松田美里 「我慢はしなくてもいいんじゃないかな」
まもなく結成11周年を迎えるアイドルグループ・わーすたの松田美里が、デビュー当時の自分に伝えたいことを語った。そんな26歳になった彼女が、3年ぶり2冊目となる写真集『想いごと』を3月25日に発売。グアムで撮影された本作には、「私のフェチな部分を詰め込みました」と本格的な水着グラビアにも初挑戦した。
また、今作と連動した連載コラムでは、家族だけに見せる“箱入り娘”としての素顔や、隠れ完璧主義ゆえの葛藤などが綴られていることも話題に。10年の活動を経て、ようやく「そうじゃない部分も見せていいんだ」と思えた彼女が語る、アイドル人生と今の想いとは――。
◆10の数字はわかりやすく長くやっていますという証明
――結成10年目という節目の年はどんな思いで活動していましたか。
松田美里(以下、松田):自分が想像していたよりも長く、しっかりコツコツと活動をやって来たなという感覚があって。一年ずついろいろなことをやらせていただいて、同じものはなかったなって振り返ったときに感じられる活動ができているのは恵まれているなと強く感じました。
やっぱりアイドルの世界って新しいグループがたくさんできたり、逆にグループが解散したりすることも珍しくはない。そのなかで、わーすたの姿を目標にしてくれるアイドルさんがキラキラした目で挨拶に来てくれたりとか、ステージの上で喋ってくれたりするのを見ると、憧れるようなアイドルをさせていただけているのはすごく幸せ者だなと噛みしめながらやっていました。10周年を迎えて、久しぶりにお会いしたスタッフさんから「貫禄が出たね」って言っていただけたこともあったので(笑)。10の数字はわかりやすく長くやっていますっていうものだなと思いましたね。
――メンバー同士の関係値は変わりました?
松田:女の子同士なので、お互いの気遣いが良い意味で家族みたいなに変わってきているのは面白いです。楽屋で何も言わずにメンバーがキョロキョロしていたら、黙ってティッシュを差し出すメンバーがいたり。そういうのも見てると、「これは普通にやってるけど、普通じゃないよな」って、ほっこりした気持ちになります。
――結成当時、松田さんは高校生でしたが今は26歳ですね。
松田:大人になったなぁ(笑)。思春期とかは感情のコントロールが下手で振り回されていて、とくに母親に反抗していた時期もありました。今はそういう部分が「自分の未熟さ」だと気づけたりとか、見えていない部分にも感謝できるようになったことは大きいですね。スタッフさんやファンの方、自分の想像力が高くなるともっと感謝できることが増えるんだなっていうのに気づけたのは、年を取ってよかったなと思います。
――ここからまた、どんなアイドルになっていきたい?
松田:人は新しいものが好きだと思うから、どこに行っても楽しんでもらえたらいいけど、わーすたに戻ってきたら落ち着くなっていうアイドルではいたいです。だから目標は、実家のようなアイドルですっていうのは何度か言ったことがあります。私の中のアイドルとしてのポリシーは、“絶対的な多幸感”だと思っているので、そこを追求したいなって思っています。
――そして、3年ぶりの2冊目の写真集が出ますね。オファーがあったときはどんな心境でした?
松田:嬉しかったです。ファースト写真集のコンセプトであったような彼女感みたいなものは、ファンの方に作品を出すたびに見てもらってきたと思うので、3年経って、今回はまた違う見応えのあるものにしたいと思いました。撮影場所はグアムだったんですけど、自分のフェチ的な部分を写してもらうことにこだわって撮影しました。
――「今の自分を残しておきたかった」という思いもあったそうですが、松田さんのフェチというのはどういう部分?
松田:水着グラビアの写真を見るのが好きなんですけど、女の子の魅力は単純に「おっぱい」「おしり」っていうことじゃなくて(笑)、体の曲線とか、骨格の綺麗さとかだと思うので、そういうものが今の年齢の自分だったら綺麗に残してもらえるんじゃないかと思いました。1冊目はグループのイメージからそこまではみ出すことはできない感覚は強かったですけど、「今回はフェチ全開で好き放題にやらせてください」っていう気持ちでやらせてもらいました。
――本格的な水着グラビアは初めてだったということですが、撮影に向けて体づくりなどもしました?
松田:肌感は大事なので、ずっと保湿はしていました。水着グラビアを見ていて、女の子らしい肉感が可愛いんですよ。でも私は痩せるとカリッと痩せちゃうっていうのが昔からあって、学生時代はそれが嫌だったんですよね。だから撮影までの期間は結構食べていました。お酒が大好きなので、それだけは苦しみながら我慢していました(笑)
――ちなみに好きなお酒は?
松田:なんでも好きなんですけど、日本酒とワインとビールが好きです。最近は芋焼酎にハマり始めています。アテは、塩辛と温かいお豆腐に塩をかけて飲むのが最高です。お兄ちゃんと飲むときはロックで飲むことが多いですね。
――タイトル「想いごと」は松田さんが考えられたと聞きました。どんな経緯で決まったんですか。
松田:私は良くも悪くも生真面目なタイプだと思っているんです。いつもヘラヘラしているので、あまりイメージを持たれてないと思うんですけど、隠れ完璧主義で、自分のなかである程度のレベルまで達しないと人に言えないとか。そのために頑張ることを苦だと思わないのはいいんですが、考え込んでしまって、結果的に空回りするっていう癖も昔からあるんですよ。今回の写真集を作るにあたって、どういう人にどう伝わってほしいか、今の自分を詰め込んだものを受け取ってくれた人がどんなことを感じてくれるのか。そういう人の想いが知りたいなと思って、「想いごと」にしました。
――写真集を見たメンバーの反応は?
松田:撮影が終わって帰ってきたときに、私のスマホで見せたりはしました。「可愛いじゃーん!」とか「いいね〜」って無邪気に言われました(笑)。水着姿はメンバーにも見せないので心配があったんですけど、「写真としてすごくいいね」って言ってもらえたことが嬉しかったですね。雑に着たわけじゃないというか、勇気を振り絞って着た甲斐がありました(笑)。
――水着に関してもすべて松田さんが選ばれたんですよね。
松田:そうですね、すべて自分で選びました。
――「ファンの人が喜びそう」って仰っていたのはどの水着ですか。
松田:赤いヒモのチェック柄の水着ですね。ピュアな感じもありつつ、リボンもついていて女の子から見ても印象よさそうだなと思ってあの水着を選んだんですよ。ほかにも可愛いだけじゃなくて、大人っぽい形のビキニを着たのも初めてなので攻めた気持ちはありました。
――撮影場所のグアムはどのように決まった?
松田:最初は国内でいくつか候補をいただいて、マフラーを巻いたりとか冬のイメージもあったんですけど、「せっかく水着を多く着るなら海外に行きたーい!」って無理を言ったら絞りだしていただきました(笑)。それに前回の写真集はコロナ禍でいろいろ制限もあったので解放したい気持ちもあって。国内だったら水着の撮影もモジモジしてたと思うんですけど、グアムではスタイリストさんが「美里ちゃん、そろそろガウンを着てー!」っていうぐらいはしゃいでいました。
――打ち上げではお酒を解禁?
松田:それが撮影期間中もたくさん食べて、たくさん飲んでました。お酒も飲んでピザパーティをしたりとか、せっかく行ったから食べるのも頑張りました(笑)。
――英語は話せる?
松田:話せないですけど愛嬌だけはあるので、笑顔で乗り切れるタイプ。今回も音楽がかかっている広場で踊りに行ったら、アイコンタクトで現地のお姉さんがダンスに誘ってくれて一緒に踊ったりもしました。ある意味、ハプニングのカットもたくさん載せていただいています。
◆アイドルだけじゃない部分も見せていいんだ
――写真集の発売にあたって、赤裸々な思いを綴った連載コラムも書かれています。もともと文章を書くのは好きだったんですか?
松田:自分の思いを表現するのは好きなんですけど、あんまりそこに学びはないので、世に出していいものなのかっていう不安はありました。つまらないと思われたら嫌だなとか。でも今回は松田美里として書くから、整えすぎてもダメだなっていう。その塩梅が難しかったです。
私の場合、感覚的に感じて伝えたいことがワーッて書いてあるメモから抜粋して、これをどうまとめるかみたいな作り方をしちゃってるので、構成を入れ替えたりするのが大変で、書き上げるまでの時間はすごいかかりました。
――「私の宝物」「家族」「グループ」「自分」などテーマも悩みそうなお題です。
松田:もともとは違うテーマだったんですよ。でも文章を書いてるうちに、そのテーマについてどれぐらい書けるかが自分でもわからないので、相談しながらやっていました。
――どんな反響がありましたか。
松田:松田美里という人間の部分を知れたことが嬉しいって言ってもらえると、アイドルだけじゃない部分も見せていいんだなって許されたような気持ちになりました。
――26年間、家族の元から離れたことのない“箱入り娘”だと書かれていましたね。
松田:広島で生まれて上京してから一度も離れたことがないんですよ。母には一人暮らしをしたいと言ってるんですけど、「一旦ダメ」ってずっと言われています。その理由を聞いたら「ママの人生に美里を一人暮らしさせるというイベントはない」って(笑)。
――可愛い子には旅をさせよ、じゃない?
松田:ウチの母は、可愛い子が旅に出て死んじゃったらどうするの?です。
――連載を読むとお母さまは豪快な感じだったので、いってらっしゃい!じゃないんですね。
松田:「行ってらっしゃい!で、どこに誰と行くの?何時に帰ってくるの?」って感じですね。だから、22時を過ぎると「今どこ?」ってLINEが来て、すぐに返さないと電話がかかってきます。休みの日に出掛けようとすると「仕事ないのになんで出掛けるの?ママが家にいるのに」って言われるから、「私だって友達と遊びたい!」ってケンカになったこともあります(笑)。
――連載には3歳上のお兄ちゃんも登場してましたけど、過保護な感じですか。
松田:そうですね。家に帰る時間が遅くなると、母だけじゃなくてお兄ちゃんからもLINEがくるんですよ(笑)。頑張っている妹をサポートしなきゃいけないっていう気持ちが強いんです。
――松田さんもそんなお兄さんが好きだと書かれていましたが、理想の男性像もその影響は受けますか。
松田:あ〜、でもお兄ちゃんみたいな人は嫌です(笑)。二人とも完璧主義だから言い争いになると、お互いに引かないんですよ。
――その環境だと、「結婚して家を出ます」ってなったら大変じゃないですか。
松田:お兄ちゃんからは、「好きな人ができたら教えろ」「彼氏を紹介しろ」って昔からよく言うんですよ。広島生まれの男子は、その気が特に強いと思います。
――家族で会話するときは広島弁?
松田:ばりばりです。怒ってるときは、「じゃろ!」が飛び交ってます(笑)。私だけどこか冷静に喋る感じだったんですけど、母と兄が朝までケンカしていて、25歳のときに初めて私の怒りの感情が爆発したときには家族も驚いてました。
――連載のなかで、松田さんの周りには人間力のある友人が多いと書かれていましたが、自分自身は人間力があると思いますか。
松田:負の感情ってあんまり良くないものだと思ってるので、適切な場所で出すっていうことは意識してます。人間関係をいいものとするためには、大人になればなるほど思うこと全部言うのが正解ではないじゃないですか。怒りに任せて言い方が悪くなっている人を見ると胸がぎゅって痛くなったりするので、自分は絶対こうなりたくないっていうのはありますね。私は恨みや妬みをぶつけるのではなく、人の幸せを喜べる人間で良かったなって思います。
――今はSNSでも自分の感情を短い言葉ですぐに投げる人は多いですよね。
松田:それが羨ましいと思うこともあります。私が言えないことを言えてずるいなって。でも、私の場合はどこで何を言われても、家族が味方だしなとか、私の友達はこんな言葉使いをする子はいないなって思うと強い気持ちになるので。
◆我慢はしなくてもいいと伝えたい
――現在の松田さんから、10年前の自分に伝えたいことはありますか?
松田:我慢はしなくてもいいんじゃないかなって伝えたいです。アイドルとしてステージに立つうえで、グループだから我慢していたことも正直多かったです。でも、自分のやりたいことだったらやっていいし、嫌だったら嫌だと言ってみたら?って思います。今はないんですけど、そういう場面で自分の想いを言えなくて結構苦しかった時期もあったので。
――10年を超えて、3月27日には11周年の公演が控えてます。グループとしても新たな一歩ですね。
松田:今回のライブが「The World Standard 〜君と♡世界じゅう!1周年!〜」ということで、ワールドスタンダード(世界照準)で活動してきたということも含めて、そういうタイトルにしました。スキルアップできるように当たり前のことを続けてこれたっていうことは自分たちでも誇りに思っているところなので、また新鮮な気持ちで、わーすたを楽しんでほしいですね。
――改めて、わーすたの魅力を教えてください。
松田:今はいろいろなコンセプトのアイドルがいて、歌や踊り以外にも評価されることが出てきて、アイドルの定義みたいなものが変わった気がするんですよね。そのなかでも、わーすたはライブを一番大事に活動しています。メンバー自身がライブの制作に関わって、曲の解釈を話し合って、一人ひとりがステージ上の魅せ方にもこだわっている。それはプライドを持ってやっていますし、実際にライブを通して感じてもらえると思います。
――それが冒頭の“貫禄”に繋がっている部分かもしれないですね。
松田:そうかもしれないです(笑)。
――「飽きられるのが怖い」ということも仰っていましたけど、松田さん自身がアイドルやライブに飽きたりはしていない?
松田:全然ないですね。私はアイドルのモチベーションがライブだと思うんです。自分のことを好きな人、そうじゃない人、みんなに評価される場所に立つことで毎回アドレナリンを感じるというか。10 年やっていても、まだやれることがあるんだなって思いながら楽しんでます。
――今年見てもらった占いによると、35歳を過ぎても周りから可愛がられる手相なんですよね。
松田:そうなんですよ(笑)。55歳ぐらいまで頑張れるらしいので、アイドルをやっていたいなって思います。この先どんな道に進んでいくのか自分でもわからないけど、どうやったって表現することを好んでやり続けそうな気はしています。
――最後にプライベートで今年やりたいことを教えてください。
松田:お金を貯めたい!母がとてもお金に敏感なタイプで、「あんたNISAはちゃんとやってるの?資産を大切にしなさい」とか口うるさく言われるんですよ。親が心配しないように勉強とかもしつつ、お金が貯まったらそろそろ一人暮らしをしたいです(笑)。
取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧