不滅のサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』日本公開30周年 トリビア5選!!

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2026年04月03日 09:10  クランクイン!

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今月で日本公開30周年の『ユージュアル・サスペクツ』  写真提供:AFLO
 ブライアン・シンガー監督の名を一躍世界に知らしめたサスペンス映画の傑作『ユージュアル・サスペクツ』が、今月で日本公開30周年を迎える。サスペンス映画史、いや、映画史そのものの歴史を覆した映像トリックで知られ、先月にはリバイバル上映されるなど根強い人気を誇っている。今回はそんな『ユージュアル・サスペクツ』のトリビアを紹介したい!

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 銃器強奪事件の容疑者にリストアップされ、面通しに集められた5人の前科者(キートン、フェンスター、マクマナス、ホックニー、キント)が、その6週間後カリフォルニア州サンペドロ港に停泊中の麻薬密輸船を襲撃。しかし、キントだけを残し全員が死亡。捜査官クイヤンから尋問を受ける小者の詐欺師キントが事件の背景を話し出す…という導入。

 「回想シーンがウソをつく」というコロンブスの卵的な発想の転換で観客の度肝を抜くとともに、左半身に障害を抱え性格は臆病者という明らかに“弱者”の位置にあったキント(ケヴィン・スペーシー)の鮮やかすぎる変わり身、そして見終わった観客誰もが一度は真似したであろうラストカットでの彼の「He's gone.(手を口元に持っていきフッと息を吹きかけながら)」でもおなじみの本作だ。

■ NGシーンが使われている!?

 映画史には「NGテイク(監督の元々意図したとおりにならなかった)が結果的に本編で使われた」というケースが少なくないが、本作でもメインビジュアルになっている面通しのシーンがそれにあたる。

 ユージュアル・サスペクツ(警察にいつも疑われている札付きの前科者たち)の5人が集められ、指示された同じセリフを順に言っていくシーン。元々は真面目にセリフを言っていくだけのシーンのはずが、ベニチオ・デル・トロが変なしゃべり方をしたりオナラをしたりしたことが、他のキャストのツボにハマり、笑いを堪えきれずNGを連発。何十回もテイクを重ねたという。ところが、このシーンの後に5人が別の犯罪で共謀するために打ち解けたようにも見えるため、そのNGの1つが採用されている。

■ 「ソゼ」という言葉に隠されたヒント

 瀕死の重傷を追った船の乗組員とキントの証言によって明らかになる、血も涙もない伝説的な悪党カイザー・ソゼ。事件の黒幕と目されていたが、この「ソゼ」という言葉には、映画の核心にまつわるヒントが隠されている。トルコ語で「ソゼ」とは「おしゃべり」の意味。その名前に、何から何までキントの口からでまかせによって生まれたホラ話であることが示唆されているのだ。

 さらにキント自身のファーストネーム「ヴァーヴァル」は英語で「言葉の」「口頭の」という形容詞でもある。全ての現実を「口頭で」でっちあげてしまう。キントの名前もまた皮肉めいたものを感じさせる。

■ キャストも“うそ”のターゲットだった!?

 そのように本作でキーとなるのが「うそ」であるが、実はそれは劇中の登場人物だけではなく、現実のキャストたちの身にも降りかかっていた。

 見終わってみると、本作では全ての仕掛け人はケヴィン・スペイシー演じるキントであり、他の4人や尋問にあたった捜査官は彼に踊らされた格好である。ところがブライアン・シンガー監督は撮影中、スペーシー以外の俳優たちにも「君が真のカイザー・ソゼだ」とうそをついていたのだとか。実際、中盤で「カイザー・ソゼ」疑惑がかけられるリーダー格のキートンを演じたガブリエル・バーンは、できあがった本編で自身が真のソゼでないことを知ってびっくり仰天。シンガー監督に抗議したという。

■ 危うく大ケガをしていたシーンを採用!?

■ 危うく大ケガをしていたシーンを採用!?

 先述の面通しのシーンのほかにも、意図しないトラブルが起きたシーンがそのまま使われている例がある。それは、劇中で取引相手との交渉がこじれてマクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)が顔に火のついたタバコを投げつけられるシーンだ。これはアクシデントによるもので、本来は胸元に当たるはずだったのだとか。

 一歩間違えれば俳優にとって大事な商売道具である顔にやけどを負ってしまう危険なアクシデントだったが、顔にタバコが当たった瞬間のボールドフィンの反応がリアルだったため、監督がそのまま使用することを決めたという。

■ 元ネタは脚本家の前職に埋まっていた!?

 シンガー監督のデビュー作『パブリック・アクセス』に続いて本作でとタッグを組んだ脚本のクリストファー・マッカリー。のちにトム・クルーズと組んだ監督作『ミッション:インポッシブル』4作や、脚本を担当した『トップガン マーヴェリック』が大ヒットするわけだが、本作のアイデアは彼がかつて務めていた探偵事務所での経験がキーになっている。

 本作のアイデアを練っているとき、マッカリーはかつて務めていた探偵事務所のオフィスの掲示板に、人物の名前や地名、事件に関する情報が所狭しと貼られていた光景を思い出す。本作を鑑賞した読者ならもうお分かりだろう。その光景からマッカリーは、尋問を受ける警察署の一室にあった張り紙や資料、コーヒーカップの製造メーカーなどありとあらゆる人名、固有名、地名を拝借し、その場で事件をでっち挙げていく容疑者、という本作の大元となるアイデアを思いつくのだ。なお、本作の登場人物の多くは、マッカリーが探偵事務所で共に働いていた同僚から拝借しているという。
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