
フィギュアスケート男子でアジア唯一のオリンピック(五輪)2連覇王者、プロ転向4季目の羽生結弦さん(31)が、約8カ月ぶりの“復帰公演”を迎えた。座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata 2026」が7日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ21)で初日。4日後に発生から15年となる東日本大震災の被災地から、希望を発信した。
充電のメンテナンス期間を経て、昨年7月以来となる公の場での演技。「手足が本当に震えるほど緊張した」と言いながらも、流麗な舞いで復興を祈念した。
4年連続4度目の今年は故坂本龍一さんが立ち上げた東北ユースオーケストラをスペシャルゲストに招いて共演。かつて坂本さんが作曲したものを新演目にした「Happy End」と「八重の桜」でコラボレーションした。
白基調の衣装や和装で、フィナーレを含む計4曲に鎮魂の念を込めた羽生さんは、公演後に復興への思いや風化させたくない信念を語った。
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−震災から15年。思いは
「15年が経って、自分自身の悲しみや傷への向き合い方、付き合い方であったり、そういったことをちょっとずつ理解しながら、前に進んできたつもりです。この15年という時があったからこそ、今、逆にその傷に向き合おうという気持ちも出てきたり。逆に、あのことがあったからこそ、今こうやって学んで生きているんだ、強く生きているんだ、ということを表現したいと思って、特に『Happy End』は振り付けを自分でしてきました」
−被災地への思いは15年で、どう変化したか
「正直、大きく変わったなということは、自分の中ではないです。15年はある意味…人間的に5の倍数って節目を感じやすい数字ではあるんですけれども、福島であったり、宮城であったり、岩手もそうですし。復興が進んだところは進んだし、コミュニティーが復活しているところもあるとは思います。ただ、そのまま取り残されている地区だってありますし、復興してきたよ、という中身をのぞいてみたら全然、復興していないとか。元に戻るわけではないので、そういった意味では、ずっとずっと応援し続けたいな、という気持ちと、自分自身も被災した傷であったり、トラウマみたいなものもやっぱりずっとずっと抱え続けていくべきなんだな、っていうことを理解して付き合えるようになったかな、というふうには思っています」
−震災を知らない世代も増えている。今後、どう支援を続けていくか
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「実際に今回、コラボレーションさせていただいた東北ユースオーケストラの方の中でも、震災後に生まれたよ、という方もいらっしゃるし。震災当時、幼くて記憶がないよ、っていう子もきっといらっしゃる。そういった子たちが、坂本龍一さんが募ったおかげで復興であったり、震災のことだったりを考えて過ごしていると思うんですよね。それと同じで、僕も当時16歳でしたけれども、やっぱりインタビューしていただいたりとか、いろんな記事を書いていただいたりする中で、僕もやっぱり伝えるべき立場として頑張っていかなければいけない、というか、使命があるんだと何かしら、当時若いながらに使命を帯びたような気がしていたんですね。そして、今、いろんな各地の…能登であったりとか、大船渡もそうでしたけれども(北海道)胆振であったりとか、熊本であったり。本当に東日本大震災だけじゃなく、その後に起きた災害の地域にも、やっぱり(大震災が)あったから、防災の意識が変わって、守られた命も生活も、きっとあって。伝わったからこそ、どんどん減災は続いていくんだなっていうふうに思ってるんですよね。だからこそ、僕らも当時を知っている人間だからこそ、どんどん世代が若くなっていくし、生まれ変わっていくし、新しい命も芽吹くけれども、こんなことがあったんだよって。こんなことがあったから、だから守ることを学んだんだよ、っていうことは、ずっと続けていきたいなと思います」
公演名の「notte stellata」は、震災後に初めて行われた冬季五輪である14年のソチ大会に続き、五輪2連覇を遂げた18年平昌大会のエキシビションで舞ったプログラム。イタリア語で「満天の星」を意味する。11年に地元仙台で被災した羽生さんが、停電の暗闇の中に見た「満天の星」に希望を感じたことから名付けられた。
震災後、遺体安置所になっていた会場から復興を願うショーは明後日9日まで3日間、開催される。【木下淳】
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