
俳優の中山求一郎(33)が14日、東京・新国立劇場で5月20日に開幕の舞台「エンドゲーム」(同15、16日にプレビュー公演)取材会を開いた。国内の映画賞を席巻した15年「恋人たち」(橋口亮輔監督)のオーディションに合格してデビューも、ブレイクしきれず11年。同劇場の小川絵梨子演劇芸術監督の任期ラストに手がける「フルオーディション企画」第8弾の今作で、1016人の応募者の中から4人のキャストの1人に選ばれた。「あまりにうまくいかなくて、俳優を辞めようと思ったこともある。でも、今、たどりついたという認識じゃない」と今後に意欲を見せた。
メディアの取材を受けること自体、この日が初めてだった。中山は「新鮮…緊張しています。うれしいです。求ちゃんと呼ばれます。『恋人たち』オーディションで受かってデビューし11年、お芝居を続けてきた、埼玉県出身の33歳です」と自己紹介した。その上で「大学の新聞学科に通い、サッカー記者になりたかった。美大に行っている友達から学生劇団に誘われ、1回、舞台に立ってみたら面白くて」と、記者志望だった中、俳優の道に進んだことも明かした。
「フルオーディション企画」が、自らをすくい上げてくれたことに感謝した。18年の第1回「かもめ」のオーディションは「惜しくも敗れました」と落ちたが「小川さんとご一緒できるのが大きかった。この戯曲を、どうしてもやりたかった」と今回、オーディションに挑んだ理由を明かした。
オーディションを受けた際は「お仕事が決まっていなくて、やっていけるかなと思っていましたけれど、人生をチェンジしたいと思って受けた」と、俳優人生の中で何回目かの苦しい局面にあり、打開したかったとも明かした。「受かった時は、受かりたいと思っていたけれど、まさか選んでいただけると思わず現実感がなかった。すごく、うれしい気持ちと動揺が自分の中で走りました。すごいプレッシャーですけど、楽しんでいきたい」と、喜びとプレッシャーが入り交じった心情を吐露した。
「エンドゲーム」は、1957年(昭32)の初演から半世紀以上を経ても世界中で上演され続けているサミュエル・ベケットの代表作の1つ。タイトルの「エンドゲーム」はチェスの終盤戦、駒が少なくなり、逃げ場のない状況を意味する。4人の登場人物が出口のない部屋の中に閉じ込められ、絶望的に繰り返される日常を描いた不条理劇だ。演劇集団キャラメルボックス出身の近江谷太朗(60)演劇集団円出身の佐藤直子(65)劇団テアトル・エコーの田中英樹(53)と舞台の第一人者が共演陣に名を連ねる中、中山は自らを「無頼者」と評した。劇中では、近江谷が演じるハムと主従関係のクロヴを演じる。
|
|
|
|
中山は「何とか、かみ砕きながら、言葉も丁寧に作っている状況」と、稽古を続ける現状を説明した。作品については「世界情勢…世の中に戦争が起こっていて明日、世界が終わるという状況が、より一層、高まっている。今だからこそ上演されるべき作品」と、今、上演する意義を強調。「人間を肯定も否定もしない中で、慈しみの愛がにじみ出ている作品。キャッチしてもらいたい。極端な話、今、死んでしまいたい、消えてしまいたい、独りぼっちという人に見てもらいたい。劇場には席があるのでたどりついて欲しい」と訴えた。
今後については「小川さんの演出を受けてこられた俳優で、目覚ましく変わった人を何人も見てきた。たくさんの言葉をギフトの用に贈ってくださる。自分を開示しながら話す、有意義」と飛躍を誓った。今後、映画だけで出演待機作は7本もあるが「映画を撮りたいなと画策し、脚本も第8稿まで書いた。ご協力いただく方を、募集しています」と映画監督デビューにも意欲を見せた。
俳優、演出家仲間は、今回の出演決定を受け、祝福してくれたという。中でも、自他共に認める親友の俳優・藤原季節(33)は「おめでとう」と、すごく喜んでくれたといい「また一緒に作品を作りたい」と再タッグを熱望した。【村上幸将】
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。