、価値がある行為(意義)なのね。つまり正当性しかない。旦那さんは反対理由がなく、ただ「ぼくが嫌だと思うからダメなのだ」なんだろうね』旦那さんの「迷惑だ」という主張の裏には、自分が担うべき育児の負担が増えることへの拒絶反応が見え隠れします。ひょっとしたら妻が資格を得て経済的・精神的に自立していくことを、無意識に脅威だと感じている可能性もあるのではないでしょうか。たしかに旦那さんの言い分は幼稚で身勝手に見えるかもしれません。しかし家庭内にこれだけ強い拒絶反応がある状態で強行突破することが、本当に「いい介護」につながるのかという点は、慎重に見極める必要がありそうです。
資格があっても自宅介護は厳しい現実
介護の現場を知る人たちから、資格取得に対する冷静な意見も寄せられました。「中途半端な知識で義理の祖母に触れるのは申し訳ない」という誠実な思いから資格取得を急いでいる投稿者さんに、経験者のママたちはリアルを語ってくれたようです。
『自宅介護で介護士の経験が役に立ったことなんて、とてつもなく少なかったよ。訪問看護と訪問診療とヘルパーをうまく使い分けて、自分は近くにいることに徹したらいいんじゃないかな』
『「身内、親の介護を自宅でしようとしてはいけない」って何度も聞いたことがある。他人なら許せることが、身内だと許せなくなるのが介護だと。まじめにやるほど自分が追い詰められる』「資格の知識があること」と「身内の介護をすること」は別物であると厳しく指摘したママたち。特に緩和ケアを自宅で行うにあたって技術以上に求められるのは、本人の精神的な支えとなることや、外部のプロ(訪問看護など)と連携する判断力だと考えられたようです。なにより資格取得のために通う3〜4か月という時間は、大病を患う高齢者にとっては長期間に匹敵する重みをもつかもしれません。「技術を習得して帰ってきたときには、もうお世話をする時間が残されていなかった」という結末こそが、特に避けるべき後悔ではないでしょうか。
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資格取得は今やるべきか?もう一度整理しよう
『保育園児なら、土日は親との時間が大切だと思うし、私も今は資格取得を優先するのは違うと思うな』
『子どもの心のケアはどう考えてるの? 何もなくても母親が土日にいなければ不安になる子も多いのに、さらに曽祖母が病気でしょう?』
『保育園児が2人いるのに3か月も土日が丸々潰れるのは、ハッキリ言って家族に負担をかける。しかも義祖母の病気が見つかった今はタイミングも最悪。せめて平日なら』投稿者さんの志は立派ですが、今、投稿者さんの周囲には「保育園児の子ども」「病身の義祖母」「協力に後ろ向きな夫」という要素が揃っています。これらを無理に動かそうとすれば、どこかが必ず歪むでしょう。ママたちは「資格は逃げないが、祖母との時間は逃げる」と指摘しました。家のなかで病状が進む曾祖母と、不在がちな母親、イライラしている父親という環境は、子どもたちにとっても大きな心理的ストレスになりかねません。もしどうしても資格が必要なら、平日に通えるスクールを探す、あるいは今は独学や動画で知識を取り入れるに留め、本格的な取得は後回しにするという選択肢もあるでしょう。
今回の件で特に大切なのは、投稿者さんが「何のために資格を取りたいのか」という原点に立ち返ることではないでしょうか。それがもし義祖母のためであるならば、今の投稿者さんにできる大きな貢献は、義祖母の隣でいつも通りの会話をすることかもしれません。旦那さんの失礼な物言いに腹が立つかもしれませんが、それと資格取得のタイミングは切り離して考えましょう。
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文・motte 編集・いけがみもえ イラスト・なかやまねこ
