不幸と不運を乗り越えて。無冠の“帝王”デニー・ハムリンが今季初、通算61勝目/NASCAR第5戦

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2026年03月17日 18:10  AUTOSPORT web

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1.5マイルオーバル連勝とキャリア通算61勝目を獲得し、勝利数歴代10位にランクインしたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)
 昨年11月にフェニックス・レースウェイで争われたNASCARカップシリーズ最終戦にて、土壇場で痛恨の敗北を喫してからわずか5レース後。このオフシーズンには病気療養中だった最愛の父を、悲運の自宅火災で亡くした傷もまだ癒えないまま……。それでも前を向き、集中力を高め、新たな活力を得た“無冠の帝王”デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、2026年NASCARカップシリーズ第5戦『ペンズオイル400 プレゼンテッド・バイ・ジフィー・ルーブ』で完全復活。圧倒的な強さを誇る11号車で今季初、そして1.5マイルオーバル連勝とキャリア通算61勝目を獲得し、勝利数歴代10位にランクインした。

 元クルーチーフを巡る法廷闘争の渦中にあるジョー・ギブス・レーシング(JGR)だが、従来よりこのラスベガス・モーター・スピードウェイを滅法得意としており、週末走り出しのフリープラクティス(FP)からクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)とハムリンがワン・ツー発進を記録。予選ではそのまま20号車のベルが最速を維持し、同地4回目、カップシリーズ通算15回目のポールポジションを手にした。

 迎えた決勝でもベルがステージ1を制覇する一方、3番手に留まったフロントロウスタートのハムリンは、ここで痛恨のピットロードスピード違反ペナルティを受け最後尾に降格。はるか前方の先頭集団では、ベルに加えてカイル・ラーソンとウイリアム・バイロン、チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の編隊走行に開幕3連勝のタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)も加わり、実力者たちが3周にわたってポジション争いを繰り広げるスリリングな展開となる。

 そのうちラーソンは28周をリードした後、121周目にピットロードへ。しかし5号車カマロZL1はステージ終盤にかけて徐々にペースを落とし始めると、ベルとバイロンはラーソンを追い詰め、159周目のトライオーバルでバイロンが3台並走のチャンスをものにして首位に立つ。

 そのままリードを広げ、バイロンの24号車がステージ優勝を果たした一方、89周目に21番手でリスタートしたハムリンは着実に順位を上げステージ2終了時には5番手まで浮上。174周目に最終ステージが始まると、すぐさまバイロンの背後2番手につけ、185周目にはボトム側からトップに立ってリードを広げ始める。

 しかし211周目のターン3でバイロンがふたたび前に出た直後、ターン4でコナー・ジリッシュ(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)がスピンを喫し、ここでアクシデントによる最初のコーションが発動する。

 このイエローフラッグ中、ベルは素早いピットストップでふたつ順位を上げてトップに返り咲き、ハムリンは2番手でピットロードを後に。バイロンとエリオットのヘンドリック艦隊が3番手と4番手に続いていく。

 そのまま218周目のリスタートもこなしたハムリンは、すぐさまJGRのチームメイトを抜き去り最後までラップリードを堅持。その背後でポジションを上げ、バイロンとの共闘でJGRの11号車を猛追したエリオットだが、チェッカーまで追い詰めたかったギャップも最後は0.502秒差で勝利に届かなかった。

「(9号車のシボレーは)終盤にかけて、スタート時よりも明らかに調子が良かった」と2022年に現行第7世代のNext-Gen規定車両が導入されて以降、このラスベガスでラップリーダーを務めていないエリオット。

「チャンスがあるかもしれないと思った。彼が終盤でタイトになってきているのは分かっていたからね。ああ、本当に悔しい。優勝にあと一歩届かなかったのは残念だけど、今日の走りがこれまでよりもどれだけ良かったか、現実を直視しないといけない。そういうことを考えているんだ」

「もちろん、こういうレースで勝つのは簡単じゃない。絶好のチャンスだった。でも今週の準備、昨日の走り、そしてこれまでの努力を本当に誇りに思う。あまり良い一日ではなかったけれど、よく頑張ったと思う。直近のレースで優勝するような選手たちと肩を並べられるようになったのは、本当に誇りに思うよ」

 そして昨季最終チャンピオンシップレースでは、初タイトル獲得まであと3周というところでタイミングの悪いイエローフラッグに阻まれた45歳のハムリンは、その失望から立ち直るのに「数カ月を要した」と振り返った。

「運転する感覚を取り戻すのに数週間かかることは分かっていた」と通算61勝目を挙げ、ケビン・ハーヴィックと並んでいた通算勝利数を更新したハムリン。

「ここ数週間でレースへの情熱をふたたび燃え上がらせ、集中力も高まった。これは僕たちにとって素晴らしいチャンスだ。僕の名前は、このスポーツのレジェンドたちの中に輝いている。そのリストに名を連ねることができて、本当に幸運だと感じているんだ。彼らは僕が想像していたよりもはるかに才能に溢れた人たちだからね」

「僕はただひたすら努力を続けている。今でも、より良いドライバーになるために自分の技術を磨くことに全力を注いでいるんだ。今日のような日は、自分がこのスポーツで今いる場所、そしてこれからできることに本当に満足感を覚えるよ」

 併催されたNASCARオライリー・オートパーツ・シリーズ第5戦『ザ・リウナ』は、200周中154周目の最終リスタート直後、7番手から一気にトップに躍り出たカイル・ラーソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、今季のシリーズ5戦で5人目の異なる優勝者に。

 最後の最後でウォールにタイヤをヒットしたチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)やシェルドン・クリード、選手権首位のジャスティン・オルゲイヤー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)らを退け、シリーズ通算18勝目を挙げている。

[オートスポーツweb 2026年03月17日]

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