国内では45年ぶりに鳥類の新種として報告された「トカラムシクイ」(スウェーデン・イエーテボリ大 Urban Olssonさん撮影) 山階鳥類研究所と森林総合研究所、スウェーデン・イエーテボリ大などの国際研究チームは18日、鹿児島県・トカラ列島で繁殖する渡り鳥ムシクイが、これまで同じ種とされてきた伊豆諸島の「イイジマムシクイ」と遺伝的にも形態的にも異なる新種であることが分かったと発表した。
研究チームは和名を「トカラムシクイ」、学名を「フィロスコパス・トカラエンシス」と命名した。国内で新たな学名が付く鳥類の新種の報告は1981年のヤンバルクイナ以来45年ぶりという。
イイジマムシクイはスズメ目ムシクイ科の渡り鳥で、体長約12センチ。伊豆諸島で繁殖することが古くから知られていた。88年にトカラ列島でもよく似た鳥の繁殖が確認され、翌年論文で報告されたが、同一種とされていた。
山階鳥類研の斎藤武馬研究員らは、約1000キロ離れた伊豆諸島とトカラ列島の個体群が同一種とされていることに疑問を持ち、研究を開始。全遺伝情報(ゲノム)の解読や形態の違い、さえずりなど鳴き声の差異を詳しく調べた。
その結果、伊豆諸島とトカラ列島の個体群は約320万〜280万年前に共通の祖先から分岐し、その後は遺伝的交流がなかった。また、トカラ列島の個体群は脚や頭の全長がやや小さく、雄のさえずりも伊豆諸島の雄と異なることが判明。こうした違いから新種と判断した。
斎藤さんは「(新種の発見という)なかなかない機会に恵まれて良かった。今後、似たような『隠れた多様性』を発見できるといい」と話した。
論文は17日、米科学誌「PNAS Nexus」に掲載された。